「カンテサンス」岸田シェフが選んだコーヒー
2017.11.30
photographs by Hide Urabe
昨年10月の発売以来、ヨーロッパの三ツ星や二ツ星レストランで採用されてきたネスプレッソの最上級コーヒー、ネスプレッソ プロフェッショナル「エクスクルーシブ・セレクション」が日本にも導入。東京の三ツ星「レストラン カンテサンス」での提供がスタートしています。11月6日には同店でプレスイベントが行なわれ、その希少性や魅力の数々が紹介されました。
食後のコーヒーの悩みを解決。
レストランを構成するあらゆる要素に細やかな神経を行き渡らせる「レストラン カンテサンス」の岸田周三シェフ。とりわけ食材には厳格なまでにこだわり、当然、コーヒーにも並々ならぬエネルギーを払ってきた。
三ツ星レストランとして、どこまでクオリティを上げられるか、いかに他では体験できない特別なコーヒーを提供できるかに心を砕き、自家焙煎の可能性を探ったこともあるほどだ。
「ロースターを購入して自分でやってみました。でも、焙煎を止めるタイミングなどリスクが高く、納得のいくクオリティが得られにくい。プロの領域であることを実感してあきらめた」と岸田シェフ。
結局、ここ5年ほどはオークションコーヒーを使ってきたという。しかし、品評会で高い評価を得た高額品であるにも関わらず、「お客様がまったく話題にしてくださらないのです……」。
これだけハイクオリティの豆を使っているのに、満足していただけていないのだろうか、もしや的確に抽出されていないのではないか……コーヒーへのこだわりがお客様へ伝わっていないことに、次第にジレンマを感じるようになった。
「オークションコーヒーはロットが少ないため、短期間で違う豆に変えざるを得ない。その度に自店にふさわしい豆を選ぶ必要があること、何より提供するコーヒーの味が頻繁に変わってしまうことも気になっていました」
コーヒーの提供法を根本から見直したほうがいいかもしれない……と考え始めた時、出会ったのがネスプレッソの新製品「エクスクルーシブ・セレクション」だった。
トップレストランにふさわしい希少で高品質な豆。
ネスプレッソ「エクスクルーシブ・セレクション」は、ミシュランの三ツ星、二ツ星など高い評価を得ているレストランをターゲットに開発された、ネスプレッソ最高級ラインのコーヒーである。
ヒマラヤで収穫されるアラビカ豆を100%使用した「ネパール ラムジュン アラビカ」、タンザニアのキリマンジャロ山麓で収穫されたピーベリー*を100%使用した「キリマンジャロ ピーベリー」の2種があり、いずれも希少性が高い。
「初めて飲んだ時に、『これはいける!』と思いました」と岸田シェフは言う。
そもそも、岸田シェフが思い描く、レストランで提供すべき食後のコーヒーの理想像とはどんなコーヒーなのだろう。
「朝や午後のコーヒーと違って、幾皿もの料理とワインが続いた最後に位置付けられるものです。途中、味の強い料理も召し上がられていたりする。それらに終止符を打ち、胃を落ち着かせる役割が求められますから、軽くて酸の立ったタイプより、しっかりローストされた凝縮感のあるタイプのほうが向いているでしょうね」
「エクスクルーシブ・セレクション」は、そんな岸田シェフの求めるコーヒー像にぴたりとはまったわけである。
「コーヒーベルトの北限を超えたヒマラヤ山脈の麓で栽培されたという『ネパール ラムジュン アラビカ』は、しっかりローストされて酸も落ち着き、どっしりとしたタイプ。香ばしさもあって、まさに食後にふさわしい。一方、『キリマンジャロ ピーベリー』は、豆本来の味を際立たせた浅煎りで、軽快さと華やかさがあり、コーヒー好きに好まれるタイプ。キャラクターが違う分、お客様に選んでいただく楽しみを提供できるのもいいですね。世界的にも希少なエリアであるネパールのラムジュンで収穫されていたり、ピーベリー100%であるといった、お客様の興味をそそる特別感も見逃せません」
ネスプレッソが、「ネパール ラムジュン アラビカ」「キリマンジャロ ピーベリー」というきわめて希少なコーヒーを実現できた背景には、2003年から着手された「AAAサステイナブル・クオリティ(持続可能品質)TMプログラム」がある。農家に対して安定した報酬を保証しながら、技術指導を行い、豆の精製加工施設などのインフラを整備するといった設備投資の支援も行なう。それによって、品質の向上が図られ、生産者とそのコミュニティの生活も向上し、持続的に高品質な豆を消費者へ届けることができるというプログラムだ。世界12カ国7万軒以上の生産者と取り組んでいる。
ネスプレッソは、ネパールのラムジュンというコーヒーベルトの北限を遥かに超えたエリアに優れた栽培環境を見出し、生産者と共に時間をかけて開拓を進めてきた。その強い連携と信頼関係があればこその「ネパール ラムジュン アラビカ」なのである。
一方、「キリマンジャロ ピーベリー」は、標高1200~1800mの斜面で栽培され、手摘みされたコーヒーチェリーのわずか5%というシングルビーンを使用している。そんな貴重なピーベリーを確保できるのも、プログラムが生産者の間にしっかり根付いているからにほかならない。
