村瀬美幸さん(むらせ・みゆき)フロマジェ
第2話「洞窟でチーズの虜になった」(全5話)
2016.11.01
習い事三昧の日々
チーズより先にのめり込んだのは、ワインでした。
幼い頃からスチュワーデスに憧れ、高校時代はアメリカ、ウィスコンシン州に留学。短大卒業後にその夢を叶えました。
何日間かのフライトの後にまとまった休みを取るという不規則な勤務体系を有効活用し、お稽古事三昧の日々を送ります。
おもてなし料理に江戸懐石、お菓子、生け花、フラワーアレンジメント、茶道、シュガークラフト、テーブルセッティング。トールペインティングやカリグラフィ、エスニック料理をかじったことも。
「もともと、人に何かを習うのが好きでした。
料理教室は先生の自宅で行われていて、いつか自分もこんなサロンを開きたいと漠然と思ったりもしましたね」。
幼い頃からスチュワーデスに憧れ、高校時代はアメリカ、ウィスコンシン州に留学。短大卒業後にその夢を叶えました。
何日間かのフライトの後にまとまった休みを取るという不規則な勤務体系を有効活用し、お稽古事三昧の日々を送ります。
おもてなし料理に江戸懐石、お菓子、生け花、フラワーアレンジメント、茶道、シュガークラフト、テーブルセッティング。トールペインティングやカリグラフィ、エスニック料理をかじったことも。
「もともと、人に何かを習うのが好きでした。
料理教室は先生の自宅で行われていて、いつか自分もこんなサロンを開きたいと漠然と思ったりもしましたね」。
トンカツ弁当とワイン
時代はバブルに沸き、空前のワインブーム。ファーストクラスやビジネスクラスでは、グラスをずらりと並べて、リストにあるワインを片っ端からテイスティングする乗客もいたほどです。
村瀬さんも食への興味から、社内のワインクラブのワイン講座に通い始めます。
講師は、まだ世界チャンピオンになる前の田崎真也さんでした。
「毎回お弁当が出るんです。それにワインを合わせていく。
たとえば、トンカツ弁当にカリフォルニアワイン。ソースで食べるならジンファンデル、塩とレモンならフュメブラン……。
最初は『えっ?!』って思うんです。でも試してみると納得する」。
「20年も前の話です。
今でこそ、和食にワインの組み合わせも一般的になりつつありますが、当時そんなことを言う人は誰もいませんでした。
ワインって、面白いなと」。
村瀬さんも食への興味から、社内のワインクラブのワイン講座に通い始めます。
講師は、まだ世界チャンピオンになる前の田崎真也さんでした。
「毎回お弁当が出るんです。それにワインを合わせていく。
たとえば、トンカツ弁当にカリフォルニアワイン。ソースで食べるならジンファンデル、塩とレモンならフュメブラン……。
最初は『えっ?!』って思うんです。でも試してみると納得する」。
「20年も前の話です。
今でこそ、和食にワインの組み合わせも一般的になりつつありますが、当時そんなことを言う人は誰もいませんでした。
ワインって、面白いなと」。
先陣切って資格を取得
1993年、客室乗務員からソムリエ第1号が誕生。
村瀬さんが資格を得たのは、その翌々年です。まだ社内でも珍しく、バッジをつけてサービスしていると、香りのコメントを求められることもありました。
「資格を取ってからが勉強」と、98年からは、愛宕山に移転(97年に銀座で開設)した田崎さんのワインサロンにも通い始めます。
2000年、11年勤めた会社を早期退職。
当時シュガークラフトに魅了されていた村瀬さんは、自宅でサロンを開くことを真剣に考えていました(結局、シュガークラフトへの情熱は、次第にワインの前に霞んでしまうのですが)。
一方、ワインサロンへは週3日以上通い、ワインの世界をさらに深めていきます。
村瀬さんが資格を得たのは、その翌々年です。まだ社内でも珍しく、バッジをつけてサービスしていると、香りのコメントを求められることもありました。
「資格を取ってからが勉強」と、98年からは、愛宕山に移転(97年に銀座で開設)した田崎さんのワインサロンにも通い始めます。
