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スウェーデンの南部、マルメ市に2018年5月にオープンした「スピル」は、エリック・アンデルソンとエリノア・リンドブロムのカップルが食糧廃棄物削減を目指し、人々に関心を持ってもらおうと開いたレストラン。規格外や消費期限が近くなったもの、過剰供給によって捨てざるを得ない食材を、ランチの一品に活用し、無駄(スピル)を減らそうというものだ。
「廃棄されるもののほとんどが野菜かと思いきや、魚をはじめ、特に大量の肉が廃棄処分されていることに驚く。毎回異なる食材が届くので、何を作るか予定を立てられないのが日々の挑戦」とエリックは語る。
開店当初は、多くの客が傷んだ食材を使った料理と思い込み、なかなか軌道に乗らなかったが、長年星付きレストランで経験を積んだエリックが丁寧に作る料理が評判を呼び、またコンセプトに賛同する人も増え、最近は売り切れることもしばしば。
食糧廃棄物を削減するシステムが国全体で確立されれば、という二人の最終目的も、遠い夢ではなさそうだ。
(『料理通信』2018年10月号/「ワールドトピックス」より)
◎ Restaurang Spill
Isbergsgata 10A 21119 Malmö
☎なし
11:15~14:30
土曜、日曜休
ランチ 90スウェーデン・クローナ
www.restaurangspill.se
text by Sakiko Jin
JOURNAL / 世界の食トレンド
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