ぽったりとした甘味「ビーツのポタージュ」
レスキューレシピ【新顔野菜編】
2024.04.11
photographs by Masahiro “Lai” Arai
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピをシェフに教わります。今月のテーマは、産直便やマルシェで見かけることが増えている【新顔野菜】。買ってみたものの使い方に悩む、レシピのバリエーションが少ないために買うのをためらってしまう。そんな目新しい食材の攻略法と、上手に使い切るレシピをご紹介します。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」
目次
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■教えてくれた人
トリセツ担当:八百屋「青果ミコト屋」鈴木鉄平さん - ■レシピ担当:料理家「つむぎや」マツーラユタカさん
- ■茹でる、焼く、すりおろす、あるいは生!
- ■「ビーツのポタージュ」材料と作り方
- ■「青果ミコト屋」「つむぎや」の情報
教えてくれた人
トリセツ担当:八百屋「青果ミコト屋」鈴木鉄平さん
レシピ担当:料理家「つむぎや」マツーラユタカさん
茹でる、焼く、すりおろす、あるいは生!
ヨーロッパやアジアの品種や固定種といった新顔野菜に出会う機会が増えたけれど、初めて見る野菜はどう使う? 「青果ミコト屋」鈴木鉄平さんと、料理家のマツーラユタカさんに尋ねると、「ヒントは野菜の種類と原産国に隠れている」と2人。
例えばビーツはホウレン草やカブと同じ「ヒユ科」。ならば葉の部分はホウレン草と同じように使えばよい。また砂糖の原料であるビート(テンサイ)が同じ仲間なので、根の部分に甘味があるかも・・・と連想できるという。
「ビーツは主に根の部分を食べますが、葉も美味。デトロイトはしっかり火を入れることで甘味が生きます。色素が溶け出て茹で湯が赤く染まるので、丸ごと茹でてから皮を剥くか、独特の土の香りが苦手なら皮を剥いてオーブンでホイル焼きにしてから使います。生でも食べられ、ラペや、スライスしてサラダに入れてもいい。葉が付いていたら切り分けて別々に常温保存。1週間を目処に食べ切って」
【食材名】ビーツ各種
(右上)断面が渦巻き模様の「ビーツ・キオッジャ」は、薄くスライスして生食に。(左)「ビーツ・デトロイトダークレッド」は、加熱するとほっくり甘い。葉もアクがなく、美味。(右下)中がサフランイエローの「ビーツ・イエロー」は煮込んでも色褪せない。いずれも生食でも可。
【準備POINT】下調理は皮付き丸ごとで
旨味や色を逃さない。しっかり茹でると皮剥きも簡単。紅く染まった調理道具はレモン汁で掃除を。
【調理POINT】味噌や昆布だしとも相性◎
まろやかな旨味の昆布だしがいい相性。味噌は甘味の強い西京味噌がおすすめ。白味噌は種類によって塩分濃度が異なるので、味見しながら加えてください。
「ビーツのポタージュ」材料と作り方
[材料](2~3人分)
ビーツ・デトロイトダークレッド・・・小1個(200g)
ジャガイモ・・・200g
タマネギ(粗みじん切り)・・・1/2個
オリーブ油・・・大さじ1/2
ローリエ・・・2~3枚
バター・・・10g
昆布だし・・・600ml
塩・・・小さじ1/2
白味噌・・・大さじ3
粗挽き黒コショウ・・・少量
ディルヨーグルト*・・・適量
*水を切ったヨーグルト100gに塩小さじ1/2、刻んだディル3本分を混ぜる。
[作り方]
[1]切る
皮を剥いたジャガイモとビーツを1㎝幅にスライスする。
[2]炒める
厚手の鍋に中火でオリーブ油とバターを熱し、タマネギとローリエを加え、タマネギが透き通るまで炒める。1と塩を加えてさらに1~2分炒める。
[3]煮込む
昆布だしを加えて蓋をし、中火にかけ、ひと煮立ちしたら弱火に落とし、柔らかくなるまで煮込む。
[4]ブレンダーにかける
味噌を溶いてブレンダーにかけ、塩で調味する。
[5]仕上げ
器に盛り、オリーブ油(分量外)、黒コショウ、ディルヨーグルトを落とす。
ポタージュなら紅い煮汁ごと食べられるので、皮を剥いて使用。ぽったりとした甘味が印象的。昆布だしと白味噌で柔らかに。
「青果ミコト屋」「つむぎや」の情報
◎青果ミコト屋
「micotoya house」
神奈川県横浜市青葉区梅が丘7−8
☎045-507-3504
平日: 11:00~18:00
土日祝日: 10:00~18:00
ランチ(土から水曜):11:00~14:30L.O
木曜休
http://micotoya.com/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
◎つむぎや
www.tsumugiya.com
(雑誌『料理通信』2018 年5月号掲載)
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