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北欧のスペシャルティコーヒー界を牽引してきたティム・ウェンデルボー氏。酸味が際立つ浅煎り、新しい抽出方法エアロプレスのブームを作ってきた1人だ。
品質の良いコーヒーノキを栽培し、農家の生活を支えるためには「1杯は安くあるべきではない」とも訴え続けてきたが、新たに「質のための木」基金を設立。世界中の農園で栽培に必要なシェード・ツリー(木を直射日光から遮る日陰樹)植樹のために活用する。
氏が営むロースタリーカフェが10周年を迎えた2017年7月1日、顧客はレジで「好きな価格」で支払うことができた。5時間の営業中に訪れたのは約400人。「いくら支払いたいですか」と聞かれ、戸惑う人も多かったが、最高金額はオープン当初からの常連客がエスプレッソ1杯に支払った11280ノルウェークローネ(約1万6千円)だった。
この日の売り上げ約73万円は基金に寄付され、結果として農家の支援にもつながる。コーヒー1杯の価格とその意味を、一人ひとりが考えるきっかけにもなったのではないだろうか。
(『料理通信』2017年10月号/「ワールドトピックス」より)
◎ Trees for Quality
www.timwendelboe.no/Learn/treesforquality
text & photograph by Asaki Abumi
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