茨城の夏を愉しむ オンライン料理教室
『料理通信』のキッチンより
2021.10.04
【PROMOTION】text by Miyo Yoshinaga / photographs by Shu Tsuchida,AKANE/ special thanks to ITALIA-SHOJI
去る8月、東京の食を支える茨城県食材の魅力を伝えるオンライン料理教室を開催。以前開催した第1回は、湖や海の恵みをたっぷり詰め込んだ茨城冬の食材、今回は野山の恵み、パワーみなぎる夏の食材を使ったレッスンです。今年7月に産地を訪問した東京・北参道「コンヴィヴィオ」辻大輔シェフを講師に招き、同店のスペシャリテの特別版、「ミートソースのラザーニャ」など3品を教わりました。
目次
- ■Lesson1 水分調整と力加減を覚えよう。ラザーニャ生地の極意
- ■Lesson2 あと一歩の火入れが肝。ミートソース作りと組み立て
- ■Lesson3 米は優しく洗って、粘りをカット。お米のサラダ
- ■Lesson4 “最後の一滴”を絞り出す。緑茶のパンナコッタ
「僕の店はイタリアンですが、年々日本の食材に関心が向かっています」と語る辻シェフ。教わる料理の土台はイタリア料理だが、アレンジや調味料の分量は、日本の茨城食材の個性を存分に生かしている。辻シェフらしいきれいな味が魅力だ。
参加者には予め使う茨城食材を自宅へ配送する。
<茨城食材セット>
●「シバサキ」の常陸牛(粗挽き肉)
●「農家の米屋 森ファーム」のミルキークイーン
●「ごきげんファーム」の夏野菜(タマネギ、赤タマネギ、ツルムラサキ、バターナッツカボチャ)
●「飯田園」のさしま茶(緑茶)
Lesson1 水分調整と力加減を覚えよう。ラザーニャ生地の極意
まずはメインの「ミートソースのラザーニャ」から調理スタート。
生地を打つのに時間はかかるが、手打ちのラザーニャはもちもちで別格の味わいだ。各工程ごとにスライドでポイントを押さえた上で取りかかる。生地作りのポイントは2つ。「まず水分の加え方。卵の大きさや季節によって水分量が異なるので、少量ずつ感触を確かめながら加えてください。生地がまとまったら捏ねますが、ここがもう1つのポイント。手の腹を使って押すように練りますが、最後まで押し切らず、決して引きちぎらないように」
オンライン画面上では参加者からチャットで「捏ねあがりの目安は?」という質問が入る。「寝かせる間に馴染むので、捏ね上がりは多少ヒビが入っていても大丈夫。粉と卵がつながり、適度な水分が入ってパスタマシンに通るくらいの弾力と硬さが目安。何度か作るとコツをつかめますよ」と辻シェフ。
捏ね上がった生地は冷蔵庫で2時間以上寝かせた後、マシンで伸ばす。店では電動式パスタマシンを使う辻シェフだが、「慣れると手動式の方が早く伸ばせます」。「パスタマシンがなくても生地はできる?」という質問には、「生地を伸ばすのは大変なので僕はマシンを使いますが、イタリアのマンマは麺棒で伸ばす人も多く、そちらが本来のやり方です。昔はパスタマシンはなかったので」と辻シェフ。がんばってみる価値はありそう!
