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JOURNAL / 世界の食トレンド

Peru [Lima]

ペルー気鋭の若手シェフが腕を振るう“おばあちゃんの店”

2022.05.16

text by Keiko Harada

2019年にオープンしたレストラン「アウィチャ(AWICHA)」は、流行に敏感なリマの若者や欧米人旅行者に人気のエリア、リマ市バランコ区にある。オーナーシェフはリマ州ワチョ出身のジェイソン・ラモン(Jason Ramon)。「アウィチャ」とはケチュア語で“おばあちゃん”を意味し、敬愛する祖母への想いをこめて名付けられた。


ジェイソンは、祖母からペルー料理の奥深さを、漁師であり農業にも長けていた祖父からは素材の見極めや命の大切さを学んだ。17歳で渡米し、ニューヨークの著名なレストラン経営者ピノ・ルオンのもとでファインダイニングを経験。フランスの名門料理学校、フェランディを経て、パリ「ル・グラン・ヴェフール」で旬の大切さと伝統を重んじることの意味を再確認したという。

メニューはそれほど多くないが、季節ごとの素材の変化とそこから得るひらめきに従い、メニューを頻繁に更新することで、常に新しい発見を楽しんでもらえるよう努めている。その日水揚げされた魚と地場の野菜やハーブを使い、それぞれの料理に合わせたグラスワインを提供し、最高のマリアージュが楽しめると評判だ

そんな彼の姿勢が評価されたのだろう、2022年2月に行われた国内有力紙『エル・コメルシオ』主催のルセス賞*2021年度料理部門で、“35歳以下の若手シェフ賞”に選ばれた。かつてホテルだったという美しい邸宅を改装した店は、今では予約必須といわれるほど人気を博している。

*テレビや映画、音楽界や料理界など、ペルーの文化芸術とエンターテインメント分野で傑出した人々や作品をオンライン投票で選出する賞。

(写真)シェフのジェイソン・ラモン氏。ワチョの郷土料理やペルー伝統料理を、フランスはじめイタリアやインド、タイ、日本など各国のテクニックを応用することで、オリジナルの一品に仕上げる。



◎AWICHA
Jirón Domeyer 296, Barranco, Lima
☎+51-921-828-779
12:00~15:30、19:00~22:00(日曜12:00~16:30)
無休
オマカセ・ハポネス(コース) 約300ソレス(2人分)
ワイン・ペアリング 約550ソレス
シェフ自身が当日の食材を見てメニューを決めるため値段は目安
https://www.awicharestaurante.com/

1ソル=約34円(2022年4月時点)

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