パリで活躍する日本人パティシエが語る「フランス産の乳だから作れる味」
パリ「Pâtisserie TOSHIYA TAKATSUKA」高塚俊也
2026.07.02
【PROMOTION】
text by Yukino Kano / photographs by Yuji Ono
洋菓子の世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」では、2大会連続で日本が優勝。日本人パティシエの技術と感性に世界の注目が注がれています。
フランス菓子のおいしさの骨格となるのが、バターやクリームなどの乳製品です。若手パティシエが群雄割拠するパリで、自身の店を開きフランス人客を魅了する「パティスリー トシヤ・タカツカ」高塚俊也さんの乳製品使いをフィーチャーします。
目次
- ■パリでお菓子を作るからこそできる社会貢献
- ■濃くて余韻があるのにすっきりと軽やか
- ■パティシエファーストではなく食材ファーストなフランス
- ■ノルマンディー地方のテロワールをピュアに感じるクリームチーズ
- ■フルール・ドゥ・ノルマンディーで作るデザートレシピ
- ■パリ「Pâtisserie TOSHIYA TAKATSUKA」の店舗情報
パリ「Pâtisserie TOSHIYA TAKATSUKA」高塚俊也
1984年埼玉県出身。「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」で4年半修業後、渡仏。南仏のパティスリーやトレトゥールで2年働き、パリへ。「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」、「ホテル・ランカスター」などを経て、2013年から10年間「レストラン ケイ」でシェフ・パティシエを務める。2025年4月、パリ15区エッフェル塔に近い閑静な住宅地に、「パティスリー トシヤ・タカツカ」オープン。
パリでお菓子を作るからこそできる社会貢献
フランスのパティシエは、今や、フランスのガストロノミー文化を料理人と共に牽引する主人公だ。腕利きパティシエたちが登場する催しは常に大人気、世界各地での出店やイベントも続々増え、彼らはスター的存在になっている。とりわけパリは、20~40代の比較的若い世代の実力派パティシエが多く、群雄割拠の時代に突入している。高塚俊也さんは、そんなパリで華やかなオートパティスリーの世界を創造する精鋭パティシエの一人だ。
2020年にミシュラン三ツ星を獲得した小林圭さんの「レストラン ケイ」で、2023年まで10年間シェフ・パティシエとして活躍した後、満を持して独立を考えた時に、自分はお菓子作りを通して何をしたいのか?と改めて自問した。出てきた答えは、“お菓子を通した社会貢献”。食べてもらう人に喜んでもらうことはもちろんだが、日本の上質な食材などをフランスに紹介したいというメーカーや生産者、あるいはフランスの地方で生み出されるハチミツや果物などのおいしさを、最高峰のパティスリーが集まるパリでお菓子を通して発信し、喜んでもらうことに自身もたくさんの幸せを感じてきた。
パリという場所でこそ、お菓子作りをしながらそうした人たちの力になれると考え、この街での独立を決めた。
濃くて余韻があるのにすっきりと軽やか
「フランスで暮らし始めた時、マルシェに行くと一帯に強く漂っている果物の匂いや、軽く焼いただけでも風味が際立つ小麦などの粉、そしてそんな果物や粉の強い味に負けることなくしっかりした香りやコクを持つ乳製品の特徴に驚きました。自己主張する国民性が、食材にも出るんだなぁと、面白かったですね(笑)」
フランス産の乳製品は、香りやコクが強いと同時に、すっきりした軽やかさも併せ持つと感じている。店で使うバターは、ブルターニュ地方の生産者のもの。乳酸発酵のキレと風味の濃さがあって後味も長く余韻があると同時に、すっとした味と食感の軽やかさも併せ持ち、クセが強すぎないのが魅力だ。生クリームは、大手メーカーのもの。立てた時にしっかり空気を含み、味は芳醇なのに口当たりが軽い。
「日本の生クリームは、立てるとクリームの密度が高い気がします。乳脂肪の質の違いなのかもしれませんね」。牛乳は、ノーブランドの低脂肪のもの。クリームやバターの強さを軽めに調整するのに使い勝手がいい。
