HOME 〉

JOURNAL / JAPAN

【ようこそ発酵蔵へ】味が深まる発酵甘味料「米糀甘酒」

三重・伊勢「糀屋」

2023.12.04

味が深まる発酵甘味料「米糀甘酒」

text by Kyoko Kita / photographs by Hide Urabe

連載:ようこそ発酵蔵へ

写真で巡る発酵の世界。丁寧に時間をかけて微生物と向き合い、日本の伝統食を次代へつなぐ蔵、生産者を訪ねます。伊勢神宮の外宮門前に店を構えて200年の「糀屋」へ。飲む点滴とも言われる米麹と米だけで作る甘酒が人気です。

ペースト状にした甘糀

ペースト状にした甘糀。プリンや甘酒などの原料となる。

ペースト状にした甘糀

3種類の麹をブレンド。「おばあちゃんが作ってくれた懐かしい味」(常連談)の秘密か。

米、米麹、水と共に糖化機で撹拌する。

米、米麹、水と共に糖化機で撹拌する。

米は少し柔らかめに炊き、人肌まで冷ます。

米は少し柔らかめに炊き、人肌まで冷ます。


味が深まる発酵甘味料

その歴史は古墳時代まで遡るという日本伝統の飲料、甘酒。酒粕を湯で溶き、砂糖で甘味をつけたタイプもあるが、昨今、美容や健康の面から特に注目されているのが、米麹と米だけで造る甘酒だ。「飲む点滴」と言われるほど栄養豊富で、江戸時代には夏バテを防ぐ滋養ドリンクとして行商が売り歩く姿が夏の風物詩だった。

伊勢神宮の外宮門前に店を構えて200年の「糀屋」は、味噌や醤油の醸造を続ける傍ら、細々と甘酒を仕込んできた。昔ながらの蔵で造られる米麹を使い、衛生的な甘酒工場で商品化。品質を損なわずに一年常温保存可能である。「日本酒蔵が造るすっきりとした甘酒とはまた違い、味噌蔵の甘酒らしい濃厚な味わいだと思います」と社長の河村謙吾さん。

原料は厳選し、豊かな自然がつくるおいしい水を使う。米麹は「甘味、すっきり感、個性のバランスを考えて3種類をブレンド」する。炊いた米と米麹、水を混ぜ合わせ、60℃で20時間発酵。この間、麹由来の酵素が米のデンプンを糖に変えることで豊かな甘味が生まれる。

こうしてできあがった「甘糀」の濃度を飲みやすく整えたのが甘酒「糀ドリンク」だ。そして甘糀はプリンにも使っている。コク深く複雑な甘味は、まさに発酵の賜物。「甘味料として、もっと日常的に甘酒を使っていただきたい」。健康に良いのはもちろん、新たなおいしさに遭遇できるかもしれない。

糀ドリンク

「糀ドリンク」(345円/200g、1080円/750g)。温冷どちらでも美味。砂糖の量を控え、代わりに甘糀を使用して溜り醤油を加えた「糀ぷりん」(380円)も人気。



糀屋

◎糀屋
三重県伊勢市宮後1-10-39
☎ 0596-65-7050
http://www.koujiya-ise.com/ 

(雑誌『料理通信』2019年3月号掲載)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。