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RECIPE

5時間待ちの行列店の味を再現「自家製かき氷シロップ」

【DIYレシピ】「ひみつ堂」森西浩二

2024.08.01

photographs by Hide Urabe

連載:DIYレシピ

塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、真夏は5時間待ちの行列ができるかき氷の人気店「ひみつ堂」の「かき氷シロップ」。ぎゅっと詰まった素材のおいしさが堪能できます。

目次






教えてくれた人:東京・日暮里「ひみつ堂」森西浩二さん

歌舞伎俳優などを経て、会社勤めの傍ら花火大会でかき氷屋台を出店。2011年、当時では珍しい通年営業のかき氷店「ひみつ堂」をオープン。

年中食べたい!四季のかき氷

ふわふわの雪のような氷に、季節の素材を使った特製みつがたっぷり・・・。ここ数年のブームで夏スイーツの主役の座を揺るぎないものにした「進化系かき氷」。ブームの先駆けであり、真夏は5時間待ちも当たり前、一日に1000杯ものかき氷を売るのが、東京・谷中のかき氷店「ひみつ堂」だ。

その人気の“ひみつ”は、店主の森西浩二さんが作るシロップ「氷蜜(ひみつ)」にある。イチゴそのもの以上に果実感溢れる「ひみつのいちごみるく」など贅沢な生フルーツみつや、「パンプキンクリームキャラメル」など冬が旬の素材にクリームを合わせたこってり系まで、オリジナリティあふれる四季折々のメニューが常時10種前後用意されている。

人気メニューの多くが練乳や糖蜜などの基本パーツと、旬の食材の組み合わせで作られる。「氷に合わせても薄まらないよう、香りや味のしっかりした素材を選び、持ち味を引き出す方法で作っています」

かき氷は“みつ”の組み立て――「基本みつ」

フルーツみつのベースとなる「糖蜜」

フルーツは加熱せずに糖蜜と合わせることで、風味を損なわずにフレッシュなみつが作れる。旬のフルーツで季節の味を試したい。

[作り方]
グラニュー糖1㎏と水1Lを鍋で沸かし、グラニュー糖が溶けたら完全に冷ます。

どんな素材とも相性抜群「練乳」

ひみつ堂では、自家製の練乳と脱脂濃縮乳を使った濃練乳を用意し使い分けている。今回紹介する3種のみつを使った氷も全て練乳をたっぷりかけた「ミルク氷」がベース。

[作り方]
容器に牛乳とコンデンスミルクを同割で入れて蓋をし、泡立たないようよく混ぜる。


「御浜レモンピールみつ&レモンみつ」材料と作り方

酸味がまろやかでフルーティな三重県御浜産のレモン。果汁は加熱せずフレッシュに、ピールは煮つめて滋味深いみつに。冬はレモンで、夏は甘夏にも応用できる。ヨーグルトにかけても。

[材料]
<レモンみつ>
レモン果汁・・・レモン5㎏分
糖蜜(上記参照)・・・果汁と同量

<ピールみつ>
レモンの種と果肉・・・レモン5㎏分
レモンの皮・・・レモン5㎏分
グラニュー糖・・・3㎏
水・・・1.5L

[作り方]
<レモンみつ>
[1] レモンを搾る

レモンは半分に切って搾り、目の細かいザルで果汁と果肉・種に分ける。

[2]果汁と糖蜜を合わせる

濾した果汁をそれと同量の糖蜜で割る。

<ピールみつ>
[1]果肉と種を煮る

果肉と種と水を鍋に入れ、中弱火で30分煮る。ザルで漉す。
POINT: 種からペクチンを取り出し、とろみをつける。

[2]皮を細切りにする

皮を縦半分に切ってから4㎜幅の細切りに。食感を残すため薄くしすぎない。
POINT:皮は厚くスライスしてむちっとした食感を楽しむ。

[3]煮る

の煮汁を寸胴鍋に入れ、かぶる程度の水(分量外)を加えて強火にかける。沸いたら弱火にし、レモンが透きとおり軟らかくなるまで1時間程度煮る。

[4]グラニュー糖を入れて煮詰める

グラニュー糖を入れ、吹きこぼれないよう弱火で煮詰めていく。30分程で艶が出てきたら火を止める。冷めるととろみが出る。冷蔵庫で一晩寝かせて完成。


「さつまいもクリームみつ」材料と作り方

甘味の濃い「なると金時」を使ったまろやかなクリーム。かぼちゃクリームとともに「ひみつ堂」の冬を代表する味。パンケーキのソースにも。

[材料]
練乳・・・800g
サツマイモ(なると金時)・・・800g
生クリーム・・・200g

[作り方]
[1]サツマイモを蒸す

サツマイモは10㎝幅に切り、串がすっと通るまで蒸す。冷めたら皮を剥く。
POINT:皮は厚く剥いて刻みトッピングに!

[2]フードプロセッサーにかける

をフードプロセッサーに入れ、形が崩れるまで軽く回す。

[3]練乳を加える

回しながら練乳を3回に分けて加え、サツマイモの粒がなくなるまで回す。
POINT:練乳でコクを出す。

[4]生クリームを加える

生クリームを加えてさらに回し、少し空気を含んでふわっとしたら完成。
POINT:空気を含ませ、軽いクリームに。

「ドライフルーツみつ」の材料と作り方

ブランデーとラム酒に漬け込んだ大粒のドライフルーツは最後に炊き上げることでこっくりとした味わいに。

[材料]
ドライフルーツのブランデー漬け*・・・1㎏
ハチミツ・・・200g

*ブランデー漬け(作りやすい分量)
ドライフルーツ(プルーン、キウイ、パパイヤ、クコの実など10種)・・・各適量
ブランデー・・・適量
ダークラム・・・ブランデーと同量

[作り方]
[1]ドライフルーツは各々、沸騰した湯に入れひと煮たちさせてザルにあけ、1.5㎝角に刻む。
[2] 消毒した瓶に入れ、ブランデーとラムを1:1で合わせたものをフルーツが浸るまで注ぎ、時々混ぜながら3カ月漬け込む。
[3]鍋にを1㎏移し、ハチミツを入れて中火にかける。
[4]木べらでかき混ぜながら煮詰める。
[5]水分がなくなり、照りが出てきたら火を止める。

(右)ドライフルーツみつを使った「錦冬雲(きんとううん)」。優しい味わいのミルク氷にキャラメルソースの苦味とこっくり煮詰めたブランデー漬けドライフルーツを。(中)「御浜レモン ヨーグルトクリーム」。ヨーグルトクリームが潜む練乳たっぷりのミルク氷に、ほろ苦いレモンピールとさわやかなレモンみつを添えて。(左)「さつまいもクリームキャラメル」。ミルク氷にキャラメルソース、表面には濃厚ななると金時のクリーム。塩のアクセントが印象的。


東京・日暮里「ひみつ堂」の店舗情報


◎ひみつ堂
東京都台東区谷中3-11-18
☎03-3824-4132
7/17〜9/1は8:00~19:00、無休
それ以外の期間は曜日により定休日、営業時間が異なる
JR日暮里駅より徒歩4分
http://himitsudo.com/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2018年4月号掲載)

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