軽やかに旨味もアップ「牡蠣と白子のグラタン 酒粕ベシャメルソース」
レスキューレシピ【酒粕編】
2024.01.11
photographs by Sai Santo
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。この季節に出回る酒粕も、余らせてしまいがちな食材の一つ。未開封なら常温でも保存がききますが、開封したら冷蔵庫や冷凍庫で保管し、風味が変わらないうちに使い切りたいものです。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピをシェフに教わります。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」
目次
- ■教えてくれた人:「オトナノイザカヤ中戸川」主人・中戸川弾さん
- ■香り良く、軽やかで、キレのあるベシャメル
- ■「牡蠣と白子のグラタン 酒粕ベシャメルソース」材料と作り方
- ■東京・代々木上原「オトナノイザカヤ中戸川」の店舗情報
教えてくれた人:「オトナノイザカヤ中戸川」主人・中戸川弾さん
国内外のイタリア料理店で10年強経験を積んだ後、2013年に東京・代々木上原「オトナノイザカヤ中戸川」を、2015年に2号店「キガルニワショク弾」を開店。
香り良く、軽やかで、キレのあるベシャメル
同居していた祖父母の影響もあって、酒粕は小さい頃から慣れ親しんできた味でした。開店の時から、日本酒が進む味づくりにおいてはキー食材になると思い、迷わず取り入れてきました。
食材をしっとりやわらかくする、旨味を増やしてくれる、味わいにキレが出るなど、酒粕を使うメリットは数多くありますが、何より、本来なら時間をかけないと料理に出せない旨味やコク、香りが、酒粕を使えば簡単に実現できてしまうのが、愛用する一番のポイントです。
ベシャメルに使えばコクが出て香りがアップ。クリームや粉、バターの量が減らせる分、軽く仕上がり、身体が楽なので、家でもよく食べています。ボロネーゼも深みが出ながら重くならない。どんな料理も、酒粕がもたらす旨味や香味でお酒に寄り添うのがいいですね。
「牡蠣と白子のグラタン 酒粕ベシャメルソース」材料と作り方
[材料](作りやすい量)
タマネギ・・・1/4 個
ジャガイモ・・・1 個
■ 酒粕ベシャメルソース
牛乳・・・2L
バター・・・200g
薄力粉・・・200g
白味噌(西京味噌)・・・120g
合わせ酒粕*・・・100g
塩・・・適量
*菊姫大吟醸粕3:群馬泉丸粕1の割合で混ぜる
牡蠣・・・大4~5粒
白子・・・2片(約40g)
チーズ(グリュイエールなど)・・・適量
【酒粕の選び方】練り粕2種類をブレンド&使い分け
酒粕にも色々ある。酒を圧搾機で絞ったままの板状の粕、板粕をしばらく置いて軟らかくしたり(麹の糖化作用で粕が分解されるため緩む)、それを練ってペースト状にした練り粕など。店ではフレッシュな「群馬泉丸粕」(上)と、半年熟成させ香りと旨味が深まった「菊姫大吟醸酒粕」(下)を混ぜて使用。
[作り方]
[1]野菜に火を入れる
タマネギは皮ごと、ジャガイモはホイルに包んで、低温のオーブンで串がすっと通るまで丸ごと加熱する。牛乳を火にかけ、沸かしておく。
[2]ベシャメルソースを作る
フライパンでバターを中火で熱し、薄力粉を加えて練り合わせる。透き通ったら数回に分けて沸かした牛乳を練りながら加え、伸ばしていく。
[3]酒粕と味噌を加える
仕上げにブレンダーで回し、きめを整えてから白味噌、酒粕を加え、よく混ぜる。ひと煮立ちしたら塩で味を調える。
POINT:ベシャメルは、酒粕を加える前にブレンダーで撹拌しておくと混ざりやすく舌触りもよい。
[4]具材とソースを耐熱容器に入れる
耐熱容器に皮を剥いてくし切りにしたタマネギと輪切りにしたジャガイモ、その上に牡蠣と白子をのせ、3のベシャメルソースをたっぷりかける。
[5]オーブンで焼く
チーズをふって200℃のオーブンで6~7分加熱する。
ボテッと重たいベシャメルが、酒粕効果で軽やかに、更に旨味もUP。バターや粉の使用量も減らせる。
東京・代々木上原「オトナノイザカヤ中戸川」の店舗情報
◎オトナノイザカヤ中戸川
東京都渋谷区上原1-33-12 ちとせビル2F
☎ 03-6416-8086
17:00〜22:00LO
(日曜~ 21:30LO)
月曜休(祝日の場合は翌日休)
東京メトロ、小田急線代々木上原駅より徒歩1分
https://www.nakatogawadan.com/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2019年5月号掲載)
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