Lesson2 あと一歩の火入れが肝。ミートソース作りと組み立て
次は「飼育環境の良さが伝わってくるような人懐っこい牛でしたね」とシェフが紹介した『シバサキ』の常陸牛を使ったミートソース作りへ。ポイントは味の要、ソフリット。「みじん切りにした香味野菜を、水分を逃さないよう鍋に蓋をしてじっくり火を入れます。もう1つのポイントは、挽き肉にしっかり焼き色をつけること」
挽き肉に塩をし、中火で炒めていると水分が出てくる。「全体の色が変わったところで火を止めてしまいがちですが、さらに火を入れて水分を出し切るまで我慢しましょう」。「ここまでですよ」としっかり参加者にチェックしてもらう。「塩は肉の重量の1.1%。ここを守ると味がブレません」。肉から脂が出るので炒め油は少量でOK。
続いてはベシャメルソース作り。「ポイントは、粉にしっかり火を入れること。ここが不十分だと分離の原因になる。牛乳を温めたうえで加えるのもコツです」。鍋にバターを溶かし、粉と塩を加えて泡立て器で混ぜながら炒め、別鍋で温めた牛乳を少しずつ加えていく。「ゴムベラで絶えず混ぜるうちに、粉と水分が結合してもったりしてくれば火が通った合図です」
パスタとソースができたら、いよいよ仕上げへ。ベシャメル、パスタ、ミートソース、トマトソース、グラナ・パダーノを順に重ねて三層に仕上げ、オーブンでこんがり焼き上げる。ソースのバランスは、ベシャメルソース多めが辻シェフ流。「ベシャメルが多いとまろやかな口溶けに。お客さまからは“飲めるラザーニャ”とお褒めいただくんですよ」
Lesson3 米は優しく洗って、粘りをカット。お米のサラダ
今回、副菜として教わったお米のサラダも、米をパスタのように味わう料理。辻シェフから「“おいしい”の一言!」とあった、「森ファーム」のミルキークイーンと、「農業を障がい者就労につなげる取り組みに感銘を受けた」と語る「ごきげんファーム」の野菜でさっぱりとしたサラダに仕上げた。「茹でた米を流水でやさしく洗い、デンプンのぬめりを取ります。洗った後はペーパーで水気をしっかり取るのもおいしく仕上げるコツです」
「僕は基本、野菜の皮を捨てません。皮にも旨味があるので、トマトもセロリもそのままザク切りに。セロリは柔らかい真ん中部分を使えば筋も気になりませんよ。具材はお好みでOK。冷蔵庫に残っている食材をいろいろ加えてみてください」
Lesson4 “最後の一滴”を絞り出す。緑茶のパンナコッタ
辻シェフの店「コンヴィヴィオ」では、食後に緑茶を提供する。「私たちは日本人なのに、急須で淹れた緑茶を味わう機会が減っていますよね。“日本人に本物のお茶を”という茶店を営む知人の声に共感して始めた取り組みなんです」。今回は「飯田園」の深蒸し緑茶「こくり」を使って「緑茶のパンナコッタ」を教わる。「『飯田茶園』の飯田耕平さんは手揉み茶の名人ですが、お茶の効果で手がツルツルなんですよ、お茶の美肌効果にびっくり」とこぼれ話も披露。「食べた瞬間に緑茶の風味を感じられるよう、お茶の旨味と苦味をしっかり漉し取るのがポイントです」
3品の調理と試食の後は、質疑応答タイム。やはりみなさん手打ちパスタに興味津々。
シェフが愛用する食材の銘柄や調理道具など、料理への探究心がうかがえる質問も続々届き、辻シェフも「オンライン料理教室は初でしたが、チャットでリアルタイムに質問が届くのが新鮮! 手を挙げて発言するよりチャットの方がきっとみなさんも質問しやすいですよね」とオンラインならではのコミュニケーションの醍醐味を満喫した様子。
参加者からは、「動画なのでわかりやすく、シェフの手元や表情にも臨場感があったし、ほかの参加者の方の明るい表情にも楽しい気分になれました」「シェフの手さばきや質問へのお答えから、本やレシピだけでは知り得ないコツがつかめた」などの嬉しい感想が集まりました。
オンラインではシェフとのリアルタイムの温かな交流を、オフラインでは豊かな自然が生み出す茨城食材のおいしさを、参加者全員で共有できた時間となった。
【問い合わせ先】
茨城県営業戦略部東京渉外局県産品販売促進チーム
東京都大田区東海3-2-1大田市場事務棟4F
☎ 03-5492-5411