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JOURNAL / 世界の食トレンド

1日中立ち寄れる惣菜&トラットリアスタイルが人気!星付き出身シェフが作るナポリ伝統の味

Italy[Milano]

2024.08.01

1日中立ち寄れる惣菜&トラットリアスタイルが人気!星付き出身シェフが作るナポリ伝統の味

text by Yuko Suyama
(写真)「クレダ」はダリオ・ピサーニさん(左:32歳)とクレシェンツォ・モルランドさん(31歳)、若い2人のプロジェクト。ミラノに留まらず、イタリア各地や海外進出も視野に入れ、伝統の食文化をベースにしたクレダ精神を広めたいと意欲的だ。

このところミラノは、ナポリやローマの地方料理店進出が盛んだ。しっかりした味つけの南部料理は、どことなく温かみを感じさせ、ミラネーゼをも虜にする。

2024年3月、ミラノ市東南のポルタ・ロマーナ地区にオープンした「クレダ・ガストロノミア・ポポラーレ(CreDa Gastronomia Popolare:みんなの惣菜店)」もナポリ料理の店。シェフ、クレシェンツォ・モルランドさんとダリオ・ピサーニさん2人のアイデアで生まれた。それぞれがスペインや国内の星付き店で研鑽を積み、ミラノの店で知り合い、その後、調理技術に定評ある2人が同じ料理学校で教鞭をとるうちに、同郷ということもあり意気投合した。


惣菜ケースには、ナポリの代表的な料理やドルチェがカラフルに並ぶ。
(写真)惣菜ケースには、ナポリの代表的な料理やドルチェがカラフルに並ぶ。パスティエーラや多様な野菜料理は見ているだけでも食欲をそそる。ディスプレイされているフレッシュな野菜や果物も華やか。

店の惣菜ケースに並ぶのは伝統的なナポリ料理を中心に、新しい感覚を取り入れ、厳選した素材で作る地中海の味。例えばフリットしたナスとチーズの重ね焼きや、ミートボールのトマト煮などである。惣菜店ではあるが、店内にはカジュアルにテーブルセッティングをしたスペースがあり、食事ができる。惣菜に加え、隣の厨房で作るのは、出来立ての多様な野菜に64℃で調理した卵、赤牛レッジャーノ種のミルクで作るパルミジャーノチーズの薄切りと合わせた前菜(6〜9ユーロ)、プリモはモッツァレッラが糸を引く熱々のソレント風ジャガイモのニョッキなどのパスタ(13〜18ユーロ)、マリネしたバッカラなどのセコンド(18〜22ユーロ)、チョコレートとアマレーナのケーキなどのドルチェ(5〜7ユーロ)と、充実したメニューだ。

人気の高い料理のひとつの「ノンナマリア(マリアおばあさん)のミートボール」
(写真)店自慢、人気の高い料理のひとつの「ノンナマリア(マリアおばあさん)のミートボール」は、それぞれのおばあさんの思い出の料理から生まれた。偶然にもふたりのシェフの祖母の名前もマリア。特徴は、フレッシュ感を残したトマトソース。

調理済みの惣菜と作りたて料理を提供する「惣菜&トラットリア」は、近年、新業態として注目され増えている。惣菜を温めて提供するターヴォラ・カルダはあったが、注文を受けてから調理するメニューを備えた店は、最近のスタイルだ。忙しくて料理を作る時間が少ないと嘆くミラネーゼには、気軽に惣菜もテイクアウトできるのは嬉しい。クレダでも客の3割は、惣菜のテイクアウト利用だ。遅い朝食からランチ、午後のお茶、そしてグラスワインと惣菜でアペリティーヴォ、ディナーと様々なシーンに活用できる。週末ともなると家族連れで賑わう同店は、みんなに憩いの食を提供している。

アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノにバジリカータ産乾燥ペペローニのフリット添え。
(写真)アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノにバジリカータ産乾燥ペペローニのフリット添え。ニンニクとペペロンチーノのパンチあるソースに、歯応えのある太めのロングパスタを合わせ、カリッとした乾燥ペペローニのフリットの旨味と食感の妙が際立つおいしさ。

店名のクレダは、ふたりのシェフの名前、クレシェンツォとダリオから。
(写真)店名のクレダは、ふたりのシェフの名前、クレシェンツォとダリオから。近年、緑地帯を増やし整備が進んでいるオルティ通りは、市内でも価値が見直されている地域。通りに面した店前にもテーブル席が用意されている。

◎CreDa Gastronomia Popolare
Via Orti 12, 20122 Milano
☎+39 327 8995646
11:00〜23:00(日曜〜16:00)
月曜休
https://www.instagram.com/credamilano/

*1ユーロ=170円(2024年6月時点)

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