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RECIPE

煮卵を南インド風にバージョンアップ

「大岩食堂」のスパイスつまみ 「半熟卵のアチャール」

レスキューレシピ【卵編】

Mar 31, 2022

photographs by Masahiro Goda

日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品においても、豊作で余ったり、規格外、傷、スレがあって売り物にならず、行き場のない食品が日々廃棄されているのです。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための食材活用レシピをシェフに教わります。今回のテーマは、卵。定番の卵料理にひねりを加えた秀逸レシピをお届けします。賞味期限が迫っても焦らず、卵料理を楽しみましょう。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」

教えてくれたシェフ
東京・西荻窪「大岩食堂」大岩俊介さん

東京・西荻窪のガード下商店街にある「大岩食堂」店主。1978年生まれ。イタリアンやカフェ店長を経て2011年スリランカへ。一般家庭で料理を習う。帰国後「エリックサウス」入店。八重洲店店長を経て、2015 年独立。「余ったカレー用のお米は、翌日炒めて『レモンライス』に。野菜の皮は、集めてスープに活用。ビリヤニなど翌日に持ち越せない料理は『まかない弁当』にしてラストオーダー後に販売しています」


煮込まず、スパイスソースで“漬ける”

本格的な南インドのミールスで知られる西荻窪「大岩食堂」。夜のもう1つの顔がスパイス酒場だ。南インド料理にひと工夫加えた、思わず酒盃を誘うつまみが燗酒やナチュラルワイン好きを出迎えてくれる。

香り豊かでスパイシー。だけど辛すぎない。これが醍醐味だろう。「あまり辛すぎるとワインやお酒に合いにくいので、唐辛子の使い方を工夫しているんです」と店主・大岩俊介さん。辛味が少なく旨味や香りが豊かなカシミールチリ、カイエンペッパー、パプリカの3種をブレンドすることで、香りも旨味も豊かで「辛いだけじゃない」塩梅に着地させているのだ。

夜の小皿料理は、和食店やイタリアン、酒場など、他ジャンルの店からヒントを貰うことが多いそうだ。「デパ地下のお惣菜もヒントがいっぱいですね」。たとえば、南インド料理の定番の1つ、卵のアチャールは、普通にレシピ通り作ると固茹でになるところを、卵を切ると黄身がとろりと流れ出る、ラーメン店の煮玉子のようなとろける半熟に。

卵の半熟を保つためには、ソースで煮込まず冷ましてから漬け込む手法を取る。卵に合わせて、カルダモンやクローブなど、華やかでキレのあるスパイスをチョイス。カイエンペッパーも香ばしさが出るまで加熱して深みを出すこと。酢の半量をレモン汁にし、酸のあたりをマイルドに。

これいいなと思ったら、そのまま倣うのではなく「僕なら=南インド料理店ならどうするか」を考え、組み立て直す。そのとき、よく用いる手法の1つが、“アチャール”。「塩気も酢も効かせた保存食的な惣菜なので、酒にも合いやすいんですね」。あとは、スパイスの“テンパリング”。最初に油にスパイスの香りを煮出してから、そのまま煮込みや炒めものに使うやり方と、煮出した油をサラダや和え物に後がけするやり方。アチャールよりも軽やかに仕上がる。

「インド料理の調味の要は塩くらい。なので、塩分量はとても大切です」。塩が決まれば、スパイスもバチッと鮮やかに冴えるので、分量はできるだけ正確に測りたいところだ。


「半熟卵のアチャール」材料と作り方

[材料]
卵(S~Mサイズ)・・・5~6個
油・・・100ml

【煮出し用スパイス】
マスタードシード・・・1tsp
フェヌグリークシード・・・1/2tsp

ニンニクショウガペースト*・・・50g
*皮をむいたニンニク:皮をむいたショウガ:水を1:1:2で合わせて、ミキサーでペースト状にする。

【仕上げ用スパイス】
カイエンペッパー・・・5g
パプリカ・・・15g
カルダモン**・・・5個分(0.8g)
クローブ** ・・・5個分(0.5g)
シナモン**・・・5㎝分(1.5g)
**店ではホールを軽く炒ってからパウダーにして使用。

レモン汁・・・20g
酢・・・80g
塩・・・5g

[1]卵を半熟に茹でる
鍋にたっぷりの湯を沸かして沸騰したら、冷蔵庫から出したばかりの卵を入れ、混ぜながら6分30 秒茹でる。茹で上げたら、すぐに氷水に取って殻をむき、冷ます。

[2]煮出し用スパイスを油で温める
アチャールソースを作る。鍋に油とマスタードシードを入れ、中火で温める。パチパチとスパイスが弾けてきたらフェヌグリークシードを加える。
POINT:焦がさないように冷たい油から始める

[3]ペーストを加える
スパイスから立つ泡が大きくなったら、ニンニクショウガペーストを加える。

[4]仕上げ用スパイスを加える
全体にジュワーッと泡立ち、キツネ色に色付いたら仕上げ用スパイスを入れる。中火をキープしながらしばらくかき混ぜ、香りを立たせる。


[5]味を調える
レモン汁、酢、塩を加えて味を調え、保存容器に移し、粗熱を取る。

[6]ソースに漬ける
半熟卵をアチャールソースに一晩以上漬ける。 

スパイスが染みた茹で卵を割ると、中からとろりと半熟の黄身が溶け出て、アチャールソースと絡む。酸味、辛味、塩味のバランスもばっちり。



◎大岩食堂
東京都杉並区西荻南3-24-1
西荻マイロード内
☎03-6913-6641
11:30~14:30LO
18:00~20:30LO(木~土曜)
月曜休
JR西荻窪駅より徒歩2分

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2019年8月号、2020年7・8月号掲載)

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