「料理を前進させる」
Fujiya1935 藤原哲也 Tetsuya Fujiwara
2014.10.01
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店名
Fujiya1935/(ふじや1935)
2003.07.14 open Fujiya1935のページを見る
1974年4月1日生 / 大阪府出身 / A型
1935 年創業の老舗洋食店に生まれる。ホテルやレストラン勤務を経て、24 歳で渡伊。ミシュラン二ツ星ほか数店で計2 年修業を積み、その後スペインへ。「L Esguardo」(1 年)の後帰国。03 年、実家の店を継ぎ、リニューアルオープン。
FAVORITE
音楽 : なし
本 : 『陰翳礼讃』(谷崎潤一郎著)、『夢をかなえるゾウ』(水野敬也著)
映画 : 『 グッドフェローズ』
MY LEGEND
フェラン・アドリア
世界で最も予約のとれないレストランと称された「エル・ブリ(スペイン・現閉店)」元シェフ。1962年生まれ。現在は料理研究に注力すべく財団を立ち上げて活動。2015年、博物館を兼ねた料理研究所をオープン予定。著書に『エル・ブリの一日―アイデア、創作メソッド、創造性の秘密』(ファイドン)。
ミゲル・サンチェス・ロメラ
「レスグアルド(スペイン)」シェフ、神経科学医師。神経科学の知識を取り入れた新しいスタイルの料理「ニューロガストロノミー」で知られる。著書に『五感の料理という考え方』(PLANETA)。
中東久雄
「草喰なかひがし(京都・銀閣寺)」主人。1952年生まれ。亡き兄の中東吉次さんと「美山荘」で料理を担当し、97年に銀閣寺に「草喰なかひがし」を開店。紅殻で塗った「おくどさん」を中心にしたユニークな調理場で話題を呼ぶ。毎朝、野草を摘んで料理に仕上げる「中東ワールド」で人気を博している。著書に『草菜根―そしてご飯で、ごちそうさん』(文化出版局)。
佐々木浩
「祗園さゝ木(京都・祗園)」主人。1961年生まれ。滋賀の料理旅館「臨湖庵」で修業、京都「割烹ふじ田」にて店長・料理長を務め97年に独立、06年に移転。一枚板のカウンター前に石窯を据え、日本料理の概念を超えた新しい味覚を次々と生み出す。13年に支店「祇園 楽味」開店。著書に『祗園 さゝ木の12か月 直伝レシピ手習い帖』(朝日新聞出版)など。
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田ゼリ
夜のコースの一品
根の部分にのみ蟹味噌と米粉を付けて揚げる。土付きに模した表情が掘りたて感を強調。茎はレモンビネガーを振って減圧し、わずかに火入れしたようなパリッとした食感に仕立てる。素材を変えて、季節ごとの「採れたて」が登場予定。
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茶路めん産子羊 焦がした菜の花のソース
夜のコースの一品
繊細な肉質を最大限生かすべく、塊肉をそのまま湯の中で循環させ、表面を焼き付けた「保湿」調理が、蠱惑的な色と香りを印象づける。ジューシーでしっとりな食感に、ほろ苦い春の野菜がアクセントを添える。
必要とされるためのキーワード
日本人の原風景・共有感覚に訴える。
日本人の原風景・共有感覚に訴える。
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お客様から「今日はサプライズが少なかった」と言われた時、藤原哲也さんは、ちょっぴり異和感を覚えた。「驚かせたいわけじゃないんだけどな」。意匠や製法に気をとられてしまいがちで、肝心のところが伝わってないような気がした。
確かに藤原さんの皿の景色は従来型の料理とは違う。スペイン仕込みのテクニカルな意匠もあれば、自然の情景そのままもある。いずれにせよ意図するのは、食べ手の心に内在する記憶や感情への働きかけだ。たとえば写真の「田ゼリ」。藁の下に芽吹く野草を、土に見立てた蟹味噌と米粉の衣で根元だけ揚げた一品。今、採ってきました、という見た目のインパクト以上に、シャリ、サクッとしたグラデーションのように異なる食感が、次々と不思議な光景を導き出す。泥だらけになって畑を駆け回った子供時代、採れたての野菜を囓った記憶。自分のものだったり、日本の原風景だったりするそれらは、やがて温かな余韻を心に残す。そんな心象風景が食べ手の心に描かれるような空間に、と改装したのが一昨年。
一歩入る。と、鍵の手に曲がったところに扉があり、中に入ると待ち合い。暗闇の中で水滴がころがる様を見ながら、 香煎をすする。と、2階へ案内され、テーブルにつく頃には、藤原ワールドにすっぽり納まっているという算段だ。
外来の料理を作る時、食べる時、「本国と同じかどうか」が基準だった。藤原さんは外来の技法を使って、日本人の原風景や共有感覚を拠り所に料理を作る。今、料理は従来の枠組みでは括れない領域に入ろうとしているのかもしれない。
text by Azusa Achi / photographs by Toshihiko Takenaka
Fujiya1935 大阪府/大阪市中央区 フジヤ1935のページを見る
住所 | 大阪府大阪市中央区鍵屋町2-4-14 |
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電話番号 | 06-6941-2483 |
営業時間 | 12:00〜13:00 LO 18:00〜20:00 LO |
定休日 | 日曜、第1月曜休 |
カード | 可 |
座席 | 全22席 |
タバコ | 禁煙 |
アクセス | 地下鉄堺筋線堺筋本町駅より徒歩5分 |
URL | http://fujiya1935.com/ |
備考 |
昼7200円 夜15000円 (税込・サ別) WINE グラス 白赤各2種 800円~、ボトル 8500円~ |
- 「2008年05月食のプロを刺激する店」 掲載
- 「2012年01月クリエイション魂」 掲載
- 「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
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