かんぴょうの新提案「かんぴょうと白菜、生クリームのパスタ仕立て」
フェーズフリーな食材レシピ:かんぴょう
2022.09.29
photographs by Hide Urabe
乾物や漬物など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段から食事に取り入れ、使い慣れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回は、ユウガオの果実を乾燥させて作る乾物、「かんぴょう」をイタリアンのトップシェフがパスタ仕立てに! 驚き&発見のレシピです。
常備したい食材:かんぴょう
教えてくれたシェフ:東京・銀座「アロマフレスカ」原田慎次さん
1969年生まれ。栃木県足利市出身。高校時代、ラーメン店でのアルバイトで料理の面白さに目覚め、料理の道へ。東京・六本木「ヂーノ」などで修業。1998年に独立。2022年4月、京都・烏丸御池に「シンクロニア ディ シンジハラダ」をオープン。好きなかんぴょう料理はかんぴょう巻き。すし屋の〆には必ず注文し、お気に入りは具とシャリとのバランスが良い東京・新橋の「新ばし しみづ」。
使えるなぁ、かんぴょう!
以前から低糖質メニューをやっています。今回、かんぴょうを使った料理を試作してみて、「かんぴょう、アリだな(笑)。面白いな」って思いました。
この長い形状から、やっぱり連想するのはパスタ。いろいろ試したけど、特にポルチーニは抜群にかんぴょうと相性が良かった。ソースはオイル系のボンゴレとかは全然違ったね。それより優しいクリーム系。甘酸っぱいトマト系もいい。あまりこってりしすぎず、さらりとしたソースが合います。かんぴょうをそのまま食べた時に感じた上品な甘味を、消さずに生かせるから。
ゆで汁はそのままソースに使いましょう。食感に存在感があるから、具は歯応えのあるものより、やわらかい方が、メリハリがついてかんぴょうともよく絡みます。今回は白菜を蒸し焼きにして、トロリと甘く、香ばしくして加えました。
ただ、かんぴょうの食感には個体差がありますね。ゆで加減の見極めは大事かな。栃木県は国産かんぴょうの生産量で日本一だけど、僕の育った足利市はかんぴょうがさほどメジャーでなく、実は今回が初挑戦でした。知り合いのすし屋さんから、「この部分は歯応えがあって」なんて教わったけど、毎日使う方はその点を見極めているんだな、と感心しました。スタッフに食べてもらったけど評判も良いし。うん、使えるなぁ、かんぴょう。
「かんぴょうと白菜、生クリームのパスタ仕立て」 材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
無漂白かんぴょう・・・60g
白菜(外葉を剥いた、中心に近い部分)・・・1/4個
ブロード(鶏)・・・300ml
生クリーム(脂肪分42%)・・・90g
ラード・・・少量
塩、黒コショウ・・・各適量
パルミジャーノ・レッジャーノ・・・20g
生ハム・・・2枚
[作り方]
[1] 白菜を蒸し焼きにする
ココット鍋にラード、白菜を入れて蓋をし、弱火で約35分蒸す。断面を各10分、葉の外側を15分、焼き面を変えながら蒸す。
[2] 食べやすい大きさに切る
蒸し上がったら軽く塩を振り、3等分にカットする。
[3] かんぴょうをパスタの長さに切る
さっと洗い、水気を拭ったかんぴょうを約15㎝の長さにカットする。
[4] ブロードでゆでる
フライパンでブロードを中火で煮立て、かんぴょうを加えて蓋をして4、5分ゆでる。
POINT:乾燥の状態から鶏のだしを含ませる。
[5] 完全に戻る少し手前
かんぴょうのゆで上がり。
POINT:適度な食感を残すため、ゆで時間は通常の半分の時間にとどめる。
[6] 生クリームを投入
生クリームを加える。
POINT:かんぴょうのゆで汁は旨味があるので、そのままソースに使う。
[7] 白菜を加える
2の白菜を加えてトングで全体を混ぜ合わせる。
[8] パルミジャーノを加えて仕上げる
パルミジャーノ・レッジャーノを加えて軽くソースを絡めたら、完成。器に盛り、黒コショウをふり、生ハムをのせる。
香ばしくトロリと甘味のある白菜と生クリームソースが、ブロードが染みたほんのり甘いかんぴょうとまろやかに絡まる。コリッとした麺状のかんぴょうの程良い歯応えと、やわらかな具とのコントラストが後を引く。
◎アロマフレスカ
東京都中央区銀座2-6-5 銀座トレシャス12F
☎03-3535-6667
17:30~20:30LO
日曜、第一月曜休
東京メトロ銀座一丁目駅より徒歩1分
http://www.aromafresca-afsa.com/
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2017年12月号掲載)
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