家で気軽に王道イタリアン!「オトナノイザカヤ中戸川」に教わるワインがすすむみそ使い
2024.12.19
【PROMOTION】
text by Noriko Horikoshi / photographs by Daisuke Nakajima
本場仕込みの手打ちパスタの隣に、魚介のぬたやハムカツが並ぶ。本格イタリアンと和の惣菜でワインを楽しめる「オトナノイザカヤ中戸川」。和の発酵調味料をさらりと使いこなし、イタリア料理の王道に着地させる中戸川弾シェフのみそ使いを教わります。
目次
- ■シンプルな家庭料理でつなげるみそ×イタリアン
- ■タイプ違いの6種類のみその味わいを検証
- ■和の発酵調味料で王道イタリアンを気軽に
- ■「白みそのサルティンボッカ 豚肉とセージ」の材料と作り方
- ■「豆みそのプッタネスカ タラのトマトみそ煮込み」の材料と作り方
中戸川弾(なかとがわ・だん)
神奈川県小田原市生まれ。24歳で料理人を志し、日伊のイタリアンレストランで修業の後、2013年9月に東京・代々木上原に「オトナノイザカヤ中戸川」をオープン。たちまち大繁盛店に。16年9月には同じビルの隣室に創作和食メインの2号店「キガルニワショク弾」も誕生。和伊テイストの料理に寄り添うイタリアワインと日本酒の品揃えにも定評がある。
シンプルな家庭料理でつなげるみそ×イタリアン
イタリアンの修業経験こそ長いものの、「自分のつくる料理のルーツは、子ども時代に食べて育った祖母や母の家庭料理です」と話す「オトナノイザカヤ中戸川」オーナーシェフの中戸川弾さん。和食中心の中戸川家の食卓では、当然ながらみそが身近な存在だった。
「朝晩のおみそ汁だったり、ふろふき大根だったり、酢みそ和えだったり。祖父の晩酌には金山寺みそのおつまみ、おやつにはピーナッツみそという感じで、何かしらの形で毎日口にしていた食べ物。まさにソウルフードですね」と、その親密ぶりを振り返る。
既に店では自家製の唐辛子みそやみそ床を自在に使い馴らし、日々のメニューには、白みそ入りのベシャメルで仕立てる白子のグラタンや春巻のような創作料理も並ぶ。ジャンルレスな引き出しを多く持つシェフの手にかかれば、 “イタリアン×みそ”の掛け算など朝飯前。かと思いきや、「なじみがありすぎて、逆に発想しにくいところがなきにしもあらず。昔から知っているみそ料理に引っ張られてしまうんですよね」と苦笑まじりに打ち明ける。
“いかにも和風イタリアン”ではなく、イタリア人が普段食べているような王道の家庭料理に着地させたい。というわけで、まずは味わいも個性も異なる6種類のみそをテイスティングいただくことにした。
タイプ違いの6種類のみその味わいを検証
(右から)
①京都の米みそ
沖縄・粟國島の塩を使って仕込んだ上品な甘口の白みそ。中戸川さんにとっては、「柏餅のみそ餡に直結する味。米麹由来の甘味だからくどさがなくて、純米酒を思わせる透明感もある。ヒノキ、舞茸、サマートリュフのような香りのニュアンスもあり、イタリアンで出番の多い仔羊や仔牛など白身の肉全般に活用できそうです」。
②山形の米みそ
麹割合が約十割と高い白粒みそ。同じ白みそでも甘味より塩味が前面に出てガラリと印象が一変。「トスカーナの白インゲン豆の料理を思い出す質感。熟れた洋梨のような香りも感じます。ワインとの相性でいえば、粘性のあるゲビュルツトラミネールやリースリング。色は白いけれど熟成感、茶色のみそっぽさがしっかりありますね」
③山形の米みそ
山形の田舎みそに特徴的な粒立ちと、甘味とコクのバランス。中戸川さんの生家で使っていた信州みそに最も近い風味という。「子供の頃は考えもしなかったけれど、クルミ、ナッツ、ニッキの覚えのあるスパイス感。フレッシュだけど奥行もあり、焼きもの全般にいいですね。ボルケッタに巻き込むような使い方も面白そう。ワインはトスカーナの赤をコップで、ぐびぐびがイメージ」
