Peru[Lima]
自治体と連携してリマのレストランにテラス文化を!
2021.06.14
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text by Keiko Harada / photograph by El Tridente sabor divino
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デリバリーの拡充とオープンスペースの確保に生き残りをかけるリマのガストロノミー業界。宅配アプリとデリバリー専用厨房“ダークキッチン”の活用を通じ、一気に普及へと転じたデリバリーサービスに比べて、後者については対応可能な店舗が限られていた。
ペルーレストラン協同組合によると、オープンスペースに客席を設けているレストランは全国でわずか1%。特に碁盤の目状に区画されたリマ旧市街セントロ地区など、古いエリアは道幅が狭く、テラス席を擁す店は意外と少ない。コロナ禍で接客人数が定員の30~40%に制限される中、感染リスクの低いテラス席の確保は飲食店にとって死活問題となっていた。
このような中、ペルー住宅省は2021年1月、「レストラン及び関連サービスにおける公共スペース一時使用に関するガイドライン」を公布。これにより各自治体は、許可を受けて公道をテラス席に転用できるようになった。また同制度を利用する店舗には、公道使用料の免除を始め、雨よけテント貸与や防疫措置指導など複数の特典が付与されている。
「美食テラス」と名付けられたこのプロジェクトには4月末時点で42の店舗が参加し、接客人数は平均で43%まで増加した。リマ市長ホルヘ・ムニョスは「レストランの収益確保だけでなく、国内観光の活性化にも役立てたい」と述べ、同制度を通じた観光セクターへの支援を約束。車両や歩行者への影響を含め対処すべき課題は残るものの、この試みが成功すれば、リマにも花の都パリのようなテラス席文化が定着するかもしれない。
(写真)「美食テラス」プロジェクトに参加しているセビチェリア「エル・トリデンテ」のテラス席。ユネスコの世界文化遺産にも指定されている旧市街の風景を楽しみつつ、安心して食事が楽しめると好評だ。
◎El Tridente sabor divino
Jiròn Ica 344-446, Cercado de Lima
☎+51-1-494-6573
facebook: @eltridentecercadodelima