ハーブが香る「白インゲン豆のオイル漬け」
フェーズフリーな食材レシピ:白インゲン豆
2024.03.21
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photographs by Yasushi Ota
乾物や缶詰など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段の食事で使い慣れておくことで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回はイタリアの台所の常備品、白インゲン豆のオイル漬けを教わります。
目次
常備したい食材:白インゲン豆(乾燥豆)
教えてくれた人:「ア・カント」シェフ 村田 卓さん
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1970年、三重県生まれ。フィレンツェ「エノテカ・ピンキオーリ本店」、ピエモンテ、マルケ、カンパーニャなどのべ約10 年、イタリア各地で働く。2018年5月、自店をオープン。
煮上がりに塩を加える
「トスカーナ人、フィレンツェ人は、豆食い」と言われるだけあって、豆の種類も、豆を使った料理もとても多い。特に白インゲン豆は、家庭でも飲食店でも乾燥豆を戻して1年中使われています。パスタ、肉料理の付け合わせ、相性の良いタコと共にサラダにもしますね。大粒で、茹でた時に滑らかなカンネリーニ種が特に好まれます。
僕自身も素朴でほっとする味わいの豆料理が大好きです。豆が柔らかくなってから塩を加え、冷ましながら塩味を含ませるやり方は、フィレンツェの厨房で知りました。豆が割れたり、煮崩れしにくいように思う。冷めたら水気を切り、ハーブで香り付けしたオリーブ油に漬けると1週間近く保存できます。
豆を漬けた油も、店では野菜のクレマ(滑らかなスープ)、魚料理のソースなどにも使っています。香りオイルを作る時は、ローズマリーとセージは必須。トスカーナ料理、フィレンツェ料理に欠かせないハーブですから。
「白インゲン豆のオイル漬け」材料と作り方
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[材料](作りやすい分量)
白インゲン豆・・・300g
塩・・・適量(2つまみ程度)
<オーリオ・プロフマート>(香りオイル)
ピュアオリーブ油・・・1L
タマネギ(ざく切り)・・・1個
ニンニク(皮付きで横半分にカット)・・・3玉
ハーブ(ローズマリー、セージ、タイム、ローリエ)・・・適量
[作り方]
[1]白インゲン豆を戻す
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白インゲン豆をたっぷりの水(分量外)で一晩戻す。(夏は冷蔵庫、それ以外は常温でOK)
[2]水から茹でる
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水を捨てて鍋に入れ、たっぷりの水(分量外)で茹でる。沸騰までは強火、沸騰したらごく弱火で、アクを取りながら1時間半~2時間煮る。
[3]塩を加える
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豆がやわらかくなったら塩を2つまみ程度加える。火からおろし、常温でゆっくり冷ます。
POINT:煮上がりで塩をして、冷ます段階で塩味を含ませる。煮汁をなめて、塩味を感じる程度の塩加減に。
[4]鍋に香味野菜とハーブ、オリーブ油を入れる
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オーリオ・プロフマート(香りオイル)を作る。タマネギ、ニンニク、ローズマリー、セージ、タイム、ローリエを鍋に入れ、オリーブ油を注ぐ。
[5]フツフツと沸く火加減で香りを移す
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火にかけて、沸騰までは強火、その後、沸騰状態を保つ火加減で、タマネギ、ニンニクの断面が軽く色づくまで約 15分煮る。
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POINT:火が弱火すぎると生のタマネギ臭が油に出てしまい、強火だと材料が焦げて香ばしさだけになってしまう。油に風味を引き出す火加減で。
[6]豆を香りオイルに浸す
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5を火から下ろして常温に冷まし、ザルなどで漉す。水気を切った白インゲン豆に注ぐ。
[完成]
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大阪・谷町「ア・カント」の店舗情報
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◎ア・カント
大阪府大阪市中央区内久宝寺町3-1-10
☎06-7175-6383
12:00~12:30LO
17:30~19:30LO
水曜休(祝日の場合は翌日休)
大阪メトロ谷町四丁目駅より徒歩5分
https://www.a-canto.com/
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2019年1月号掲載)
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