「フレスコバルディ・ラウデミオ」が繋ぐ イタリアと日本の食卓 往復書簡 ~春夏編~
1970.01.01
text by Mika Hisatani(Italy) / photographs by Kiyu Kobayashi(Japan)
トスカーナ生まれのエキストラ・ヴァージン・オリーブオイル「フレスコバルディ・ラウデミオ」。ブランド創設30 年を迎える剪定期の農園と、日本を繋ぐ往復書簡をお届けします。
from Italy
生命が芽吹きだす春。「フレスコバルディ・ラウデミオ」の畑では、この時期にオリーブオイルの品質を左右する大切な2つの作業が行われます。1つ目は剪定。3月になると冬の間休んでいた木々が新たに成長を始め、枝にはたくさんの蕾がつきます。この蕾が花となり、オリーブの実ができるのですが、開花直前に剪定を開始します。
この作業は、ワイン造りにおけるブドウの葉や房の剪定と同じで、よい条件の位置にある枝のみを残し、そこになる実に、より栄養を集中させるための工程です。日陰にある枝や密集して風通しの悪い所にある枝だけを慎重に間引きしていきます。これは機械ではできない作業であり、収穫にも増して重要な手仕事です。
2つ目は剪定作業が終わる4~5月頃から始まる緑肥。冬に種を蒔き成長したソラ豆や雑穀類を、そのまま畑の中にすき込みます。有機物が地中に増加することで微生物の繁殖が促進され、害虫の発生を防ぎ、水はけもよくなります。このように春は、半年後に木々が最高のオリーブを実らせることができる環境作りを行います。ラウデミオの品質は、収穫時期だけではなく、年間の地道な作業を通して生まれるのです。
1986年にイギリスのチャールズ皇太子が私達のオリーブ畑を訪問。友情の証としてオリーブの苗を植えたのもちょうどこの季節でした。我が家とイギリス王室とは古くから交流があり、皇太子と叔母のボナは長年の友人でもあります。今でも毎年皇太子の誕生日にはラウデミオをお贈りしています。そんな季節におススメの料理は、グリーンピースのパスタ。できあがったパスタの上に黄金のオイルをたっぷりかけて食べるのが僕も大好きです。
from Japan
オリーブオイルは、調味料の一つとして時折料理に取り入れていたのですが、「フレスコバルディ・ラウデミオ」との出会いは衝撃でした。深く鮮やかな緑色と若草を思わせる香り、スパイシーな刺激と苦味は、今まで味わったことがなく、ワクワクしました。
店でオリーブオイルを使うのは、例えば炊き込みご飯。通常は一緒に炊き込むのですが、ラウデミオのポテンシャルの高さはできるだけ加熱せずにフレッシュな状態で味わってほしい。考えた末にホタテと、トマトやグリーンアスパラガスなど旬の野菜をラウデミオと黄金柑でマリネに。土鍋ご飯の炊きあがり10分前に加え、蒸らして仕上げました。蓋を開けると広がるラウデミオの豊潤な香り、また口に含むとほどよく馴染んだオイル、野菜とご飯の甘味が広がります。このご飯は、店で出すロワールのワインとも相性がいい。幸せな瞬間を、マッテオさんにも堪能していただきたいです。
他にも根菜とホタルイカをシンプルに和えたり、酸味がやわらかい柑橘の果汁と合わせてドレッシングとして使ったりしても面白い。トスカーナでは豆と一緒に食べると聞きますので、味噌と相性がいいのも頷けます。私が意識しているのは、和食をイタリアンに変えるのではなく、和食材とオリーブオイルとの融合。今回、ラウデミオは新たな可能性に気づかせてくれました。
◎ 日本料理 若林
東京都港区南青山4-9-3 2F ☎ 03-3408-4723
12:00~13:30LO(月~水は予約のみ)、18:00~21:00LO 日曜、祝日休
東京メトロ外苑前駅より徒歩5分
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