アルファロメオ「Art of Taste」プロジェクト第3弾
料理×写真「COLOR」をキーワードにした前例のないアートのセッション
「炭火割烹 白坂」井伊秀樹シェフ #01
2019.10.07
text by Kei Sasaki / photographs by Hide Urabe
イタリアの老舗車メーカー、アルファ ロメオのアーティスティックな美学を味で表現する試みとしてスタートした『Art of Taste』。第三弾は、赤坂の炭火割烹「白坂」の井伊秀樹シェフが「COLORTASTE」という特別なプロジェクトに挑みます。「COLORTASTE」は、シェフの料理を著名フォトグラファーが撮影するフォトセッションで、イタリア大使館が主催するイタリア料理週間のオープニングイベントとして開催されるもの。車づくりも、料理も突き詰めれば乗る人、食べる人の五感を揺さぶるアート。アルファ ロメオのものづくりの哲学に共鳴した井伊シェフが、どのようなアプローチで本プロジェクトに挑むのか。アルファロメオのマーケティング部長であるティツィアナ・アランプレセさんとお話しいただきます。
ティツィアナ 井伊シェフに初めてお会いしたとき「アルファ ロメオがとても似合いそう!」と思ったんです。
井伊 本当ですか?
ティツィアナ パッションを内に秘めたクリエイティブな人が持つオーラは、アルファ ロメオにマッチする。『Art of Taste』のグランドフィナーレである「COLORTASTE」を井伊さんと一緒に成し遂げたいと思ったのも、そんな理由からです。
井伊 非常に光栄ですね。
ティツィアナ プロジェクトを進めるにあたり、改めて井伊シェフの料理についての考え方を伺っておきたいと思っています。ブリーフィングだと思って、井伊シェフのほうからも、なんでも訊いて下さいね。
井伊 ありがとうございます。
ティツィアナ 井伊シェフは和食の料理人ですが、海外での修業経験がおありなのがユニークですよね。
井伊 私は18歳のときから和食店で修業をしてきたのですが、料理人という仕事は技術を身に付ければ世界中どこでも働けるということに気付いたんです。一度は海外に出たいと、28歳のときにオーストラリアのシドニーに渡り、日本人の料理人として現地で高い評価を受けていた和久田哲也シェフの「Tetsuya’s」で働き始めました。
ティツィアナ 近頃、若い世代はあまり海外に出たがらないという話を聞きますが、グローバルな視点で料理に向き合うのはとても意義があると思います。
井伊 海外に暮らすことで、日本を外から見られたのは大きな経験になりましたね。案外、日本のことを何も知らないことに気付き、改めて学んだことも多い。シドニーの後、ニューヨークでも仕事をして、海外で開業したり、シェフとして働いたりする選択肢もあったのですが、やはり日本の食材で勝負する料理を、故郷の東京から発信したいと思ったのは、海外で働いたからこその結論です。
ティツィアナ 素晴らしい経験、そして考えだと心から思います。料理に関して学んだことは何でしょう。
井伊 ミシュランガイドの「和食」部門で星を頂いたのもあり、世の中的に「白坂」は和食のカテゴリーに分類されていますが、私自身は自分の料理を和食と思っていません。というよりカテゴリーは必要ないと思っています。伝統は重んじながら、縛られ過ぎることはなく、食材ありきで、その持ち味を最大限に引き出す料理ができればいいと、「炭火割烹」という今の店の形に行き着きました。そのことに気付けたのも、やはり海外での経験が大きいですね。
ティツィアナ おっしゃる通り、現代は、料理におけるエクスペリメントな要素が重要視される時代。カテゴリー化は意味を失いつつありますよね。
井伊 はい。でも決して変わったことをしたいわけではないんです。ゴールは、お客様の満足だといつも思っています。
高い満足感が生む、持続的な「人と人とのつながり」
ティツィアナ 毎日厨房に立っていて、ゲストの満足を、どんなところから感じますか。
井伊 店は、カウンターでお客様と向き合う造りになっています。だから、お客様のリアクションは表情などでつぶさにわかる。同時に僕らの仕事もすべて見られているな、と気が引き締まるのですが。
ティツィアナ ゲストに言われて一番うれしい言葉は?
井伊 「また来ます」でしょうか。「おいしい」は、ゴールではない。でも「また来ます」と言ってリピートして下さったら、そこから人と人との関係が始まる。二度目、三度目は、“その方のために”より満足度を高めたいと考えるようになるからです。
ティツィアナ とても共感します。我々も「次もアルファ ロメオに乗りたい」とおっしゃって頂くこと以上に、乗る方の満足度を感じることはありませんから。では料理人として一番大切にしていることは何?