パティシエファーストではなく食材ファーストなフランス
「濃くて余韻があるのにどこかしら軽やか・・・。矛盾とも思える特徴が共存しているのが、フランスの乳製品、とりわけバターや生クリームの魅力だと感じています」という高塚さん。そんな魅力を持つフランスの乳製品を、“生かす”というよりも“そのものを食べる”イメージで作ったのが、フランだ。フランス人が子どもの頃から慣れ親しむおやつだが、近年、パリでは名だたるパティシエがフランを洗練されたお菓子に昇華し、ブームになっている。高塚さんのフランは、アパレイユに対し底生地の割合は少なめで、乳製品の味や食感を限りなくストレートに表現した。
風味は濃いのに焼くと軽い口当たりになるフランス産バターの魅力は、サブレやマドレーヌなどシンプルな焼き菓子で花開く。
パリ・ブレストは生クリームをムースリーヌに仕立て、空気をたっぷり含んだ軽やかな食感を引き出した。日本風のロール・ケーキも店の人気商品だが、クリームの量が実にたっぷり。味は濃いのに口当たりが軽いフランス産生クリームの特徴を生かした、フランスでだからこそ作れる構成だ。
「日本の乳製品は種類豊富で、パティシエファースト。こういう生クリームが欲しい、と思えばピッタリ好みのものが見つかります。でもフランスは、種類が少なくてある意味、食材ファースト。目の前にあるバターやクリームが主役で、これをどうやって生かしてお菓子にする?という、やりがいあるチャレンジをしている感覚があります。食材やテロワールへのリスペクトがあり、人はごく自然にそれらに囲まれて生き、料理やお菓子を作っている。そんなフランスの食材で、フランス人と共に暮らしながら菓子作りをするのは、素晴らしい経験です」
ノルマンディー地方のテロワールをピュアに感じるクリームチーズ
「フルール・ドゥ・ノルマンディー」は、日本の乳業メーカーである「タカナシ乳業」が、ノルマンディーのイズニーサントメール酪農協同組合との長年のパートナーシップの結晶として誕生させた新ブランドだ。
フランスのテロワールへのリスペクトをそのままに、ノルマンディー産の乳を100%使い、その魅力をダイレクトに表現するため同地でフレッシュタイプのチーズに仕上げる。第一弾となるクリームチーズを使って高塚シェフにお菓子を考案してもらった。
「フランスには、クリームチーズがあまりないのです。スーパーでも買える大手メーカーのものくらい。フルール・ドゥ・ノルマンディーのクリームチーズは、フランス屈指の乳製品産地であるノルマンディー地方のテロワールをピュアに感じられます。大手メーカーのものと比べると、よりしっかりした質感で、酸味がくっきり立ち上がり、塩分は控えめ。そのまま食べると酸味が強いのですが、生クリームなど他の食材と合わせると酸味が調整されてとてもいいバランスを生みます。泡立てた生クリームと合わせて、フランボワーズやイチゴなどベリーに添えてもよいのでは?」
ノルマンディー地方のテロワールが閉じ込められた、フレッシュかつ芳醇なクリームチーズ。だからこそ加熱はせず、乳本来の風味を味わえるレシピを考えたという高塚さん。フランスでは、ドライフルーツやナッツ、コンフィチュールなどをあしらったフレッシュチーズが多く、そのイメージで、「フルール・ドゥ・ノルマンディー」のチーズとしての魅力が際立つデザートを考案した。
「フルール・ドゥ・ノルマンディーのクリームチーズは、コンパクトな質感なので液体と合わせても緩みすぎず、作業しやすいですね。乳の香りを大切にしていて塩味や甘味も控えめなので、砂糖など甘味の添加も調整しやすいです。ノルマンディー地方のテロワールを楽しめると同時に、日本ならではの作業利便性もある、他にはない魅力的なクリームチーズだと思います」
フルール・ドゥ・ノルマンディーで作るデザートレシピ
【材料】
■ムース・フルール・ドゥ・ノルマンディー(直径8cm×高さ4cmのセルクル型20個分)
生クリーム…400g
クリームチーズ(「フルール・ドゥ・ノルマンディー クリームチーズ」)…400g
ヨーグルト…125g
ハチミツ…20g
レモンの皮…1個分
<イタリアンメレンゲ…450g>
卵白…180g
水…65g
グラニュー糖…110g
水飴…210g
マスゼラチン(※)…100g
ローストアーモンド(スライス)…100g
