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JOURNAL / 世界の食トレンド

シャンパン片手に極上ピッツァをコース仕立てで。レストラン化するピッツェリア

Italy [Milano]

2023.07.13

シャンパン片手に極上ピッツァを。レストラン化するピッツェリア

text by Yuko Suyama

イタリア中みんなが好きなピッツァ。ミラノでも、毎週のようにピッツェリアのオープンが続いているが、近頃、レストラン化の兆しが見られ、セレクトした食材やドリンクを謳うピッツェリアが目立ってきた。

2023年4月、ブティックや画廊が並ぶ5ヴィエ地区にオープンした「ピッツァ・カンティーナ・コンフィーネ(Pizza Cantina Confine)」も、白と黒を基調としたシックなピッツェリア。目を引くのはメニューの初めに載る「デグスタツィオーネ」だ。厳選素材を使ったピッツァを1切れずつ、コース仕立てで楽しめ、シャンパンやワインをペアリングすることもできる。ヴィーガンやベジタリアンに対応する他、クラシックなマルゲリータだけでも3種類用意するなど、ホールピッツァの選択肢も豊富だ。

ナポリ南部・サレルノ出身のオーナー2人は幼なじみ。フランチェスコ・カペーチェさんはピッツァ職人の道へ進み、マリオ・ヴェントゥーラさんはバールでドリンクを極めてソムリエになった。それぞれ国内外で研鑚を積んだ後、地元に戻り、各々の店を経営して知名度を上げた。コンフィーネは初めての共同経営だ。


(写真)ピッツァ職人のフランチェスコ(左)とソムリエのマリオ。ピッツェリアのレストラン化には、「心地よい雰囲気とプロフェッショナルなサービス、厳選素材の使用、ワインリストの充実が必要」とマリオは解説する。

(写真)ピッツァ職人のフランチェスコ(左)とソムリエのマリオ。ピッツェリアのレストラン化には、「心地よい雰囲気とプロフェッショナルなサービス、厳選素材の使用、ワインリストの充実が必要」とマリオは解説する。

「内装、ライティング、サービスとも全て心地よい雰囲気の中で、ピッツァを楽しんでもらいたい」とはホール担当のマリオさん。リピーターの20%はデグスタツィオーネをオーダーするといい、店提案のスタイルに手応えを感じている。

「ベースはナポリ風ピッツアの生地ですが、蒸して揚げたバンズ形のバオ(包)やカルツォーネのように詰め物したもの、厚めの生地を小さな容器に入れて焼くバデリーニ風なども」と話すのは、キッチンを仕切るフランチェスコさん。味わい深いタイプ1の小麦粉を使い、72時間以上発酵させた胃にもたれない消化しやすい生地に仕上げている。

トマトにも思い入れがあり、甘いコルバーラ種、酸味とのバランスが良いサンマルツァーノ種、濃厚なナポリクラシコ種、トマトらしい小粒シチリア産ダッテリーニ種の4種類をソースや料理に使用。オリーブ油も単一の4品種とサレント地方IGPのE.V.オリーブ油をセレクトして使い分ける。

ピッツェリアでは近年、発泡性ワインと合わせる傾向が顕著で、同店でもシャンパンやスプマンテと合わせることも。オープンして間もないが、トレンドに敏感な食通ミラネーゼの心をしっかり掴んでいるようだ。

(写真トップ)フランチェスコの3種のマルゲリータのひとつ、「アッレアンツァ(同盟)風」は、スローフード協会のプレシディオ認定されたナポリクラシコ種のトマトを使う。生産量が少ないため、このトマトがなくなると必然的にメニューから外す。

(写真)「ボトックス(Botox)」とネーミングされたピッツァ。乳牛のモッツァレッラ、熟成したカチョカヴァッロ、水牛の青カビチーズなど、数種のチーズで作るフォンドゥータソースに、苦味を感じるサレルノ産レチーノ種のE.V.オリーブ油を合わせ、濃厚な甘味のチレント産白イチジクのコンフィチュール、パルミジャーノ・レッジャーノのチップスを添えた。名前の由来は「食べると気持ちが和らぎ、顔立ちも穏やかになり、美容施術を受けたようになるから」。

(写真)「ボトックス(Botox)」とネーミングされたピッツァ。乳牛のモッツァレッラ、熟成したカチョカヴァッロ、水牛の青カビチーズなど、数種のチーズで作るフォンドゥータソースに、苦味を感じるサレルノ産レチーノ種のE.V.オリーブ油を合わせ、濃厚な甘味のチレント産白イチジクのコンフィチュール、パルミジャーノ・レッジャーノのチップスを添えた。名前の由来は「食べると気持ちが和らぎ、顔立ちも穏やかになり、美容施術を受けたようになるから」。

(写真)個室に通じる1階壁面のワインボトルは圧巻のディスプレー。同店ではほとんどの客がワインをオーダーするという。地階のワインセラーには500銘柄を揃え、ワインメーカーとコラボしてテイスティング会も開いている。

(写真)個室に通じる1階壁面のワインボトルは圧巻のディスプレー。同店ではほとんどの客がワインをオーダーするという。地階のワインセラーには500銘柄を揃え、ワインメーカーとコラボしてテイスティング会も開いている。

(写真)シンプルでエレガントなテーブルセッティングの店内。主役のピッツァにもきれいに光が当たるよう計算されたライティング。

(写真)シンプルでエレガントなテーブルセッティングの店内。主役のピッツァにもきれいに光が当たるよう計算されたライティング。



◎Pizza Cantina Confine
Via San Sisto, 9 20123 Milano
☎+39-02-36528708
12:00~15:00、19:00~24:00
日曜、土曜昼休
デグスタツィオーネ・コース ピッツァ4種 25ユーロ、5種 30ユーロ
コンフィーネ・セレクトコース ピッツァ4~6種、30~45ユーロ
ワインペアリング4~6種 25~100ユーロ
ピッツァ 8~22ユーロ
フリット 4~8ユーロ
http://confinemilano.it/

*1ユーロ=157円(2023年6月時点)

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