2000年、11年勤めた会社を早期退職。
当時シュガークラフトに魅了されていた村瀬さんは、自宅でサロンを開くことを真剣に考えていました(結局、シュガークラフトへの情熱は、次第にワインの前に霞んでしまうのですが)。
一方、ワインサロンへは週3日以上通い、ワインの世界をさらに深めていきます。
きっかけは軽いノリ
チーズプロフェッショナル協会が設立されるという噂が聞こえてきたのは、ちょうどその頃。
「どうやら資格が取れるらしい」、「1年目なら簡単じゃないの?」。
ワイン仲間との軽いノリで受験を決めました。
この「ノリ」が、世界チャンピオンへの第一歩となるのですから、人生とは全くわからないものです。
料理教室でチーズ料理のおいしさにはまり、仕事でチーズサービスも経験。しかし体系的に学んだことはなく、知識もほとんどありませんでした。
早速、ワインサロンのチーズクラスで勉強を始めます。
そして半年後、見事にパス。
「どうやら資格が取れるらしい」、「1年目なら簡単じゃないの?」。
ワイン仲間との軽いノリで受験を決めました。
この「ノリ」が、世界チャンピオンへの第一歩となるのですから、人生とは全くわからないものです。
料理教室でチーズ料理のおいしさにはまり、仕事でチーズサービスも経験。しかし体系的に学んだことはなく、知識もほとんどありませんでした。
早速、ワインサロンのチーズクラスで勉強を始めます。
そして半年後、見事にパス。
ここに菌がいる
合格祝いに、南フランスのロックフォール村を訪ねることにしました。
「ロックフォールは、2000年以上前から洞窟で作られてきた、フランスで最も歴史のあるチーズなんです。
7割のシェアを誇る最大手も、工場生産でありながら、未だに洞窟の中で熟成している。
そのひんやりとした空気、湿気……。ロマンを感じました。
洞窟に棲みついている青カビ菌を使って作るのですが、洞窟によって青カビの色が違ったり、味わいにも違いが出る。
ここに菌がいるんだって、感動を覚えました」。
いよいよチーズの虜になった村瀬さん。
「ワイン以上に自然に委ねられている部分が大きいように思います。
地方が変わると家畜も製法も変わる。
形も味わいもバリエイションに富んでいて、その違いがワインほど繊細なものではなく、わかりやすいのも魅力だと思います。
そして、これはあまり知られていませんが、チーズには旬もある。
果物と合わせたり、料理に使ったり、組み合わせ次第で楽しみ方は無限に広がります」。
「ロックフォールは、2000年以上前から洞窟で作られてきた、フランスで最も歴史のあるチーズなんです。
7割のシェアを誇る最大手も、工場生産でありながら、未だに洞窟の中で熟成している。
そのひんやりとした空気、湿気……。ロマンを感じました。
洞窟に棲みついている青カビ菌を使って作るのですが、洞窟によって青カビの色が違ったり、味わいにも違いが出る。
ここに菌がいるんだって、感動を覚えました」。
いよいよチーズの虜になった村瀬さん。
「ワイン以上に自然に委ねられている部分が大きいように思います。
地方が変わると家畜も製法も変わる。
形も味わいもバリエイションに富んでいて、その違いがワインほど繊細なものではなく、わかりやすいのも魅力だと思います。
そして、これはあまり知られていませんが、チーズには旬もある。
果物と合わせたり、料理に使ったり、組み合わせ次第で楽しみ方は無限に広がります」。
人生の転換点
片やワインの勉強は、中級から上級へ。
1年が経った頃、講師にならないかと、田崎さんから直々にスカウトされます。
「看板が大きかったので、正直迷いました。でもこれを断ったら次はないだろうと」。
教わる側から、教える側へ。
人生が大きく動き始めました。
1年が経った頃、講師にならないかと、田崎さんから直々にスカウトされます。
「看板が大きかったので、正直迷いました。でもこれを断ったら次はないだろうと」。
教わる側から、教える側へ。
人生が大きく動き始めました。