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佐々木章太さん(ささき・しょうた) ジビエ肉狩猟&流通&加工業
第1話「料理人の知恵で作る六次産業」(全5話)

People / PioneerFeb. 17, 2016

料理人が流通させる“ジビエ”





野生肉の狩猟・流通・加工の他、飲食業を営む「株式会社エレゾ社」代表・佐々木章太さん。
蝦夷鹿を中心として、北海道の野生(ジビエ)肉流通に風穴を開けた立役者です。

ジビエとは、狩猟によって捕獲された野性の鳥獣のこと。ジビエ料理はヨーロッパに古くからある食文化で、鳥獣が体に栄養を蓄える晩秋から冬に旬を迎えます。

日本で使われるジビエ肉はヨーロッパからの輸入が主ですが、最近では、国内でも鹿やイノシシ、山鶉や青首鴨などが狩猟され、レストランで提供されています。

とりわけ鹿は、駆除を目的に毎年一定量の狩猟が行われているものの、駆除された鹿はほとんど食べられることなく破棄されています。仕留め方や、と殺後の処理で肉の味が大きく変化するため、食肉とし



て流通させるにはプロの猟師の知恵と経験を必要とするのです。

そのため、国産ジビエを使うレストランでは、1)ジビエ肉専門の流通業者から仕入れるか、2)猟師と専属契約をして直送、3)あるいは自ら狩猟免許を取って狩猟に出るなどの方法をとっています。

ただし、ジビエ肉の流通業者は猟師組合であることが多く、その肉がどのように料理されていくかを知らないことがほとんど。猟師との個別契約の場合は安定供給を望めないこともあります。

そのような中で2004年、プロの料理人の目を持ち、狩猟のエキスパートを揃え、食用の肉として適切な処理と管理を行うジビエ肉の狩猟卸業者「エレゾ」が立ち上がりました。料理人が安心して購入できる、画期的な取り組みでした。

北海道の僻地の町に、年間300人が研修に来る。





「エレゾ社」がレストランと取引をはじめる際、佐々木さんは必ずその店に足を運びます。
「料理を一通り食べて、味の方向性を知ることで、シェフが好みそうな鹿肉の月齢や、熟成度についてある程度絞り込むのです」

佐々木さんはフランス料理の料理人でした。

「シェフとの話し合いや、肉の状態の絞り込みをする過程で、シェフのいわんとすることが理解できる。こちらからその方に合った肉の提案もできて、スムーズに進みます」

肉質や味は、その動物が生きてきた環境や餌、性別、月齢、そして熟成状態によって際限なくヴァリエーションがあります。すべてを料理人が把握するのは困難。そんなとき、料理と肉の両方を理解している「繋ぎ手」がいることは、シェフたちにとって大きな安心につながるのでしょう。

エレゾは大きく4部門に別れています。

1)生産・狩猟部門
狩猟、飼育、屠畜などを経て、枝肉にするまでを担う部門。

2)枝肉熟成流通部門
ロースや肩ロース、バラといった高需要部位を熟成管理し、会員レストランに卸す(熟成具合をレストランごとに個別対応)。

3)シャルキュトリー製造部門
低需要部位といわれるウデやモモ、内臓などを利用し、ハム、ソーセージ、サラミ、テリーヌなどシャルキュトリーや惣菜などの加工品を製造。会員レストラン以外の百貨店やワインショップを通じて一般消費者へも販売。

4)レストラン部門
レストランの楽しさを知らない若い層へのアプローチとなるよう、2013年度から札幌に直営ビストロを展開。

会社があるのは、北海道・十勝平野の開拓が始まった小さな港町。
2007年、たった3人で始めたエレゾは、今や社員12名に増えました。皆が料理人の経験を持ち、一部は狩猟免許を持ったハンターでもあります。そのほか、約60人のハンターと契約して十勝のジビエを供給しています。

人口約200人のこの町に、全国から名だたる店のシェフや料理人たちが見学や研修に来ます。
その数、年間約300~500人。町の人口より多いのです。
研修では、蝦夷鹿の狩猟、三元豚や短角牛、羊の解体作業、パテやテリーヌといった加工食品の製造などを体験します。

「“命”という視点からの料理のイマジネーションが、きっとあるはずだから」と、取引先の料理人たちからの積極的な研修依頼を受け入れる佐々木さん。研修がきっかけになり、料理店からエレゾへ転職してきた若者もいます。

料理人の知識をベースにした加工品作り





肉の流通組織を考えたときに、外せなかったのがシャルキュトリー製造部門。

ロースやバラに比べて需要の低いモモやウデも、調理方法によっておいしく食べられる。ならば自分たちで作ろう、というのが始まりです。
「大手ハムメーカーのような工業的なものではなく、フレンチレストランのシャルキュトリーを目指しました。薬品も殺菌程度で、最小限しか入れません」

原料の価値を上げるには、加工が“肝”。
「日本の農産業における今の課題は、加工だと思っています。そういう点で、料理人としての知識や経験は僕らの強み。加工のノウハウがあり、レストランの味についても知っているからこそ、高いクオリティの加工ができると思っています」

生産、加工、流通までを自分たちで行う六次産業は、生産者主導のことが少なくありません。そのなかで、消費者(食べ手)を理解し、高い加工技術を持つ料理人が舵取りをして、このような六次産業のビジネスモデルを作れたという点がエレゾの強みであり、大きな特徴のひとつなのです。
(次の記事へ)
text by Reiko Kakimoto


佐々木章太(ささき・しょうた)
1981年、北海道帯広市生まれ。プロのアイスホッケー選手を目指すも、家業を継ぐために飲食業界へ転身。料理専門学校卒業後、星野リゾートに就職、後に東京・西麻布のフランス料理店「ビストロ・ド・ラ・シテ」へ。2003年に帰郷し、実家レストランの経営立て直しに加わる。2004年、野生肉処理許可を取得。ジビエ肉の狩猟、流通、加工、飲食業を営む「株式会社ELEZO社」代表取締役社長。料理人の知恵と技術を生かしたジビエ肉の供給、加工品の製造でレストラン・小売店からの支持を集める。







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