④大分の麦みそ
低温で寝かせた6カ月熟成タイプの麦みそ。九州に多い淡色系の麦みそに比べ、甘味が控えめでコクもしっかり。「みたらし餡のような香ばしさ、カカオ感。ヤマメやイワナなどの川魚のソテー、鰻のグリル、タプナードにも使ってみたい」と興味津々。「白ならトレンティーノ=アルト・アディジエ、赤なら凝縮感のあるアマローネを合わせたい」
⑤愛知の豆みそ
伝統のみそ玉製法、18カ月以上の木桶熟成で仕込む非加熱の豆みそ。特有の練れた熟成香と複雑な旨味、酸味の存在感が濃厚で、ひと舐めするや、「ド直球でイタリアンにはまる!」と中戸川さんの力強い太鼓判が。「ストレートに浮かぶのはプッタネスカ。みそそのものにブラックオリーブやドライトマトの風味があって、トマトソースとの相性も笑っちゃうくらい完璧(笑)」
⑥秋田の米みそ
「一番ボリューミーで、エキス感が強い」と評されたのが秋田の粒みそ。麹歩合が高く、熟成期間も長い贅沢な造り。「赤身肉、ジビエにどんぴしゃりの力強さ。オリーブオイルでのばしてバーニャカウダソースに仕立てるのもありですね。ワインは、ずばりピエモンテの赤。上級クラスの1本に負けない深みと奥行を感じます」
和の発酵調味料で王道イタリアンを気軽に
実際にみそを味わい比べてみれば、次から次へとインスピレーションが湧いて止まらず、「どれも意外といけそうですね」と余裕の笑みを浮かべる中戸川さん。最終的な候補に残したのは、イタリアンの調味料に使うには最もクセが強めといえそうな京都の白みそと愛知の豆みその“紅白コンビ”だった。
まず白みそのほうは、ローマのあるラツィオ州の郷土料理として有名な「サルティンボッカ」に。本国では仔牛肉を使うのが定番だが、今回は日本でも手に入りやすい豚ロースを使う。薄切り肉にセージと生ハムを重ねて粉をはたき、バターとオイルで両面を焼くだけの簡単な手順だが、最後のソースに白みそを足し、オリジナルにはないコクと風味を加えるのが文字通りの“ミソ”。
「イタリアすぎて、びっくりしますよ」
中戸川さんの言葉どおり、どこからどう見ても“ザ・サルティンボッカ”な一皿が目の前に運ばれた。肉にナイフを入れ、バターソースをたっぷりからませて頬張ると、確かにローマっ子の「ボーノ!」の大合唱が聞こえてきそうな本場感が。しかし、後口にハードチーズを噛んだときのような旨味と酸味がはんなりとからみ、心地よい余韻が膨らむ。発酵調味料ならではのみその気配が、通奏低音のごとく控えめに効いている。
「熟成感が強すぎないので、食材寄りの使い方ができるのが白みその強み。トスカーナの豆ペーストを使うのと同じ感覚で、発酵のほどよい旨味を重ねられるよさがあります」
続く二皿目は、ナポリの名物パスタ「プッタネスカ」だ。本来はアンチョビー、オリーブ、ケイパーの塩味を効かせたトマトベースのパスタだが、ここでは3つの食材をすべて省略して豆みそを投入。塩味、酸味、旨味といった味の要素をすべてカバーし、まとめ上げる豆みその力あってのアレンジといえる。しかも、和のみそ煮込み風味はみじんもなく、完全にイタリアの味に同化していることに驚くばかり。
「むしろ、ケイパーではこれほどのコクは出せないかも。こうやってみそを足すだけで、ほらもう味が決まった!」と、ガッツポーズの中戸川さん。
ブルーベリーの果実感豊かなシチリアの赤を合わせると、豆みその豆鼓感が花火のように花開き、華やぐ。
