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JOURNAL / 世界の食トレンド

世界のファーマーズ・マーケットをネットワーク化する新組織がローマで発足

Italy [Roma]

2023.09.21

世界のファーマーズ・マーケットをつなぐ新組織がローマで発足

text by Mika Hisatani / photograph by WorldFMC

イタリア農業生産者団体「コルディレッティ」によると、イタリアはヨーロッパでファーマーズ・マーケットのネットワークが最も充実している国だという。そのイタリア・ローマで2023年5月22日、同団体による「世界ファーマーズ・マーケット連盟(以下WFMC)」が発足した。国連食糧農業機関(FAO)の、農業システムの改革を目指すプラットフォーム「食糧連合(Food Coalition)」で選ばれた「10のプロジェクト・ポートフォリオ(The 10 Projects Portfolio)*1」の1つで、持続可能な環境と農業経済システムを世界に普及させることが目的だ。

(写真)世界ファーマーズ・マーケット連盟が発足した5月22日は、国連が定める「国際生物多様性の日」にあたる。

(写真)世界ファーマーズ・マーケット連盟が発足した5月22日は、国連が定める「国際生物多様性の日」にあたる。

「ファーマーズ・マーケットとは単なる農産物販売のための場所ではなく、地産地消により地域経済を活性化させ、生物多様性を保護し、小規模農家を増進させるという、近代のまちづくりを再設計するためのツールなのです」と話すのは、WFMC事務局長カルロ・トロッコリ氏。

現在、世界50カ国で展開するファーマーズ・マーケットは、約2万5000軒が存在し、その消費者数は3億人以上と言われる。米国では過去20年間でファーマーズ・マーケットの数が400%増加。ヨーロッパの国々でも同じく、ノルウェーでは2003年以降、毎年20%の成長率を記録している*2。

この現象をさらに拡大するため、WFMCは姉妹都市ならぬ「シスター・マーケット」と呼ばれるプロジェクトを進めており、ウクライナ南西部の都市カームヤネツィ・ポジーリシクィイの市場や、ニューヨークの「GrowNYC グリーンマーケット」と姉妹提携を結び、国と国の友好や天然資源の保護を提唱する。

WFMCが運営するSNSには、加盟しているファーマーズ・マーケットの様子や、そこで販売されている食材が日々アップされ、世界中の人に自国の農産物をアピールできる場となっている。若い世代や新興国にもファーマーズ・マーケットのグローバルネットワークを拡大する狙いだ。

連盟の発足後、世界のファーマーズ・マーケットからの加盟が現在進行形で進んでおり、日本からのメンバーも募集中である。

*1 The 10 Projects Portfolio:貧困や食品ロス削減、持続可能な食糧システムの変革などをテーマとし、FAOが加盟国から募集し選出した10の取り組み。各国から提起されたニーズを支援するために、政治的コミットメント、財源、技術的・政策的支援や専門家を動員することを目的としている。
*2 ANSAイタリア共同通信社のデータより

(写真トップ)加盟している世界中のファーマーズ・マーケットの様子やイベントなどの最新ニュースがチェックできるWFMCのインスタグラム。

(写真)2023年7月、国連がローマで開催した「食料システムサミット+2 ストックテーキング・モーメント」で、WFMCは活動内容を発表。会場となったローマのチルコ・マッシモ地区「カンパーニャ・アミーカ・マーケット」にて、WFMC事務局長カルロ・トロッコリ氏(右から3番目)と各国の代表たち。

(写真)2023年7月、国連がローマで開催した「食料システムサミット+2 ストックテーキング・モーメント」で、WFMCは活動内容を発表。会場となったローマのチルコ・マッシモ地区「カンパーニャ・アミーカ・マーケット」にて、WFMC事務局長カルロ・トロッコリ氏(右から3番目)と各国の代表たち。



◎World Farmers Markets Coalition 
http://worldfarmersmarketscoalition.org/

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