「新しいスタイルを提示する」
ビストロ・タツミ 廣瀬 亮 Ryo Hirose
2014.10.01
-
店名
ビストロ・タツミ/Bistro Tatsumi
2011.3.14 open ビストロ・タツミのページを見る
1976年5月6日生 / 栃木県出身 / A型
大学在学中の96年、宇都宮「オーベルジュ」でアルバイトを始め、97年準社員に。卒業後、池尻大橋「コム・ダビチュード」(3年)の後、02年渡仏。ブルゴーニュ「ル・ベナトン」(1年)、アルザス「ラ・ヴィエイユ・オンセーニュ」(3カ月)、パリ「パッシフロール」(1年)などで修業し帰国。05年青山「ポワロー」(半年)を経て大手企業の商品(食品)開発部に入社(3年)。08年恵比寿「ビストロシロ」を経て、11年独立。
FAVORITE
音楽 : スチャダラパー
本 : 『新宿鮫』シリーズ
映画 : 『モテキ』
-
豚セルベルのパリパリ焼き
1000円
脳は白子に似た味。グリュイエール、マッシュルーム、エスカルゴバターを加え淡白さを補強。パートフィロで包み、クミンの香りのロメスコ風ソースと。タブーに思われがちな部位を定番料理に据えた、廣瀬さんの気概を感じる一品。
-
パクチーとクレソンのサラダ
850円
内蔵料理の箸休めとしても人気のサラダ。ドレッシングはオリーブ油にレモン、隠し味に少量のヌクナムを入れている。仕上げにクルミを散らして。アジアの食材を使うものの、味の印象はハーブサラダに近い。
必要とされるためのキーワード
内臓×フレンチで技を見せる。
内臓×フレンチで技を見せる。
- 廣瀬亮さんは学生時代、音羽和紀さんから「料理人は職人で商売だ」と教えられた。「料理人をアーティストのように思っていた節があった。この言葉で我に返った」。
フランスでの修業時代、緊張感のある調理場で仕事の面白さを見出した。独立を視野に入れて帰国するものの、半年後には食品系企業に就職する。
「音羽シェフは帰国後『中村屋』に入り、経営のノウハウを習得したと聞きました。僕も同じ感覚でした」
顧客の需要探し、企業のビジネスモデル構築などは後々、廣瀬さんを大いに助ける武器となった。
独立にあたって廣瀬さんは「アバ(内臓)フレンチ」をコンセプトにした。新しいようで、クラシックなフランスの調理法が生かせる。手間はかかるが、わかる人は「技」を見てくれるという算段だ。
自腹で行ける価格設定、女性一人でも入りやすい雰囲気、客やスタッフの意思を掴みやすいカウンター、毎日来ても飽きないメニューの豊富さ、手の温かみを感じられる料理、BGM……。店づくりには修業先での経験とマーケティングの手法が生かされている。黒板メニューにも工夫を凝らす。わかりやすい表記を意識しつつ、「アバジュレ」「豚足バクダン」という遊び心あるネーミングも。「これ何ですか?」の一言が、コミュニケーションの端緒となる。
オープンは震災の3日後。初日から3週間、連日満席だったという。自粛ムードで他の飲食店が休む中、タツミは中目黒住民の胃袋を満たし続けたのだ。
text by Reiko Kakimoto / photographs by Kouichi Takizawa
ビストロ・タツミ 東京都/中目黒 ビストロ・タツミのページを見る
住所 | 東京都目黒区上目黒2-42-12 スカイヒルズ中目黒 1F |
---|---|
電話番号 | 03-5734-1675 |
営業時間 | 18:00〜翌2:00 |
定休日 | 日曜休 |
カード | 可 |
座席 | 全15席(うちカウンター7席) |
タバコ | 禁煙 |
アクセス | 東急線、東京メトロ中目黒駅より徒歩7分 |
URL | http://www.hr-tatsumi.com |
備考 | 前菜400円~、内蔵料理900円~、メイン1600円~、パスタ980円~、おまかせシェフコース4000円~ (税込・サ別) 【WINE】 グラス白赤各2種600円~、ボトル3500円~ |
- 「2011年07月モツに魅了される新世代シェフ」 掲載
- 「2012年03月手仕事が光る店ガイド」 掲載
- 「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
- バックナンバーはこちら