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JOURNAL / 世界の食トレンド

France [Paris]シグネチャーは「もやしのリゾット」。ティエリー・マルクスの新店が話題

2023.04.20

France [Paris]シグネチャーは「もやしのリゾット」。ティエリー・マルクスの新店が話題

text by Sakurako Uozumi / photographs by Mathilde de l'Ecotais

2023年2月にオープンした「オノール(Onor)」は、ティエリー・マルクスが20年前から温めていた夢を実現したレストラン。持続可能性にこだわり、食材を敬い、料理技術の継承を標榜する。パリ8区フォブール・サントノレ通りに位置し、店名はサントノレ通り(Rue du Faubourg Saint-Honoré)の“オノレ(Honoré)”と、フランス語で敬意・名誉を表す“オノール(Honneur)”を掛け合わせた造語だ。

食品ロスを極力なくすことはもちろんのこと、食材は持続可能を推奨するブルー・ブラン・クール協会のお墨付きを使用。同協会には現在7000以上もの農家が加入しており、家畜には健康に配慮した飼料を与えて、農場から食卓までのトレーサビリティも明確にしている。

料理長はマルクスの牙城「マンダリン・オリエンタル・パリ」の二ツ星「カメリア」で、右腕を務めたリカルド=ホセ・マタ・シルヴァ。従業員の2割は、マルクスが2012年に創立した「キュイジーヌ モード・ダンプロワ」(無職の若者が無料で料理を学べる学校)の出身者だ。

料理は旬の食材を使った繊細で独創的なフランス料理

料理は旬の食材を使った繊細で独創的なフランス料理で、シグネチャーの「もやしのリゾット」から始まる。極薄に切った鯛とダイコンをバラの花びらに見立てて、ジュレ状のだしを合わせたり(写真)、3段ボックスで供するデザートを「LA BOITE BENTO(弁当箱)」とネーミングしたりと、親日家の顔も見せる。柔道、剣道など武道をこよなく愛するマルクスのエスプリを発揮する新店の評判は上々だ。

(写真トップ)ティエリー・マルクス(前列左から3番目)と、ポルトガル出身のシェフ、リカルド=ホセ・マタ・シルヴァ(前列右から2番目)。料理の技術継承もマルクスのライフワークのひとつ。「キュイジーヌ・モード・ダンプロワ」はフランス国内9カ所にあり、食にかかわる実践的な技術を無償で習得できる料理学校だ。

店内

(写真)持続可能性の観点からテーブルクロスは使わない。内装は室内建築家のマチルド・ド・レコテが担当し、フランスの職人たちが作った家具をリサイクルして使用。椅子には海から回収したプラスチック廃棄物で作った生地を用い、塗装には革の廃棄物を再利用している。



◎Onor par Thierry Marx
258 Rue du Faubourg Saint-Honoré 75008 Paris
ランチ 12:00~13:30 4皿90ユーロ
ディナー 19:00~21:30 6皿250ユーロ
https://www.onor-thierrymarx.com/en/

*1ユーロ=143円(2023年3月時点)

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