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PEOPLE / シェフ名鑑(アーカイブ)

「料理を前進させる」

生江史伸/Shinobu Namae

レフェルヴェソンス/L'Effervescence

2015.05.28

生江史伸
photographs by Hiroaki Ishii

1973年2月16日生 / 神奈川県出身 / A型
慶応大学卒業後、「アクアパッツァ」で主にフロアとして働く。フュージョン系のレストランを経て、03年「ミッシェル・ブラス トーヤ ジャポン」で研鑽を積む。途中、ライヨールの本店で研修。05年、スーシェフに。08年、英国ロンドン近郊の「ザ・ファットダック」でスーシェフおよびペストリー担当。09年帰国。10年9月のオープン時より現職。

FAVORITE
音楽 : 優れたドラムプレーヤーのいるバンド(ジャズ〜ロック)
本 : 『On Food &Cooking』(Harold McGee)
映画 : 『ユージュアル・サスペクツ』

MY LEGEND
ハロルド・マギー
米国のフードジャーナリスト。1951年生まれ、サンフランシスコ近郊在住。食品科学と調理に関する著作多数。『On Food and Cooking』(スクリブナー賞受賞)の他、New York Timesの連載をまとめた『The Curious Cook』など。

フランソワ・クープラン
フランスの植物学、野草料理研究家であり、パリ市国立自然史博物館認定科学博士、フランス・バレーム市ウルジェアス食用・薬用植物研修センター所長、College Pratique d’Ethnobotanique 創立者。長年、世界中の土地の植物・料理・栄養について取材研究を続けている。『食べられる野草のすばらしい風味と栄養』(フレグランスジャーナル社)など著作多数。

伏木亨
龍谷大学農学部教授。1953年生まれ。京都大学農学部食品工学科を卒業後、同大学院を経て、94年より同大学院農学研究科教授。2015年4月より現職。専門は食品・栄養化学。『人間は脳で食べている』(筑摩書房)、『コクと旨味の秘密』(新潮社)など著書多数。


北海道白糠エゾ鹿鞍下肉のロティとそのジュ 野生のコショウとはこべら

北海道白糠エゾ鹿鞍下肉のロティとそのジュ 野生のコショウとはこべら

夜のコースの一品

鹿はフライパンで香ばしさを付けた後、オーブンと温蔵庫を駆使してロースト。潤いを湛えた身にやんわり歯が食い込む。白ニンジンのピュレ、芽キャベツのソテー、アジャン産プラムとゴマ、シナモンのアセゾネを添えて。害獣駆除の受け皿としても「鹿のおいしさを伝えたい」。

丸ごと火入れしたカブ、パセリのエミュルション、生ハムとブリオッシュ

丸ごと火入れしたカブ、パセリのエミュルション、生ハムとブリオッシュ

昼夜コースの一品

カブは低温で4時間火入れ後、ノワゼットバターで香ばしく焼き上げる。甘味、苦味、青味…カブが内に抱え込んでいる様々な味わいが増幅され、口中で一気に広がる。


必要とされるためのキーワード
食の世界に“流れ”を作る。

必要とされるためのキーワード 食の世界に“流れ”を作る。

生江史伸シェフは食の世界に水の流れのイメージをあてはめる。「とどまればよどんでしまう。絶えず動いていることで活性化され、リフレッシュしていく」――その流れを引き起こすのが、レストランであり、料理人ではないか?
「たかだか数十席というスケールだけれど、その分、高い調理技術とクオリティを優先させられる。流通にのりにくい食材を使うなど、レストランだからこそ価値をクローズアップできることは少なくない」。フランスの昔野菜復活のムーブメント Legumes oublies(レギューム・ウブリエ)や、北欧ガストロノミーにしてもそうだ、シェフたちがレストランを拠点として都市に働きかけたから社会は動いた。「マスにはない鋭い力で深く社会に斬り込める」。
「レストランをインタラクティブな場に」と考えてきた。お客様にとってはレストランの原義である回復の場として機能することはもちろん、新しい調理技術を異ジャンルの職人に伝授したり、調理の慣習を科学的に捉え直して伝えることも自分の役割と心得る。



◎レフェルヴェソンス
東京都港区西麻布2-26-4
03-5766-9500
12:00~13:30 LO 18:00~20:30 LO
定休日 不定休

カード 可
座席 全50席(うち個室10席)
タバコ 禁煙(ラウンジは可)

東京メトロ表参道駅より徒歩12分
http://www.leffervescence.jp

昼、夜ともおまかせコースのみ 昼5000円、7800円 夜16200円(税込・サ料別)

(『料理通信』2012年5月号取材時点)

「2011年10月クリエイション魂」 掲載
「2012年05月100人のシェフが考える「必要とされる店」になるために」 掲載
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