井伊 人とのつながりです。まずスタッフ、食材の生産者、そしてお客様。私たちの料理は、皿に盛り付けて完成するものではない。食べて下さる方がいて、初めて完成します。いくらお客様が来て下さっても、冷蔵庫の中身が空っぽでは料理をつくれないし、チームだからこそつくれる味、表現がある。周りの人々すべてとのつながりが、自分を料理人でいさせてくれると考えています。
ティツィアナ 井伊シェフのお考え、我々が掲げる「Human in Center(人間中心に考える)」と、とても共通項が多いと思います。アルファ ロメオは創業以来、乗る人の五感を揺さぶるものづくりを続けています。美しいデザインとスポーツカーのパフォーマンス。エンジン、サスペンションの有機的な連動。ハンドルの滑らかさ、エンジン音の心地よさまですべて乗る人、一人ひとりのために。それが110年もの間、変わらず継承されてきた。そのヘリテイジにも価値を感じ、ハンドルを握るたびに喜びを感じて頂けるものと信じています。
井伊 感銘を受けると同時に、とても共感します。私が炭火割烹というスタイルを選んだのも、炭火焼きが和食で伝統的に用いられる調理法であると同時に、もっともプリミティブな調理法だから。伝統の継承、その先にある素材へのアプローチを何より大事にしています。そして食べて下さる方のお腹を満たすだけでなく、心を満たすことも。
ティツィアナ 炭という素材は、非常に日本的ですよね。もうひとつ別の「墨」も、形は違えど、炭素に由来する近しい素材。水墨画や書道の文化もまた、日本が誇るアートですし。
井伊 なるほど、そうですね。
ティツィアナ 今回、「COLORTASTE」を井伊シェフにお願いすることになったのは、必然だったのかもしれません。そして私たちは、車づくりも料理も「人ありき」という考えを共有している。どちらも、つくり手の喜びが受けとる側の喜びにつながる「感情の力学」に基づくヒューマンなプロセスが不可欠なものだと改めて思います。
“逆算のアプローチ”から生まれるアートで、共有するフィロソフィーを表現
ティツィアナ ところで、食材探しの旅に新潟を選んだのはなぜですか?
井伊 私は東京育ちなのですが、両親は新潟の出身なんです。子供の頃から何度も行っていますが、新潟の何を知っているかと言われたら、何も知らないに等しい。自分のルーツとなるエリアを、料理人として見てみたいという想いからです。
ティツィアナ 「COLORTASTE」は、シェフとフォトグラファーのセッション。こういう試みは井伊シェフにとっても初めてですよね?
井伊 はい。
ティツィアナ 料理を美しく皿に盛り付け、おいしそうに撮るのが通常の料理写真ですが、それとは違う。アーティスティックな料理を、写真というもうひとつのアートで表現する。一歩先の試みです。テーブルウェアで飾り立てなくていい、素材そのものの「COLOR」や表情からパワーを、パッションを感じる。そんな料理を、写真というアートにできたらと。誰にでもできる仕事ではないと考えています。井伊シェフは、絵画や写真から着想を得て料理をされることはありますか。
井伊 正直に言いますと、これまでは一度もありません。
ティツィアナ ならば今回のセッションは、必ずや新しいインスピレーションになりますね。
井伊 私自身もそう思っています。料理は素材ありきと思って仕事をしてきたので、ビジュアルや色彩からスタートする“逆算のアプローチ”は、面白いな、と。今後の自分の料理にも影響を与える体験になりそうです。私からの質問なのですが、アルファ ロメオを象徴する色というのはあるのでしょうか。
ティツィアナ 乗る方のニーズに合わせたさまざまな色の車をつくっていますが、ブランドカラーは赤。それもアルファ ロメオの特別な赤という意味を込めて「ROSSO ALFA」と呼んでいます。ほかの赤色とは違う、情熱的な赤は、カーレースの歴史に由来します。昨年アルファ ロメオはF1に復帰しました。その意味でもカラーのアイデンティティは、とても重要なんです。
井伊 それはとてもご縁を感じます。なぜなら、私は赤坂という町で「白坂」という店をやっているので。
ティツィアナ なるほど! 赤と白、非常に重要なカラー、かつストロングなコンビネーションですね。
井伊 はい。
ティツィアナ アルファ ロメオの赤を、ぜひお見せしたいわ。
井伊 ぜひ。実際に運転するのも、とても楽しみなんですよね。先ほどショールームで運転席に座らせて頂いたのですが、それだけで気分が高揚したので。
ティツィアナ 今回乗っていいただくのは、「ジュリア」というスポーツセン。ハンドリングがクイックで、とても軽快なコーナーリングが楽しめる。山道も海岸線も快適に、そして楽しくドライブして頂けるはずです。アルファ ロメオならではのエンジンのサウンドも、ぜひ確かめて下さいね。
井伊 はい。アルファ ロメオを五感で感じながら、自分自身のルーツである新潟のテロワールに触れる旅が、今回のプロジェクトにとってキーとなる体験になると確信しています。
「世界イタリア料理週間」オープニングイベントへ20組40名様を抽選にてご招待いたします
イタリアの食文化をより多くの方に知っていただく「世界イタリア料理週間」。在日イタリア大使館で開催されるオープニングイベントに、抽選にてご招待いたします。
当日は料理を芸術として表現するフォトグラファー、アルフォンソ・カタラーノ氏のパフォーマンスを実施。井伊シェフが生み出す芸術的な日本料理を、どのように写し出すのか。
本イベントでしか見ることのできない「食とアートの融合」を、ぜひご堪能ください。
【応募期間】2019年10月8日(火)~2019年10月15日(火)
【開催日時】2019年11月8日(金)18:15~21:00
【開催場所】在日イタリア大使館公邸
■アルファ ロメオ「ジュリア」
アルファ ロメオ「ジュリア」に乗って、井伊料理長は「COLORTASTE」のための食材探しの旅に出かけます。産地訪問の様子は次回(10月の公開を予定)の記事をお楽しみに!
「ジュリア」についてはコチラまで。
アルファ ロメオ ジャパン オフィシャルサイト
https://www.alfaromeo-jp.com/