「フレスコバルディ・ラウデミオ」が繋ぐ イタリアと日本の食卓 往復書簡 ~秋冬編~
1970.01.01
text by Mika Hisatani(Italy) / photographs by Daisuke Nakajima(Japan)
トスカーナ生まれのエキストラ・ヴァージン・オリーブオイル「フレスコバルディ・ラウデミオ」。ブランド創設30 年を迎える収穫期の農園と、日本を繋ぐ往復書簡をお届けします。
from Italy
フレスコバルディ侯爵家の歴史は、1000年以上も前に遡ります。フィレンツェを代表する貴族で、約700年前からワインとオリーブオイルを生産しています。フィレンツェ周辺の丘陵に広がる、ファミリー所有のオリーブ畑から「フレスコバルディ・ラウデミオ」が誕生したのは30年前のこと。ここは朝晩の気温差が激しく、独特のミクロクリマがポリフェノールを含んだ豊かなオリーブを木々に実らせます。
収穫のタイミングは製品のクオリティを大きく左右する要因の一つで、成熟具合を見て開始され、完熟する直前には完了します。オリーブの実は地面に落とさない。土の上に落ちた実は、酸化して劣化が始まるため使用しない。実は熟せば熟すほど水分が増えるため、搾油すると水っぽい凝縮感のないオリーブオイルになり、私達が目指す品質からは遠ざかってしまいます。
収穫後は製油所に運び込み6~8時間以内に搾油。収穫から搾油までの時間が短ければ短いほど、酸度が低く高品質のオイルが搾れるからです。毎年この時期、搾油所は24時間フル稼働しているのです。できたオイルは空気に触れて酸化しないようステンレスタンクで密封保管します。オリーブオイルは鮮度が決め手ですからね。
これほど手間をかけてできあがったラウデミオ。その旨味を存分に味わうためには、シンプルな料理に使うのがおすすめです。トマトソースだけのパスタや野菜スープ、肉のグリルの上からたっぷりかけると一気に食材のおいしさが引き立ちます。味わうごとにトスカーナの大自然の恵みを感じ、豊かな気持ちにさせてくれる。日本のシェフやグルメな皆様にも楽しんでいただきたいですね。
from Japan
ボトルを開けるとふわりと香る若草のような香り。美しく澄んだ緑色。〝ザ・オリーブオイル〞の代表ですね。修業時代にいたトスカーナを思い出します。イタリアのレストランでは、まかないの際、食卓の真ん中に必ずオリーブオイルを数本並べます。数滴垂らす人、大量に回しかける人、各々好きなだけ料理にオリーブオイルを振りかけて食べるのです。
今回は同じくトスカーナの定番である仔羊のトマト煮込みを作りました。羊肉を白インゲン豆、ソフリット(香味野菜をオリーブオイルで炒めたもの)、トマト、ハーブと共にじっくり煮込んだ料理です。「フレスコバルディ・ラウデミオ」は、爽やかなアタックの後に感じる仄かな苦味、余韻に残るピリッとした辛味など、主張のある個性の強いオリーブオイルだと感じます。野菜サラダやカルパッチョなど、シンプルな料理にはもちろん合うのですが、このような肉の煮込みにも最適です。器に盛り付けた後、ラウデミオを回しかければ、オイルのコクとスパイシーな風味が煮込みにより深みを与えます。羊肉の他に、骨付きの鶏肉や豚肉でも。野菜はクセのあるもの、魚ならマグロやカツオなども相性がいいと思います。あと面白いのは和食。刺身や冷奴などは定番ですが、味噌汁にちょんと垂らすだけで洋風スープのような華やかな味になります。
ラウデミオの贅沢な風味は加熱せずそのまま味わってほしい。特に、今の時期だけの一番搾り「ヌォヴォ・ラッコルト2018」は、フレッシュな香りと爽やかなアタックがより際立ちます。食卓の調味料としてぜひ活用してみてください。
◎ リストランテヤギ
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12:00~13:30LO、18:00~22:00LO 水曜休
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