NYの人気ビストロ「Buvette(ブヴェット)」がやって来た!
1970.01.01
photographs by Hide Urabe
レポート
BuvetteはNY版“街の小食堂”
NYのウェストヴィレッジにある「Buvette」は、2011年のオープン以来、地元民に愛されているビストロ、いや、ビストロという言葉では表現しきれないお店です。
「朝8時から(週末は11時から)深夜2時までの通し営業で、好きな時に好きな使い方ができるんですね。朝食を食べに来る人もいれば、昼下がりのひと時をマドレーヌと紅茶で過ごす人もいる。小さなお店だけれど、時間帯によっていろんな表情を持っているんですよ」と語るのは、「Buvette」をよく知るTaste of America 2015 運営事務局の村上由さん。村上さんの言葉から、「Buvette」が“街の小食堂”として地域に根を張っている様子が窺えます。
「朝8時から(週末は11時から)深夜2時までの通し営業で、好きな時に好きな使い方ができるんですね。朝食を食べに来る人もいれば、昼下がりのひと時をマドレーヌと紅茶で過ごす人もいる。小さなお店だけれど、時間帯によっていろんな表情を持っているんですよ」と語るのは、「Buvette」をよく知るTaste of America 2015 運営事務局の村上由さん。村上さんの言葉から、「Buvette」が“街の小食堂”として地域に根を張っている様子が窺えます。
ハートウォーミングな料理
“街の小食堂”として人気を得る理由は、オールデイダイニングとしてお客さんを受け入れる姿勢だけじゃなくて、もちろん料理にもあります。「Buvette」を愛する面々は必ず言うんですよ、「ハートウォーミングな料理」って。それが十分に伝わる今回のPOP UP LUNCH & DINNERでした。
オーナーシェフのジョディ・ウィリアムズさんはサンフランシスコで育ち、イタリアでの6年の修業のほか、フランスでも経験を積み、また、世界を旅する中で現在のスタイルを確立しました。
キャロット・ラペやラタトゥイユ、コック・オ・ヴァンといったフレンチ惣菜を、大皿のシェアスタイルか、逆に小皿スタイルでサーブします。料理人修業をみっちり積みながら、あえて家庭料理的なアイテムを、家飲みやバル飲みのようなラフさで提供するあたりが、食べ手に「あったかい」と感じさせる所以かもしれません。
オーナーシェフのジョディ・ウィリアムズさんはサンフランシスコで育ち、イタリアでの6年の修業のほか、フランスでも経験を積み、また、世界を旅する中で現在のスタイルを確立しました。
キャロット・ラペやラタトゥイユ、コック・オ・ヴァンといったフレンチ惣菜を、大皿のシェアスタイルか、逆に小皿スタイルでサーブします。料理人修業をみっちり積みながら、あえて家庭料理的なアイテムを、家飲みやバル飲みのようなラフさで提供するあたりが、食べ手に「あったかい」と感じさせる所以かもしれません。
「大切にしているのはノスタルジア、どこか懐かしく思う気持ちです。たとえば、パスタを作ろうって思った時、ピスタチオのペーストを使って、クミンもたっぷり入れて、あぁ、チキンものせたらおいしいかもなどと、いろんなアイデアを盛り込むことはいくらでもできる。でも、私にとって一番おいしいパスタは、ローマのレストランで食べたカルボナーラなの。昔からたくさんの人々が作り続ける中で磨かれてきた、たくさんの人々が食べてきた、だから、たくさんの人々が心を寄せられる、そんな料理がいいんです。そこに食のリアルがあり、本質があると思うから」
「昔から作り継がれてきた食の文化を学び、伝統的な要素を抽出して取り入れる――それが、私の料理との向き合い方です。旅行していても、その土地で昔から食べられてきたものは何なのか、なぜ、それが食べてられているのか、いつも文化を見つめるようにしています」と語るジョディさん。料理を絵にたとえて語った次の言葉が印象的でした。
「私はアバンギャルドな抽象画を描くタイプではなくて、風景画を何度も何度も繰り返し描くタイプだと思うわ」。
