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RECIPE

「麺屋武蔵」の骨太・ヴィーガン醤油ラーメン01【スープ~かえし編】

プラントベースの始め方11

Apr 18, 2022

photographs by Hide Urabe

健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを2回に分けて紹介します

教えてくれた人
東京・新宿「麺屋武蔵 新宿総本店」杉山浩二さん

杉山浩二さん。様々なラーメン店の調理を経て、8年前から麺屋武蔵のレシピ開発を担当する。ラーメン作り18 年。日本薬科大学と共同で開発した薬膳ラーメンや、宮城県復興支援のために同県産のほやを活用をした調味料「ほや醤」を開発するなど、コラボレーションで斬新なメニュー開発を続ける。『抽象と捨象のラーメン調理法』(麺屋武蔵著/旭屋出版)。


植物性素材だけで、“普通のラーメン”を目指せ!

魚介と鶏ガラの濃厚なWスープで作る骨太なラーメンで知られる「麺屋武蔵」。実は6年前(2013年)からヴィーガンラーメンを提供していたが、レシピを大幅に変更した。
ヴィーガンの人は〝普通のラーメン〞が食べたい。そう気付いたのはスタートしてから4年後。「麺屋武蔵」では、4作続けたヴィーガン麺を方向転換し、野菜主体から乾物を駆使した、ザ・醤油ラーメンに挑戦した。

「スープに使うだし素材は9種類。楚々と穏やかな和だしを重ねまくる」とレシピ担当杉山浩二さん。「羅臼昆布、3種の干しキノコ。栃木県青柳農園の肉厚な無漂白かんぴょう、豆と4種の香味野菜」。種類は多いが、どれも比較的家庭で手に入りやすい素材だ。

9種類と多いのは、豚や鶏ガラ、さらに魚介の旨味、だしのツワモノが重なるラーメンスープには、その倍量のエース級植物性だしが必要だから。だがもちろん何でも重ねるわけではない。

「“煮物”感はご法度」。ともすれば土っぽい強い味が出る干しシイタケには、上品な旨味の干しマッシュルーム、柔らかな甘味の干しエノキを合わせて丸みのある味に、豆は大豆臭さがない蒸し豆を使う。スープは味が濁らないよう静かに蒸す。

タレにはドライトマトを。植物性の旨味を華やかに昇華させる。ふわふわ浮かぶのは背油に見立てた大豆ミートの香味油、とろりと肉感たっぷりの車麩の角煮。
これぞ〝ラーメン〞の姿だ。強い味ながら食べ疲れないのは、あくまで植物性だから。

満を持して発売を開始した「ヴィーガン醤油ら〜麺」はヒット。続いて「味噌」、「塩」も展開し、2022年4月の試作室では朝採り筍で作るヴィーガン麺も誕生。「植物性でも自家製乾物や一度冷凍したキノコとか、おいしさを深める工夫は沢山ある」と杉山さん。

ヴィーガンだから、と上品な汁麺では終わらせない。脳髄に響くだしと香味油の誘惑のまま、前かがみに麺を勢いよくすすらせる。そんな“ラーメン”的美味も、備えている。


<植物性食材だけでおいしくなるコツ>


1 スープは、静かに蒸して、“煮物感”を出さない
2 かえしには、ドライトマトを加えて華やかな旨味を導く

「骨太・ヴィーガン醤油ラーメン」の作り方
【スープ編】

[材 料]
A
水・・・4L
羅臼昆布・・・80g
蒸し豆(市販)・・・200g
干しシイタケ・・・2 枚
無漂白かんぴょう・・・30g

B  
干しエノキ・・・300g
干しマッシュルーム・・・100g

キャベツ(縦半分に切る)・・・150g
白菜(縦半分に切る)・・・150g
タマネギ(くし切り)・・・3 個
赤唐辛子・・・1本

【下準備】
干しキノコを作る。マッシュルームをスライスし、エノキはほぐして適度な大きさにカットし、(空気がきれいな所で)半日天日に干し、90~95℃のオーブンで1 時間半乾燥させる。

【味づくりのステップ】乾物と香味野菜と大豆、9種の素材で底味を作る


(写真・左)基本のだし 昆布と干しシイタケ、大豆、かんぴょうで味の土台を作る。
(写真・中央)自家製干しキノコ2種 上品な旨味のマッシュルームと柔らかな甘味のエノキを乾燥させ、旨味に奥行きを作る。
(写真・右)香味野菜 キャベツ、白菜、タマネギで野菜の甘味をプラスする。

[1]食材を水出し

を合わせ、一晩水出しする。

[2]追い“キノコ”

1 を鍋に移し、強火にかける。沸騰直前で昆布を取り出し、B を加える。

[3]野菜の甘味を加える


キャベツ、広東白菜、タマネギ、赤唐辛子を加え、沸騰したらアクを取り除く。

[4]蒸してクリアなだしを作る

を耐熱容器に移して蓋をし、100 ℃のスチームコンベクションオーブンで約30 分蒸す。

[5]蒸し上がり

蒸すことで食材同士がぶつからず、澄んだスープがとれる。

[5]漉す

乾物と野菜だけのスープは和食の吸物のようにしみじみと贅沢な味。


「骨太・ヴィーガン醤油ラーメン」の作り方
【かえし編】

[材料]
水・・・400ml
干しシイタケ・・・20g
羅臼昆布・・・30g
セミドライトマト・・・10g
乾燥タマネギ ※・・・20g
ニンニク(叩く)・・・20g
ショウガ(叩く)・・・20g

みりん・・・160ml
酒・・・160ml
淡口醤油・・・500ml
再仕込み醤油・・・100ml
ザラメ・・・25g

※乾燥タマネギの作り方。タマネギをせん切りにし、天日、またはフードドライヤーに6時間程あてて、完全に乾燥させる。

【下準備】
干しシイタケと昆布、ドライトマトを一晩水出しする。トマトはグアニル酸とグルタミン酸の両方を多く含み、醤油とも相性がよい。

[1]酒類を煮切る

鍋にみりんと酒を入れて中火でアルコールを飛ばし、水出ししただし、残りの材料をすべて加える。

[2]沸騰させない

沸騰直前で火を止め、そのまま粗熱を取り、ザルで漉す。



◎麺屋武蔵 新宿総本店
東京都新宿区7-2-6 K-1ビル1F
☎03-3363-4634
11:00~22:30(偶数月の第1月曜のみ~20:00)
無休
各線新宿駅より徒歩4分
https://menya634.co.jp 

※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため要請に合わせて営業時間が変わることがあります。
※2022年4月現在、店舗でのヴィ―ガンラーメンの提供はお休み中です。

(雑誌『料理通信』2019年7月号掲載)

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