日本 [和歌山]
トップシェフから次世代料理人、生産者へ。土地を伝える味づくり-後編-
2021.01.28
当日「小川農園」で収穫したキクイモ、ビーツなどを紀州備長炭で炭火焼きする小林シェフ。会場の限られた厨房スペックに「その場その場でできることを最大限に」と考えたアプローチ。
連載:日本 [和歌山]
和歌山「ヴィラ アイーダ」小林寛司シェフの声掛けで、全国から集結した6人のトップシェフたち。地元和歌山の新進・若手料理人、生産者とチームを組み、5チームにわかれて食材の産地を訪問。午後、メイン会場となる「秋津野ガルテン」に集まり、テーマ食材を用いて料理、意見交換を行った。盛りだくさんな1日の最後、参加した地元料理人たちは、はたして何を感じとったのか?
前編はコチラ。
食材から料理まで“プロセス”を共有する
地域の食材の魅力を発掘するために、有名料理人が産地を訪問し、土地の食材を使ったメニューを考案する。食の資源が、地域振興に活用されるようになってから、各地で行われる試みだ。トップシェフが店のメニューに使用することで、産品のブランド化が一気に進むケースも少なくない。
だが、今回の企画で小林シェフが目指したのは、その一歩先だ。業界を牽引するシェフたちは、産地の、産品のどの部分に着目するか。その理由は何なのか。素材と向き合うプロセス、思考の道筋を、次代の料理人たちに示し、共有した。
5つのチームで訪問した産地・生産者は、漁師に畜産農家、野菜や果樹の栽培農家、ジビエ解体処理施設と幅広い。リーダー役を務めるシェフは全国から集まったが、参加者は地元和歌山を拠点にする料理人が中心。
自分たちの足元に広がる自然の豊かさに改めて触れ、和歌山ならではの味づくりをどのように行っていくか。単なるセミナーや料理講習では伝えられない、一皿を生み出す背景を、言葉以上に、産地での振る舞いで、生産者との会話で伝えた形だ。
「シェフたちはそこを見るのか、生産者に訊くのはその点か、と目からウロコの連続でした」「上質な食材で、おいしいものを作るのは、料理人として“当たり前”にしたいところ。今日教えてもらったのはその先の、土地を伝える味づくりへのアプローチです」
会の締めくくりで、参加した料理人たちは口々にそんな感想を口にした。
すでにオーナーシェフとして店を持つ身ならば、誰かの仕事から学ぶ機会はなかなかないし、小規模な飲食店が主流である今、先輩料理人の仕事から何かをつかむ機会も希少だ。リーダー役のシェフたちもまた、若い料理人の熱心な表情や素直な発想から得る気付きがあったと、充実の表情で話す。
産地訪問から調理、ディスカッションまで、よくぞ1日で収まったという盛りだくさんのプログラム。若きシェフたちがこれからの時代を料理人として生きるための確かな財産になったことだろう。
◎和歌山「ヴィラ アイーダ」
http://villa-aida.jp/
◎和歌山「オテル・ド・ヨシノ」
https://www.hoteldeyoshino.com/
◎神戸「メツゲライクスダ」
https://metzgerei-kusuda.com/
◎京都「Ensoleillé」
https://www.instagram.com/ensoleille27/
◎東京「レフェルヴェソンス」
http://www.leffervescence.jp/
◎長野「LA CASA DI Tetsuo Ota」
Facebookページ
◎沖縄「萌菓(houka)」
Instagram @houka_meguminishio
- 1
- 2