「昔から作り継がれてきた食の文化を学び、伝統的な要素を抽出して取り入れる――それが、私の料理との向き合い方です。旅行していても、その土地で昔から食べられてきたものは何なのか、なぜ、それが食べてられているのか、いつも文化を見つめるようにしています」と語るジョディさん。料理を絵にたとえて語った次の言葉が印象的でした。
「私はアバンギャルドな抽象画を描くタイプではなくて、風景画を何度も何度も繰り返し描くタイプだと思うわ」。
たくさんの手で磨かれたものへの愛
ジョディさんの“たくさんの人々の手を経て磨かれてきたもの”への愛着は、料理だけでなく、物に対しても同様です。「Buvette」という店を構成するのは、どこかで誰かが使っていたベンチやドアやテーブル……。使い込まれて味わいのある物ばかり。ジョディさんは、東京の人々に少しでも「Buvette」を感じてほしくて、アンティークのクルミ割りや卓上の置き物など、持ち運べる物を持参してきました。ちなみに彼女は無類の紙好き(「Buvette」のメニューやショップカードは凝りまくっています)で、このPOP UP LUNCH & DINNERのために、わざわざ手漉きの紙にシルクスクリーンで刷ったポスターを用意してきたんですよ。「料理も紙も自然から作るものでしょう? それに、風合いのある紙を選んだり、趣きのあるデザインにすることは、情熱を伝える上でもすごく大事よ」とジョディさん。
古い物を大切にしたBuvetteスタイルの魅力は、『料理通信』2011年10月号のアメリカ特集「店づくりのネタ本」でもご紹介しています。
古い物を大切にしたBuvetteスタイルの魅力は、『料理通信』2011年10月号のアメリカ特集「店づくりのネタ本」でもご紹介しています。
そして、何より、「Buvette」を愛する面々が「ハートウォーミングな料理」と表現する、そのあったかさはまぎれもなくジョディさん自身が発していることを、調理中の姿が物語っていました。会場は、2015年9月18日にオープンしたばかりの銀座「ラシーヌ」。その厨房で、若いスタッフたちに指示を出す姿は“肝っ玉かあさん”のよう。お客さんもスタッフもみな、彼女を慕うのがよくわかります。
先を見つめるアメリカの若いシェフたち
5回目を迎えて、アメリカの州や市の観光局とのコラボレーションにより様々なイベントが開催された「TASTE OF AMERICA 2015」。
ジョディさん自身は、今のアメリカの食事情をどのように見ているのでしょうか?
「アメリカでは何でも手に入るし、農業が巨大産業化している部分もあります。でも、最近のトレンドは、小さな農業ですね。誰がどんなふうに作ったかがわかる作物。そして、若いシェフたちは、環境問題に対して高い意識を寄せている。オーガニックは身体にいいよねといったこと以上に、もっと先を見つめています。とても心強いですね」
ジョディさん自身は、今のアメリカの食事情をどのように見ているのでしょうか?
「アメリカでは何でも手に入るし、農業が巨大産業化している部分もあります。でも、最近のトレンドは、小さな農業ですね。誰がどんなふうに作ったかがわかる作物。そして、若いシェフたちは、環境問題に対して高い意識を寄せている。オーガニックは身体にいいよねといったこと以上に、もっと先を見つめています。とても心強いですね」
SHOP DATA
◎Buvette
42 Grove St, New York, NY 10014
☎ +1 212-255-3590
8:00~2:00
無休
http://www.buvette.com/
◎Buvette
42 Grove St, New York, NY 10014
☎ +1 212-255-3590
8:00~2:00
無休
http://www.buvette.com/
SHOP DATA
◎RACINES MEATBALL & LOCAL TABLE
東京都中央区銀座5-7-10 EXITMELSA地下1F
☎ 03-6264-5971
11:00~23:00
無休
http://racines-ginza.com/
◎RACINES MEATBALL & LOCAL TABLE
東京都中央区銀座5-7-10 EXITMELSA地下1F
☎ 03-6264-5971
11:00~23:00
無休
http://racines-ginza.com/