ピスタチオ(刻む)…100g
オレンジコンフィ…60g
■サブレ・ブルトン(直径7cmの丸型20枚分)
バター…260g
グラニュー糖…175g
卵黄…110g
薄力粉…250g
ベーキングパウダー…6g
フルール・ド・セル…2g
■コンフィチュールコアン
かりんピュレ(自家製)…100g
グラニュー糖…100g
レモン果汁…適量
<作り方>
かりんピュレとグラニュー糖を鍋に合わせて沸かし、レモン果汁を加えて味を調える。
■ジュレシードル
シードル…200g
グラニュー糖…100g
<作り方>
シードルとグラニュー糖を鍋に合わせて沸かし、総重量が約100gになるまで煮詰める。
※マスゼラチン:5~6倍量の水でふやかしたゼラチンを温め溶かしたのち、冷やしてゲル化させたもの。作業効率のため、数日分をまとめて仕込んだものを指す。
【作り方のポイント】
POINT1:ハチミツはメレンゲに混ぜると熱で風味が飛ぶので、クリームチーズを混ぜるときに加える。
POINT2:クリームチーズ、ヨーグルト、ハチミツを混ぜたあとの状態。あえて混ぜ切らず、もろもろ食感を残す。
POINT3:生クリームをしっかり立てる。泡立てがゆるいと、このあと混ぜていくうちにバサバサになる。
【ムース・フルール・ドゥ・ノルマンディーの作り方】
[1] 生クリームを軽く泡立てておく。
[2]クリームチーズ、ヨーグルト、ハチミツを混ぜる
ボウルに冷蔵庫から出したてのクリームチーズ、ヨーグルト、ハチミツを入れホイッパーで混ぜる。
わざとダマを残すようにして混ぜきらない。最後にレモンの皮をすりおろして軽く混ぜる。
[3] イタリアンメレンゲを作る
ミキサーで卵白を泡立て始め、同時進行で水、グラニュー糖、水飴を鍋で120℃まで温めシロップを作る。卵白がしっかり泡立ったら、シロップを注ぎながら撹拌する。
ミキサーを止めて、溶かしたマスゼラチンを加える。ホイッパーで軽く混ぜ合わせてから、再びミキサーにかけ、完全に冷めるまで中低速で回し続ける。
[4]クリームチーズにイタリアンメレンゲ、生クリームを混ぜる
1の生クリームをしっかりかたく立て直す
2のボウルにイタリアンメレンゲ、生クリームをすべて加える。
ホイッパーで下からすくい上げるように混ぜる。
まだらになる程度まで混ざったら、口径1.5cmの丸口金をつけた絞り袋に移す。
[5]ムースを絞って冷やす
ラップフィルムの上にアーモンドスライスとピスタチオ、オレンジコンフィを散らし、その上に4のムースを渦状に60g絞る。
バラ口金をつけた絞り袋にクリームチーズ(分量外)を入れ、ムースの渦に沿って絞る。さらにその上に4を20g絞る。
巾着のように閉じてセルクルに押し込み、中心をくぼませておく。冷蔵庫で6時間冷やし固める。
【サブレ・ブルトンの作り方】
[1] 生地の材料を混ぜる
フックをつけたミキサーでバターをほぐし、グラニュー糖、卵黄、フルール・ド・セル、合わせてふるった薄力粉とベーキングパウダーの順に加えて混ぜる。
POINT:混ぜすぎに注意。このくらいで留める。
[2] 生地を伸ばして休ませる
生地をオーブンシートではさみ、4mm厚さに伸ばす。そのまま冷蔵庫で6時間休ませる。
[3] 型抜きしてオーブンで焼く
丸型で抜いて、150℃のオーブンで約15分焼く。
<仕上げ>
ムースのくぼみにコンフィチュールコアンを絞り、サブレ・ブルトンをのせる。
逆さにして皿に盛り付け、仕上げにシードルジュレをかける。
完成。
パリ「Pâtisserie TOSHIYA TAKATSUKA」の店舗情報
◎Pâtisserie TOSHIYA TAKATSUKA
16 rue George Bernard Shaw 75015 Paris
Tel. +33 1 40 27 86 76
11:00~19:00
日曜、月曜休
Instagram:@toshiya.takatsuka
▶タカナシ乳業のミルクマガジン「Vif(ヴィフ)」で高塚シェフの「フラン」のレシピを紹介しています。レシピはこちら
「フルール・ドゥ・ノルマンディー」に関する問い合わせ先
◎タカナシ販売株式会社
Tel. 045-338-1947
https://www.takanashi-milk.co.jp/
※「フルール・ドゥ・ノルマンディー」はタカナシ乳業株式会社の商標です。