常に挽きたての味と香りを閉じ込めたポッドから提供できる。
「一杯分ずつのポッドという形態なので劣化しにくいという点も、採用の決め手ですね」と岸田シェフは語る。
岸田シェフは食材の鮮度に厳しい。「どんなに良い食材も劣化してしまったら意味がない」と考える。いかにベストな状態で食べ手の口まで届けるかに、類を見ないほど神経を使う。それは食べ手のためであると同時に「生産者に対する料理人の責任だから」。
そんな岸田シェフにとって、焙煎後、挽いてすぐに圧力をかけて固められ、香りを逃さないように一杯分ずつアルミで密閉されるポッドは、挽き豆の品質保持において利点がある。
「どんなにこまめに焙煎したての豆を仕入れても、開封した瞬間から劣化は始まります。その点、ネスプレッソは常に高品質な状態で抽出できるのがうれしいですね」
この小さなポッドに詰まったネスプレッソの技術と丹念な仕事を、ネスレネスプレッソ株式会社社長アレクサンダー・シュネガー氏は次のように語る。
「コーヒーには900種類以上のアロマが存在すると言われます。ネスプレッソでは、手摘み、発酵、洗浄、天日干しなど30にも及ぶ手間暇かけた工程、中でも『エクスクルーシブ・セレクション』のようなシングルオリジンのコーヒーは、スプリットロースティングをすることで、複雑なアロマを引き出し、ポッドに閉じ込めるのです」
レストランで生きるネスプレッソシステム。
そして、もう一点、岸田シェフの心を掴んだのが、レストランにおけるオペレーション上のメリットだ。
「レストランの場合、バリスタがいるわけではありません。サービスマンやソムリエが料理やワインを提供する中でコーヒーもサーブしなければならない。ですから、誰が操作しても安定的に一定のクオリティで提供できるのはありがたい。アドバンテージが高いと言えますね」
「カンテサンス」では、抽出ヘッドが2口のマシンと1口のマシン、2台を常備している。粉をフィルターに詰めてタンピングする手間なく、同時に3人分を抽出できるため、6人グループのお客様にもほぼ同時にサーブできることになる。
「抽出後の粉をフィルターから出すためにバンバンと叩く音、あの音も僕は気になるのです。食後のひとときを過ごされているお客様にとって、けっして心地良いものではないはずです。スタッフには、叩いて出すのではなくスプーンで取り出すように、と指示してきました。でも、ネスプレッソなら、その必要もないですね」
ワインペアリングのように愉しめる。
11月6日のプレスイベントで、岸田シェフは特別に「ネパール ラムジュン アラビカ」を使った料理「フォワグラのコンフィ」と「キリマンジャロ ピーベリー」に合わせたデザート「ソルベ アミ・デュ・カフェ」を制作。コーヒーの愉しみ方の可能性を広げてみせた。
「コーヒーを香辛料や調味料として捉えることができるのではないかと考えました。『ネパール ラムジュン アラビカ』の抽出液でフォワグラをマリネしてから加熱。仕上げに『ネパール ラムジュン アラビカ』のソースを塗っています。ソースにはメープルシロップを加えて、少し甘味も足しています。デザートのほうは、カルダモン、クローブ、シナモンというコーヒーと相性の良いスパイスのソルベ、やはりコーヒーと好相性のオールドリカール、ドランブイ、ラムのソルベです」
デザートと共に、アレクサンダー・シュネガー社長が紹介したのが、「エクスクルーシブ・セレクション」をより印象的に味わうために、リーデル社と共同で開発された2種類のグラスである。
「口がすぼまった形状のグラスで飲むと、コーヒーが舌の奥に到達して苦味を心地良く愉しむことができる。『ネパール ラムジュン アラビカ』のようなインテンス(密度の濃い)なタイプに向いています。一方、口が開いたグラスは、コーヒーが舌全体に回るため、いろんな味を感じ取れる。『キリマンジャロ ピーベリー』のようなフルーティなタイプに向いていますね」
ブルゴーニュタイプやボルドータイプなど、酒質によってグラスを使い分けるワインと同じ。コーヒーのキャラクターによって使い分けることにより、コーヒーに内在するアロマや味わいの要素を的確にキャッチすることができるようになる。 「岸田シェフの料理が示すように、厳選されたハイクオリティなコーヒーを組み込めば、レストランでの食事におけるコーヒーの役割はワインペアリングと同じになります」とシュネガー氏。
「カンテサンス」では、11月8日から「エクスクルーシブ・セレクション」のサービスがスタートしたが、さっそく体験したお客様から「ヨーロッパ旅行の際に、向こうでもこのコーヒーを出しているレストランへ行きたいので、どこで飲めるのかを教えてほしい」という問い合わせがあったという。
食後のコーヒーでレストランを選ぶ、そんなレストランの選び方が現実になりつつある。
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