もう普通のベーコンには戻れない「皮付きベーコン」
【DIYレシピ】ビスポーク
2024.02.01
photographs by Masahiro Goda
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。天日に干したり、発酵させたり、自然の力にゆだねるレシピは、人間本位ではない生き方を学ぶ処方箋。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、皮付きの豚バラ肉で作るベーコン。シェフが試行錯誤の末に見つけた、皮をパリパリに焼き上げる秘訣とは・・・!?
目次
教えてくれた人:「ビスポーク」店主・野々下レイさん
250℃で皮をパリッと焼いてから燻製へ
皮なしなら、三温糖と塩でマリネしてから燻製すればいいのですが、皮付きで同じことをやると、皮が硬いまま口に残ってしまう。失敗作をいくつも作りましたよ。最終的に行き着いたのがこのやり方です。先に高温のオーブンで皮をパリパリに焼くのですが、温度が決まるまでにまたひと苦労。250℃より高いと皮は硬いまま焦げる。逆に少しでも低いとパリッとした食感にならない。
ある時、焦げそうになったのでオーブンから出して、また戻したら、一度冷めた皮は二度とパリッとは焼けませんでした。焼き色は薄いほうが燻製をした時にきれいな飴色に。濃いと、燻製をかけた後、黒っぽい仕上がりになります。
イギリスではバラ肉のほかにも背肉で作るバックベーコンがポピュラーです。ただ日本人にはビジュアルが「豚のショウガ焼き」に見えて、見た目のベーコン感が弱い。そこで、近所のスーパーで最近よく見かけるようになった皮付きの豚バラ肉を見て、「そうだ! これでやってみよう」と思いついたんです。
噛んだ時、皮がパリッと崩れて肉の旨味と脂が混じりあう、あの恍惚感はふつうのベーコンでは体験できない醍醐味です。皮にあらかじめ細かい切り込みを入れておくと、切り分けるのも楽で、歯応えもいい。皮に切り込みを入れる時はどんなによく切れる包丁よりも刃の薄いカッターナイフのほうがスムーズです。試してみてください。
「皮付きベーコン」材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
皮付き豚バラ肉・・・800g
三温糖・・・20g
塩(伯方の塩)・・・20g
ウイスキー樽のスモークチップ※・・・20g
※リンゴや桜でも可
【材料のポイント】皮に切り込みを入れる
皮の全面にカッターナイフで切り込みを入れておくと、完成した後のスライスもスムーズ。深さは脂身にさしかかる手前まで。
【道具のポイント】皮はカッターナイフで
どんなによく研いだ包丁よりも、カッターナイフの薄い刃のほうが皮は切りやすい。アルコール消毒してから使う。
[作り方]
[1]皮の下処理
皮にカッターナイフで縦方向に2mm間隔で切り込みを入れる。
[2]まずは三温糖から
三温糖を肉の表、裏、側面にふりかけ、手で押さえてよく馴染ませる。
[3]三温糖の後に塩を振る
塩を肉の表、裏、側面にふりかけ、手で押さえてよく馴染ませる。
[4]5日間寝かせる
クッキングペーパで2重に包み、ビニール袋に入れて冷蔵で5日間置く。毎日、ペーパーは取り換える。
[5]寝かせた後の肉の状態
5日間、寝かせた後のバラ肉。三温糖の効果でピンク色がきれいに残る。
[6]水分を拭いて、皮に塩を振る
水分を拭き取り、塩(分量外)をまんべんなく振り、溝にすりこむ。広げたアルミ箔に置き側面を覆う。
[7]オーブンは250℃を厳守
250℃に予熱したオーブンに入れ、皮がパリパリになるまで20~25分焼く。
[8](燻製)チップから煙が立ったら肉を置く
鍋にアルミ箔を敷いてチップを入れ、網を置いて強火にかける。煙が出たら、皮を上にして置き、蓋をする。
[9]中火で15分、飴色が目安
中火で15分、飴色になるまで燻製する。煙が出ているか、途中蓋を開けて確認し、火加減を調整する。
展開例「ベーコンステーキ」
厚切りにしたベーコンをフライパンで焼いて、塩とコショウのみでシンプルに。皮のパリッと感がベーコンの燻製香と旨味を味わい深くする。
東京・東中野「ビスポーク」の店舗情報
◎ビスポーク
東京都中野区東中野1-55-5
☎03-5386-0172
17:30~22:00(水、木、金曜)
9:00~15:00(日曜 ※ブランチメニュー)
月、火、土曜休
JR、都営線東中野駅より徒歩1分
Instagram:@bespoque
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載)
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