Spain [Barcelona]
幕引きは潔く、「サンパウ」閉店
2018.11.08
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30年続いたサン・ポル・デ・マル(バルセロナ県)の三ツ星の名店「サンパウ」閉店のニュースはスペイン料理界に衝撃を与えた。女性シェフとして、世界で最も多くミシュランの星を有することでも有名なカルメ・ルスカイェーダの決断。
「なぜ、今?」「なぜ老舗を?」という誰もが抱く疑問を彼女は一笑する。「1988年に開業して以来、レストランとしてここまで成長しました。『サンパウ』の歴史は成功の歴史。その成功があったからこそ、私は自由を勝ち得たのです。閉店は自由を勝ち得た結果の決断。定年退職するつもりはありません」。今後は東京支店とバルセロナ・マンダリンホテル内の「モメンツ」の他、「コシーナ・デ・エストゥディオ(研究所の料理)」と呼ばれる業務用新商品開発にも力を注いでゆくという。
閉店の10月27日までは連日満席。かつての「エルブジ」閉店といい、今回の「サンパウ」閉店といい、華やかな時期に次のプロジェクトを見据えて閉店、という選択は、国内外の著名シェフの間に強い影響を与えそうだ。
(『料理通信』2018年10月号/「ワールドトピックス」より)
◎ San Pau
Carrer Nou,10,08395, Sant pol de Mar, Barcelona
www.ruscalleda.cat/en/menutext by Yuki Kobayashi
photograph by Carles Allende
JOURNAL / 世界の食トレンド
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