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RECIPE

白味噌感覚で使える「酒粕クリーム&豚肩ロースの酒粕蒸し焼き」

レスキューレシピ【酒粕編】

2024.01.18

白味噌感覚で使える「酒粕クリーム&豚肩ロースの酒粕蒸し焼き」

photographs by Masahiro Goda

連載:レスキューレシピ

日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。この季節に出回る酒粕も、余らせてしまいがちな食材の一つ。未開封なら常温でも保存がききますが、開封したら冷蔵庫や冷凍庫で保管し、風味が変わらないうちに使い切りたいものです。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピをシェフに教わります。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」

目次







教えてくれた人:料理家・長尾智子さん

教えてくれた人:料理家・長尾智子さん

料理家、フードコーディネーター。単行本の出版や雑誌の連載などの執筆、商品開発、メニュー提案などと並行してオリジナルの器「SOUPs」を主宰。また、2019年に友人と東京・神宮前に「Bar Werk」をオープン。料理とお酒についてさまざまに実験中。

好みの酒粕を好みの柔らかさに

少し残った食材や香辛料を組み合わせれば、【おいしい保存】ができます。味つけの手伝いになるような、ささやかな保存のコツをご紹介しましょう。

酒粕はあまり得意ではありませんでしたが、ある蔵元でとてもおいしいものに出会ってから使うようになりました。練り酒粕というものもあるので、手軽にはそれを使えばいい。ただ、板状の酒粕をもとに自分の好みの柔らかさにアレンジした方が自家製の楽しみがあることは確かです。

味噌と合わせてもいいし、使ってみるととても面白い素材だと気づきます。自分ではほとんどやってこなかった和洋折衷、クリームやチーズを混ぜてグラタンのソースにするようなことも、時にはいいかなと思うような酒粕好きになってしまいました。

クリーム状になるだけで、酒粕のイメージはずいぶん変わります。お湯と一緒にフードプロセッサーで回すだけなので、自分の好きな酒粕で作ることが大前提。酒粕は搾り具合によって硬さがまちまちなので、湯の量は適宜加減を。使い方は味噌の感覚で。中でも白味噌がいちばん近いかもしれません。


「酒粕クリーム」材料と作り方


■仕込み時間:20~30分
■食べごろ:作った直後~
■保存期間:冷蔵で2週間、冷凍で2カ月

[材料](作りやすい量)
酒粕・・・200g
湯・・・200ml (多めに用意)
塩・・・小さじ1/2

[作り方]
[1]常温に戻す

常温に戻す

酒粕は常温に戻しておく。まだ固い状態。固すぎるようなら、電子レンジにかけてもよい(温めすぎに注意)。

[2]ゴムベラで馴染ませる

酒粕は常温に戻しておく。まだ固い状態。固すぎるようなら、電子レンジにかけてもよい(温めすぎに注意)。 [2]ゴムベラで馴染ませる

に湯の半量と塩を加え、ゴムベラで混ぜるようにして馴染ませる。

[3]フードプロセッサーへ

フードプロセッサーへ

をフードプロセッサーに入れる。まだ固いので、偏らないように注意。

[4]湯を加えながら回す

湯を加えながら回す

残りの湯を足しながら回す。時々止めて混ぜつつ、酒粕の水分に応じて湯を足しながらクリーム状にする。

残りの湯を足しながら回す。時々止めて混ぜつつ、酒粕の水分に応じて湯を足しながらクリーム状にする。

酒粕クリームの展開例「豚肩ロースの酒粕蒸し焼き」材料と作り方

[材料](2人分)
豚肩ロース肉(塊)・・・350~380g
酒粕クリーム・・・約大さじ2
ショウガの搾り汁・・・小さじ1/2
塩・・・少量
植物油・・・少量
アオサ・・・約10g
醤油・・・小さじ1/2

[作り方]
[1]豚肉は1人分3枚を目安に切り分ける。酒粕クリームにショウガの搾り汁を混ぜておく。アオサは水で戻し、水気を絞って醤油を混ぜておく。

[2]フライパンに油を温め、豚肉にごく軽く塩を振って焼く。強い焼き色はつけず、蓋をして3~4分蒸し焼きにする。

[3]豚肉の上下を返し、スプーンで酒粕クリームをのせる。再度蓋をし、弱めの火加減で2~3分蒸し焼きにする。

[4] 器に盛り(フライパンに残った酒粕ものせる)、軽く水気を切ったアオサを添える。

酒粕クリームの優しい風味を生かすよう、蓋をして弱めの火加減で蒸し焼きのように火を入れると、しっとりとした仕上がりで、味も穏やかに。ご飯よりもお酒向き。鶏モモ肉やカジキでも。

酒粕クリームの優しい風味を生かすよう、蓋をして弱めの火加減で蒸し焼きのように火を入れると、しっとりとした仕上がりで、味も穏やかに。ご飯よりもお酒向き。鶏モモ肉やカジキでも。

(雑誌『料理通信』2019年4月号掲載)

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