使いきれず余らせてしまいがちなアンチョビー、オリーブ、ケイパーを、わざわざ買い揃えずに済ませられるのもありがたい。家で気軽に王道イタリアンを楽しむために、2種類のみそはもはや常備必至と言ってもよいかもしれない。
「白みそのサルティンボッカ 豚肉とセージ」の材料と作り方
[材料・分量(2人分)]
豚肩ロース肉・・・300g(5〜6㎜厚さの切り身4枚)
生ハム・・・4~6枚
セージ・・・4枚
薄力粉・・・適量
バター・・・20g
オリーブ油・・・35g
白ワイン・・・75g
白みそ・・・30g
塩・・・適量
[作り方]
【1】豚肉、セージ、生ハムを重ねる
豚肉の片面にセージを1枚分ずつちぎってのせ、表面を覆うように生ハムを広げて重ねる。
【2】薄力粉をはたく
肉の両面に薄力粉を薄くはたく。
【3】オリーブ油とバターで焼く
フライパンにオリーブ油、バターを入れて中火にかける。バターが溶けてきたら生ハムの面を下にして肉を焼く。たっぷりの油脂の中で泳がせるイメージで。
【4】縁が白くなったら裏返す
縁が白くなってきたら裏返し、反対の面も焼く。POINT:バターを焦がすと風味が台無しになるため、高温になりすぎないよう火加減を調整する
【5】肉を取り出す
肉の裏面はすぐに火が入るので、焼きすぎに注意。早めに取り出し、バットに広げておく。
【6】白ワインと白みそを加える
肉を取り出したフライパンに白ワインを足し、白みそを入れて溶き混ぜる。白みそのアルコール分が飛びすぎないよう、弱火でふつふつの火加減をキープしながら軽く煮詰める。
【7】肉を戻し入れる
フライパンに肉を戻し、バットにたまった肉汁も加え、弱火にかけながらソースを絡める。
【8】肉を器に盛る
ソースが全体に絡まったら、肉を器に盛る。
【9】ソースを乳化させ、肉にかける
フライパンに残ったソースの味を見て、足りなければ塩で調整し、肉の上に回しかける。油が分離してしまった場合は水少量を足して温め、乳化させればOK。
「豆みそのプッタネスカ タラのトマトみそ煮込み」の材料と作り方
[材料・分量(2人分)]
甘塩タラ・・・2切れ
トマト水煮(缶)・・・200g
豆みそ・・・25g
ニンニク(みじん切り)・・・1片
鷹の爪・・・1本
オレガノ・・・適量
オリーブ油・・・30g
ショートパスタ・・・200g
※パッケリなど太めのタイプ推奨
塩(茹で湯用)・・・20g
[作り方]
【1】パスタを茹でる
鍋に水2L(分量外)、塩を入れて沸騰させ、パスタを茹でる。
【2】ニンニクの香りを引き出す
フライパンに半量のオリーブ油、ニンニク、鷹の爪を入れ、中火にかける。油が温まり、香りが立ってきたら火を弱める。
【3】トマト水煮と豆みそを加える
ニンニクがほんのり色づいたら、トマトの水煮を潰して入れてひと混ぜし、豆みそを加え混ぜ、弱火で煮込む。途中、煮詰まりそうになったら水を足す。
【4】タラを焼く
別のフライパンに残りのオリーブ油を入れて温め、強めの中火でタラの両面を焼く。6割ほど火が通った状態で火からおろし、皮と骨を取り除き、身をざっくりとほぐす。
【5】ほぐしたタラをソースに加える
ソースの入ったフライパンにほぐしたタラの身を加えてひと混ぜする。
【6】パスタにソースを絡める
茹で上がったパスタをフライパンに移し、ソースを絡める。
【7】仕上げにオレガノを振る
器に盛り、好みでオリーブ油(分量外)を回しかけ、オレガノを振る。
◎オトナノイザカヤ中戸川
東京都渋谷区上原1−33−12 ちとせビル 2F
☎03-6416-8086
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月曜休
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