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RECIPE

甘さ控えめな大人味「ウーロン茶マドレーヌ」

レスキューレシピ【お茶編】

2024.12.12

甘さ控えめな大人味「ウーロン茶マドレーヌ」

photographs by Atsushi Kondo

連載:レスキューレシピ

日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピをシェフに教わる連載「レスキューレシピ」。今回のテーマは【お茶】。余らせてしまいがちなお茶を使った、そのまま飲む以外のアレンジ方法として、茶葉の香りがふわっと広がる「ウーロン茶のマドレーヌ」を紹介します。甘さ控え目な大人の味わいです。

*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」

目次







教えてくれた人:東京・蔵前「菓子屋シノノメ」毛 宣惠(マオ シュエンホェイ)さん

東京・蔵前「菓子屋シノノメ」毛 宣惠(マオ シュエンホェイ)さん

1991年台湾生まれ。大学の写真学科を経て菓子作りの世界へ。2015年にパートナーと「from afar倉庫01」をオープン。東京都蔵前に17年「菓子屋シノノメ」、18年「喫茶半月」、22年「シノノメ製パン所」、23年には金沢に「茶室小雨」を、24年には東京都東向島にベーグル店「麦円」を開く。著書に『菓子屋シノノメの焼き菓子』(家の光協会)、『カフェのお菓子: 好きな飲み物と過ごす心地よい時間』(家の光協会)。


甘すぎない、誘惑のループ

ガラス張りの窓からは、アンティークの器に盛られた焼き菓子が見える。今日は何を買おうか。「菓子屋シノノメ」のドアを開ける時、私たちは少しだけ早足になる。眺めたい、迷いたい。それは、子どもが駄菓子を選ぶような、うきうきした感覚に近いかもしれない。

「実は私、甘いのが苦手なんです」という毛 宣惠(マオ シュエンホェイ)さんが目指すのは、「生地を食べ続けられる焼き菓子」。砂糖の甘さを控えめに、代わりに菓子ごとの食感を意識し、粉やナッツの組み合わせ、卵やバターの配合、焼成時間を調整する。

スペシャリテの「ウーロン茶マドレーヌ」は、保水性のある上白糖とハチミツを卵とすり混ぜ、しっとりしたテクスチャーに。生地は深めの型で一気に焼き上げ、表面はカリッ、中はふわっとやわらかく。焼きたては三重県産の黒ウーロン茶の香りが香ばしく立ち上り、時間を置けば発酵バターのコクとともに馴染みのいい口当たりに。一気に2、3個食べてしまうお客も多いという。

カウンターには常に15種類程度の菓子が揃う。「材料を重ねて複雑な味になり過ぎないよう、意識して組み立てています」と毛さん。口に含むと広がるお茶やハーブ、柑橘の優しい風味は、甘すぎないからこそ楽しめる大人の余韻だ。今日もまた、ドアを開けてしまいそうだ。


「ウーロン茶マドレーヌ」材料と作り方

[材料](縦6.8×横6㎝マドレーヌ型11~12個分)
薄力粉(エクリチュール)*・・・125g
ベーキングパウダー*・・・5g
発酵バター・・・100g
全卵(室温に戻す)・・・100g
上白糖・・・80g
ハチミツ(アカシア)・・・14g
黒ウーロン茶の茶葉(ミルで粉砕する)・・・4g
*薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるっておく。

〈ウーロン茶ミルク〉
牛乳・・・50g
ウーロン茶の茶葉・・・4g

[作り方]
[1]ウーロン茶ミルクを作る

ウーロン茶ミルクを作る

小鍋に牛乳を入れ、沸騰直前まで温める。ウーロン茶の茶葉を加えて濃いめに煮出した後、火を止める。粗熱が取れたら茶漉し等で漉す。

[2]バターを溶かす

バターを溶かす

小鍋にバターを入れて弱火にかける。50℃以上に熱してバターが溶けたら火を止め、40~45℃に保つ。

[3]砂糖と卵を溶きほぐす

砂糖と卵を溶きほぐす

ボウルに卵を溶きほぐす。上白糖、ハチミツの順に加え、砂糖が溶けるまでホイッパーですり混ぜる。【POINT】砂糖を加えたらすぐにすり混ぜる。

[4]ウーロン茶ミルクを混ぜる

ウーロン茶ミルクを混ぜる

ウーロン茶ミルクを加えて混ぜる。

[5]粉類と茶葉を加える

粉類と茶葉を加える

粉類と茶葉を加え、粉気がなくなるまでムラなく混ぜる。【POINT】ダマになるのを防ぐため一気に混ぜる。

[6]溶かしバターを加える

溶かしバターを加える

の溶かしバターを2~3回に分けて加え、その都度全体を混ぜる。【POINT】バターの温度が高すぎても低すぎても生地に馴染みにくいので注意。

[7]寝かせる

寝かせる

生地を混ぜ終わった状態。店ではタッパーに移し替え、冷蔵庫で一晩置く。

[8]型に絞り出す

型に絞り出す

マドレーヌ型に溶かしバターを塗り、茶漉しで強力粉を振る(共に分量外)。常温に戻したを絞り袋に入れ、型の八分目まで絞り出す。

[9]気泡を潰す

気泡を潰す

型の底を手で何度か叩き、生地内の気泡を潰し、表面を平らにする。

[10]焼成

焼成

200℃のオーブンで約12分焼き、170℃に下げて約3分焼く。【POINT】生地の中心部(おへそ)がぷっくり膨らんできたらおいしく焼けた証拠!

[11]粗熱を取る

粗熱を取る

オーブンから取り出す。熱いうちに型から外して裏返し、粗熱を取る。【POINT】裏返す際、型底を台に打ち付けると底側の蒸気が抜け、生地が離れやすい。

ウーロン茶マドレーヌ

三重県産黒ウーロン茶の茶葉を粉砕と煮出し、2種類加えて香りを出したスペシャリテ。これだけは切らさぬようにと多めに作るが、焼きたてを狙う人も多く夕方には売り切れることも。


東京・蔵前「菓子屋シノノメ」の店舗情報


菓子屋シノノメ
東京都台東区蔵前4-31-11
☎なし
12:00~19:00
定休日なし
都営地下鉄蔵前駅より徒歩4分
Instagram:@kashiya_shinonome

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

雑誌『料理通信』2020年2月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)

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