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RECIPE

細やかな温度調整でとろとろに「焼きネギのマリネ」

レスキューレシピ【冬野菜編】

2024.02.15

photographs by Kouichi Takizawa

photographs by Kouichi Takizawa

連載:レスキューレシピ

日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピをシェフに教わります。今月のテーマは【冬野菜】。カブや長ネギ、冬においしくなるサツマイモなど、ある程度日持ちはするものの、安心しているとつい食べ時を逃してしまう・・・。そんな日常の食材を上手に使うワザを紹介します。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)

目次






教えてくれた人:「バル エンリケ」星野伸一さん

フランス料理店からホテルを経てスペイン料理の道へ進み、10 年修業を積む。1998 年に独立した後、2009 年に東北沢から現在地に移転。

フランス料理店からホテルを経てスペイン料理の道へ進み、10 年修業を積む。1998 年に独立した後、2009 年に東北沢から現在地に移転。

ネギに寄り添って作る

スペインには「カルソッツ」という種類のネギを焼いて、ロメスコソースで食べる料理があります。直火で真っ黒に焦がした皮を剥き、中の軟らかい部分だけを食べるのですが、僕は外側を捨てるのが嫌で。日本のネギは外側もそんなに硬くないのでもったいない。ネギを丸ごととろっと仕上げるために考えたのが、この方法です。

この料理はね、とにかく「じっくり、ゆっくり」が大事ですよ。焦って高い温度で焼くと、ネギが焦げてしまいます。焼き色がつかないように、こまめにネギに油を絡めながら火を入れます。油が沸いたら少しずつオーブンの温度を下げていき、時間をかけて煮る。途中で油にネギの旨味エキスが溶け出して、濁ってきます。それを目安にしながら、焼き時間を調整してください。夏のネギは比較的細いけれど、冬のネギは太くて、これよりも時間がかかります。

22 年前からずっと、このメニューを出しています。同じものを一年中作るというのは難しい。夏と冬ではネギの味も太さも違う。素材が変わってもお客様には同じ味で出さなきゃいけないから、素材に寄り添って、状態を見極めながら料理します。

目指すのは、ネギのとろっとした滑らかな食感。オーブンで焼いていると、油に浸かっていない表面が乾いてきます。それを一つずつ丁寧に裏返して、油の中に沈めて冷ますのも重要なこと。こういった細かなお世話で、味に違いが出ます。それから、破れてしまった皮は除く。見栄えも口当たりも悪いので、お客様には出しません。

温かいままでもいいですが、2晩くらい経って、塩がなじんだ頃が一番おいしい。塩は油に溶けにくいからです。甘いロメスコではなく、アイオリの塩気を添えるとネギの甘味がいっそう引き立ちますよ。

「焼きネギのマリネ」材料と作り方

「焼きネギのマリネ」材料と作り方

[材料](4皿分)
白ネギ(長さ5~6㎝に切る)・・・10 本
E.V.オリーブ油・・・適量
塩・・・5g

【仕上げ】
白ワインビネガー・・・小さじ1
アイオリソース*・・・適量
黒コショウ、パセリ(みじん切り)・・・各少量

*アイオリソース……卵黄1個、水小さじ1、ニンニク(すりおろす)中1片を泡立て器でよくすり混ぜ、菜種油約 150ml を少しずつ加えながら混ぜていく。途中乳化してきたら塩2つまみを加え、さらに油を加えながら乳化させる。オリーブ油 50ml を加えて同様に乳化させ、レモン汁 1/8 個分を加える。味を見て、少し味が薄いくらいに調整する。(時間が経つと塩が溶けて効いてくる)

【材料のポイント】素材の味は変えられない。よいネギを選ぶ

【材料のポイント】素材の味は変えられない。よいネギを選ぶ

「食材の味は後から変えられないもの。無理してでもいい食材を使う」とシェフ。冬は青い葉の先が枯れているものが、甘味があっておいしい。2L~3L の白ネギを選ぶ。夏は少々値段が張っても、軟らかくとろっとしやすい軟白ネギを。これもできるだけ太いものを選ぶ。

【道具のポイント】口の広い鉄フライパン

【道具のポイント】口の広い鉄フライパン

肉を焼いたり、仕込み時にも幅広く愛用している鉄のフライパンは 20 ㎝程度のコンパクトなものから大きなものまでサイズを5種類揃えている。ネギの量に合わせてちょうどよいサイズのフライパンを選ぶことも、「いい火入れ」の条件だ。

[作り方]
[1]油を温めネギを入れる

[1]油を温めネギを入れる

フライパンを中火にかけ、E.V.オリーブ油を深さ5㎜程度注ぐ。オイルが温まり過ぎないうちにネギを加える。
POINT:油を温め過ぎない。シュワシュワと音がするくらいの温度が目安。

[2]油と塩を絡める

[2]油と塩を絡める

弱火にして塩を加え、全体に油が絡むようにネギの上下を返す。一番下のネギが半分強浸るまで油を足す。

[3]オーブンで加熱:180℃×15 分

[3]オーブンで加熱:180℃×15 分

フライパンごと 180℃のオーブンに入れ、15 分ほど加熱。途中で一度、表面が乾かないよう、こまめにネギの上下を返す。

[4]オーブンで加熱:130~150℃×5 分

[4]オーブンで加熱:130~150℃×5 分

油がグツグツ沸いてきたらオーブンの温度を下げ、3 と同様にネギを混ぜてから 130~150℃で5分加熱する。

[5]オーブンで加熱:120℃×6~7分

[5]オーブンで加熱:120℃×6~7分

ネギの上下を返す。油の中にネギのエキスが混ざり、やや濁ってくる。120℃に下げ、6~7分加熱。

[6]オーブンで加熱:110℃×10~12 分

[6]オーブンで加熱:110℃×10~12 分

ネギがくたくたになり、油の嵩も増してくる。ネギの上下を返してから 110℃で 10 分ほど煮る。

[7]余熱で加熱

[7]余熱で加熱

ネギの上下を返し、オーブンの余熱でさらに 10 分。しっとり軟らかくなる。

[8]冷ます

[8]冷ます

ネギから剥がれた表皮を除き、表面が乾いた部分を裏返して油に浸しながら常温で完全に冷ます。

[9]味を馴染ませる
冷めたら油ごと深いバットに移し、冷蔵庫で保存する。すぐ食べてもよいが、2日ほど経った頃がおいしい。

[9]味を馴染ませる

POINT:これがネギの旨味!

仕上げは冷たいネギのマリネに白ワインビネガーを垂らし、黒コショウを散らす。

仕上げは冷たいネギのマリネに白ワインビネガーを垂らし、黒コショウを散らす。アイオリソースとブラックオリーブを添えて、ソースにパセリを振って提供。ネギのとろけるような質感と、柔らかな甘味が滋味深い。アイオリソースも上品にニンニクが香り、優しい味わいながら白ワインが進むおいしさ。

東京・中目黒「バル エンリケ」の店舗情報


東京・中目黒「バル エンリケ」の店舗情報

◎バル エンリケ
東京都目黒区上目黒2-10-4
☎03-3791-3023
17:30~23:00
日曜、祝日休(祝日が金曜、土曜の場合営業)
各線中目黒駅より徒歩4分
http://www.bar-enrique.jp/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2019 年 10 月号掲載)

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