日本酒に精通するソムリエが増えるパリ。独創的な料理とのマリアージュをバーで体験
France [Paris]
2023.08.17
text by Sakurako Uozumi / photographs by Sakurako Uozumi, Thomas Jaspers(exterior)
近年、日本酒の認知度が高まりつつあるパリ。2017年からは日本酒コンクール「Kura Master」が始まり、2019年にはカマルグ米などフランス産の原料で造るSAKE醸造所「WAKAZE」がパリ郊外に設立、プロ向けの日本酒ワークショップやテイスティングイベントも数多く行われるようになった。
2022年11月、パリ6区にオープンした「グラン(Grain[s])」は、日本酒と自然派ワインの専門バー。ソムリエのマチュー・ゲランは、ティエリー・マルクスの「シュール・ムジュール」やモリー・サッコの「モスケ」で、独創的な料理と日本酒のマリアージュを徹底的に学んできた。「日本酒には香りのバリエーションが無限にあり、食材本来が持つ“うまみ”を最大限に引き出します。シャルキュトリー、緑の野菜、卵などと抜群のハーモニーを奏でます」とマチュー。
グランのメニューはシャルキュトリーやチーズの他、野菜中心のスパイスを効かせた料理が多く、「日本酒には和食を合わせるもの」という既成概念を覆す。料理はシュール・ムジュールで出会ったジュリアン・アヴィラが手掛ける。どの料理にも4~5種類の日本酒の組み合わせを念頭に置いており、まだ日本酒を知らないゲストに、それぞれの地域性と特性を丁寧に説明しながら、日本酒の普及に心血を注ぐ。
フランスの日本酒輸入額はコロナ禍を経て、この10年で5.5倍に跳ね上がった*。食のプロフェッショナルが確かな知識を身につけることで、日本酒を取り巻く環境は激変していくに違いない。
*参考資料:ジェトロ・パリ事務所による「フランス向け日本酒輸出の推移」より
(写真トップ)ソムリエのマチュー・ゲラン。大の日本酒ファンであり、自然派ワインのスペシャリストでもある。日替わりのメニューは野菜を中心に、「ポワロー葱のグリル、ストラッチャテッラ&グアンチャーレのせ」「ガラムマサラを効かせたインゲンとひよこ豆のサラダ、ココナッツミルクソース」「グリルしたズッキーニにコリアンダーのソースを合わせ、山羊チーズ・ブルースのせ」(写真)など、様々な国から影響を受けた料理。日本酒だけで通すのもよし、自然派ワインと組み合わせるのもよし。
◎Grain[s]
6 Rue Mabillon, 75006 Paris
☎+33.(0)7.64.44.30.75
18:00~翌1:00
日曜、月曜休
https://www.grains.becsparisiens.fr
*1ユーロ=155円(2023年7月時点)
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