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RECIPE

スキレットで「チキンピカタ」を。愛用ギアで楽しむアウトドアクッキング

アウトドアレシピ14

2023.05.18

スキレットで「チキンピカタ」を。愛用ギアで楽しむアウトドアクッキング

photographs by Kiyu Kobayashi

連載:アウトドアレシピ

アウトドアの新メニューに加えたい、外でも作りやすく、家でもリピートしたくなる味を人気店に習います。今回は、休日にキャンプを楽しむシェフ、「オルガン」「ウグイス」の紺野真さんに、愛用のスキレットで作るアウトドア料理を教わります。

教えてくれたシェフ
東京・西荻窪「オルガン」紺野真さん

紺野真さん

ワインビストロ、西荻窪「オルガン」、三軒茶屋「ウグイス」オーナーシェフ。1969年東京都出身。都立戸山高校卒業後、87年に米国・ロサンゼルスに移住。南カリフォルニア大学に通いながらロックスターを目指すも、現地のレストランで働いた経験から食の世界に転向。97年に帰国し、「オーランデ・ブー」などで働いた後、05年「ウグイス」、11年「オルガン」をオープン。

店のレシピを“野外料理”にシフトチェンジ

忙しい合い間をぬってキャンプを楽しみ、SNSにも野外で寛ぐ姿を投稿する「オルガン」「ウグイス」の紺野真さん。野外で料理をするという不安定な調理環境の中、どんな道具でどう料理しているのだろう。

「せわしなく過ぎる日常の中で、キャンプは火と向き合い、自分や料理と対峙できる一つの場。車で行くので、意識して荷物を減らしたりはしません。ただ、キャンプだけしか使わないギアはほぼなく、日頃から店でも使う、手になじんだものを連れて行きます」

たとえば、「チキンピカタ」で使う「ロッヂ」のスキレットはもう10年選手。厚みのある鋳鉄製のフライパンは、ガンガン酷使しても丈夫で、持ち手が短いのでそのままオーブンに入れて調理ができ、店の仕込みには手放せない調理道具だ。「スノーピーク」の「コロダッチカプセル」は、使い慣れるにはコツを要するが、菓子を焼いたり、豚バラの塊を蒸し煮にしたりと、細身の型ならではのレシピを考えるのが楽しい。

「野外では、火加減の難しさや食材の下準備も踏まえ、店の料理をベースに、そぎ落としてシフトチェンジしていきます」

道具の特徴を熟知して使い分け、日常の食卓にも生かせるギア使いやアイデアを軸においしさを組み立てている。その上で焚き火という野外環境と調理を心から楽しんでいる紺野シェフ。思わず作りたくなるアウトドアアレシピを、家でも外でも挑戦してみては。

無理せず楽しめる野外レシピ

紺野さんにとって、スキレットやダッチオーブンは仕込みで使う“日常の調理器具”。店の料理から引き算したり、不安定な火加減でも失敗しにくい料理を選んだりと、無理せず楽しめる野外レシピへと落とし込む。

紺野真さん愛用のアウトドアギア

紺野真さん愛用のアウトドアギア

①陶器、アルミ製の器・・・作った料理を盛り付ける用にいくつか準備。
②ポット・・・「SOTO」の「ステンレスヘビーポットGORA」は厚みがあり本格的な料理も出来る。取っ手が外せて便利。
③コーヒーミル、ドリッパー・・・食後のコーヒーは手挽きの「ポーレックス」で。
④ダッチオーブン・・・「スノーピーク」の「コロダッチカプセル」は菓子作りに。
⑤シングルバーナー・・・焚き火時のアクシデントや少量の湯沸かしに備えて。
⑥コーヒーポット・・・「カリタ」のコーヒー専用銅製ポット。使うほどになじむ。
⑦ランタン・・・コレクションの一つ。「フュアハンド176e」は80年前の物。
⑧木板、カップ・・・カップは、白樺の木を用いたククサと呼ばれるフィンランド製カップ。
⑨木製の器・・・ 木製の食器は割れにくいので、キャンプに持っていくことが多い。
⑩スキレット・・・店の仕込みで長年愛用する「ロッヂ」のスキレット。今回はこれを使って作る「チキンピカタ」のレシピを紹介。
⑪火吹き棒・・・ 焚き火の火加減コントロールの必需品。
⑫ナイフ、鉈・・・ナイフは「ケラム」、鉈は「ユニフレーム」製。薪割り等に使用。

ランタン

調理器具はもちろん、アウトドアのギア全般に目がない紺野さん。ランタンは実用性だけでなく背景にも惚れ込みつい買ってしまう。

コーヒー器具

酒はもちろん、ソロキャンプではコーヒー器具も欠かせない。豆から挽き、「カリタ」のコーヒーポットで淹れ、じっくり味わうのが至福。

テント

取材で立てたテントは、紺野さんがいつも愛用している「ノルディスク」の「ファクシー4」、タープは「ヴォス20SL」。


「チキンピカタ」材料と作り方

[材料](1~2人分)
鶏胸肉・・・1枚(350g)
塩、黒コショウ・・・各適量
小麦粉・・・適量
E.V.オリーブ油・・・適量
ニンニク(つぶす)・・・1片(10g) 
ローズマリー(あれば)・・・1本
差し水・・・40g
タマネギ(スライス)・・・1/2個(130g)
バター・・・35g
白ワイン・・・60g
水・・・80g
ディジョンマスタード・・・15g
ケイパー・・・20g
レモン汁・・・15g
レモンのスライス・・・5~6枚
イタリアンパセリ(粗みじん)・・・適量

[作り方]
[1]鶏肉に粉をまぶす
鶏胸肉の両面に塩、コショウをして、厚さ1.5㎝程度にそぎ切りにする。小麦粉をまぶし、余分な小麦粉ははたいておく。

[2]鍋を弱火にかける
鍋(スキレット)にE. V.オリーブ油とニンニク、ローズマリーを入れて弱火にかける。

[3]鶏肉を加えて焼く

鶏肉を加えて焼く

香りが立ってきたら鶏胸肉を加え、両面を中~強火で焼く。途中、ニンニクやローズマリーが焦げそうなときは、取り出して、火を弱める(ソースに使うので取っておく)。

[4]鶏肉を取り出す
両面がキツネ色に焼けたら火から外し、肉を取り出す。

[5]旨味を煮溶かす
鶏肉から出た余分な油を取り除く。鍋に差し水を加えて、鍋底に付いた旨味を煮溶かし、鍋の温度を下げる。

[6]タマネギを加える
にタマネギとバターを加え、弱火でタマネギがしんなりするまで炒める。この間に、取り出しておいたのニンニクを粗みじん切りにする。

[7]白ワインを加える

白ワインを加える

ニンニクと鶏肉、ローズマリーを鍋に戻し、白ワインを加える。2分間程度、中~強火にかけ、白ワインのアルコール分を飛ばす。

[8]レモン汁を加える

レモン汁を加える

水とディジョンマスタード、ケイパー、レモン汁を加える。

[9]蓋をして煮込む

蓋をして煮込む

煮汁にとろみがつくまで、蓋をして弱火で約5分煮込む。仕上げにスライスレモンとイタリアンパセリを散らす。

スキレットで「チキンピカタ」を。愛用ギアで楽しむアウトドアクッキング

アメリカでポピュラーな、鶏の胸肉にレモンをギュッと搾って食べる爽やかなピカタ。肉を焼いた後にスキレットに付く旨味を焦がさないようにソースに閉じ込めて。



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(雑誌『料理通信』2020年11月・12月合併号掲載)

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