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FEATURE / MOVEMENT

鳴神×Pan &(パンド)×ICONO

2019.11.06

PEOPLE / LIFE INNOVATOR


text by Mieko Sueyoshi / photographs by Hide Urabe





ホテルやレストランなど、プロ仕様のプレミアムな冷凍パンを製造・販売するスタイルブレッドが手がける、家庭向け冷凍パンブランド「Pan &(パンド)」。パンドはオリジナルブレンドの国産小麦と自家製発酵種「桐生酵母」、ゲランドの塩、「桐生酵母」と相性のよい地元「桐生の水」を主原料に、低温で16~18時間の長時間熟成させたパン生地を使用。成型して焼成した後すぐに瞬間冷凍して、窯出し直後の一番おいしい状態を一気に閉じ込めています。
60種類以上のアイテムを取り扱うパンド。余分な添加物や保存料が一切使われていない。




今回は「鳴神」鳴神正量シェフに6種のパンを選んでいただき、特別なコースメニューを考えていただきました。題して“パンに合うフレンチジャポネーゼ”。メニュー考案にあたり、桐生の工場を訪ねた鳴神シェフは「桐生の豊かな自然環境のもと、クリーンな工場で生地作りから焼成、冷凍を経て製品化するまで手間ひまかけて丁寧に作られていることに驚きました」と言います。普段はパンを使わない鳴神シェフ、冷凍パンの製造過程を見たことで大いに刺激を受けたとか。
事前にゲストにはコース内容が一切知らされず、当日はサプライズの演出で行われた。


イベントに先立ち、リベイクで蘇るおいしさの秘密を確かめにパンドの工場を訪ねた鳴神シェフ。


パンドの魅力が存分に味わえるコースを、パン愛好家の方々とともに楽しむ。




なお、今回はオリーブ油の品質の決め手となる酸度が0.2%以下という高品質チリ産エキストラバージンオリーブオイル「ICONO」にも協賛いただき、リベイクされたパンドをオリーブ油とともに楽しむ機会をいただきました。最初にスタイルブレッド田中知氏によるご挨拶とパンドについての説明があり、さっそく1品目がサーブされます。

全粒粉のパンは、極薄スライスで秋の食材と





秋トリュフ、ホタテ、ポワロ、キノコのコンフィ、パン・ド・カンパーニュのプレス




オリーブ油でコンフィにしたポワロとキノコ、ホタテを三層に重ねた冷たい前菜。それぞれの間に3mmに薄くスライスしたパン・ド・カンパーニュを入れてサンドしています。仕上げに秋トリュフをたっぷりのせて秋の香りを思う存分楽しみます。

料理に使ったパンは、さらにペアリングでも味わいます。パン・ド・カンパーニュは、香ばしく、程よい酸味がどんな食材にも合うのでサンドイッチに最適。「全粒粉の香ばしい香りが秋の食材によく合います。パンは半解凍の状態でスライスして、キノコのコンフィで出たジュを含ませています。3mmのごく薄スライスがきれいにできるのも冷凍パンの利点です」。
オリジナル小麦に、小麦全粒粉とライ麦全粒粉を練り込んだモチっとしたクラムと歯切れの良いクラストが楽しめるパン・ド・カンパーニュ。


ミルキーなバゲット×甲殻類と根セロリ





バゲッティーヌとクエ 根セロリのピュレとキャビアオセトラ


続いて2品目は、根セロリのピュレに少しだけ火を入れたクエとバゲッティーヌ、キャビアオセトラを重ね、甲殻類のソースでいただきます。キャビアの黒とズッキーニ、ラディッシュ、シブレットの色合いが美しいひと皿です。使ったのは、スライスしたバゲッティーヌ。「見た目もですが、少しミルキーな味も可愛らしい印象のパンです。パンの味と軟らかな食感がクエとよく馴染み、全体のまとめ役となっています。クエは味の強い魚なので半生程度に火を入れて、根セロリのピュレと甲殻類のソースと合わせました」。
バゲッティーヌは、フランス小麦を使ったバゲット生地に少量のバター、牛乳、卵を練り込んだ、ふんわり軟らかな食感のプティバゲット。


アオサ入りのパンには、海のイメージで





ラ・メール、茄子とトマトとエスカルゴバター、鰤照と一緒に


3品目は、トマトソースの上に素揚げした茄子、ラ・メール、鰤の照り焼きを重ねエスカルゴバターをのせた一品。ピリッとした刺激のあるトマトソースとほんのり海の香りがするパン、そこに甘辛い照り焼きの鰤という和洋の組み合わせをエスカルゴバターがつなぎます。茄子とパンと鰤照とを一緒に食べて感じる深い味が印象的です。
フォカッチャの生地にアオサを練り込んだラ・メール。
ナスと鰤照と一緒に食べてもらうために、パンは横半分にカットして盛りつけ。


ラ・メールは、ゼッポリーネのイメージで、そのままオリーブ油をつけるだけでワインを呼ぶおつまみになります。「ラ・メールという名前のとおり、海のイメージで考えた料理で、海の香りがするパンも料理の一構成要素となっています」。


豆乳パンには、鯖とシェーブルチーズ、はちみつを





はちみつ豆乳パンとフレッシュチーズと焼き鯖


4品目は、軽く炙った塩鯖とシェーブルチーズのクリームの組み合わせ。ウイキョウとサフランの香りと、パンを食べたときに感じるはちみつの濃厚な香りとの好相性が楽しめます。組み合わせたのは、国産大豆100%の無調整豆乳とはちみつを練り込んだ、やさしい甘味のあるハニーソイ(豆乳パン)。トーストするとはちみつの香りがより濃厚に感じられます。


「鯖は捌いてひと晩寝かせた後に塩で軽くしめ、軽く炙って鯖特有の旨みを引き出しています」と鳴神シェフ。


「鯖とシェーブルチーズクリームをパンと一緒に、ウイキョウの温かいサラダを添えて食べるイメージで召し上がってみてください。クセのある素材にはちみつの香りがとても良く合うことに気づくはずです」。

野性的な鳩肉と赤ワインは、リュスティックとともに





野鳩とフォアグラのクロケット、リュスティックをそえて


野鳩の胸肉とフォアグラ、トリュフをクロケットに仕立てた5品目のメイン料理は、秋の森をイメージ。ソースは野鳩のガラにフォン・ド・ボー、赤ワインを合わせて煮詰め、最後に野鳩の肝を溶かし込んだクラシックなスタイルです。濃厚なソースにパンを浸していただきます。
成型時にストレスをかけないことで生まれる豊かな風味が特徴的なプチパン、リュスティック。


「野鳩とフォアグラのクロケットは、フランスのトロワグロで働いていた時に考えた料理です。クラシックなスタイルのソースですが、今回はクリームやバターは使わず吉野葛でとろみをつけています。そこで合わせるパンも味の強いカンパーニュではなく、リュスティックを選びました。リュスティックの持つ素朴で野性的な味と、苦味を含んだソースとの好相性を楽しんでいただけると思います」。

ブリオッシュは、濃厚なアパレイユと黒蜜で





ブリオッシュ&クレームキャラメル&黒蜜


デザートは、クリーム多めのアパレイユにスライスしたブリオッシュを浸し、黒蜜をかけてオーブンで焼きます。濃厚な甘さの中に黒蜜の香りとコク、ブリオッシュは軽い食感ながらバターと卵の風味が活きています。「そのまま食べておいしいブリオッシュをスライスしてクリーム多めのアパレイユと組み合わせました。卵とクリームの風味豊かな味と黒蜜の香りが楽しめるはずです」。
中はふんわり、表面がサクッとしたブリオッシュ。
どの料理にも驚きのあるプレゼンテーションと味わいに、ゲストのお酒も進む。


“パンに合うフレンチジャポネーゼ”で披露された料理は、どれも鳴神シェフならではの組み合わせの妙に、参加者からは何度も感嘆の声が。リベイクで最高のおいしさが味わえるパンドはそのまま食べるだけでなく、料理に組み込むことで新たな表情を見せてくれます。パンドの魅力と可能性を再認識したひとときでした。




SHOP DATA
鳴神(なるかみ)

東京都港区南青山3-4-6 AOYAMA346 102
☎ 03-6447-4866
12:00~1:00(入店) 18:00~22:00(入店)
要予約 不定休
東京メトロ外苑前駅より徒歩6分
http://www.restaurant-narukami.com/

◎ Pan &(パンド)
https://online-stylebread.com/

◎ スタイルブレッド
https://stylebread.com/

◎ ICONO
https://meisterwerk.co.jp/icono.lp/




























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