85歳。「お客とようだい(余計なこと)言うておるのが、元気の秘訣やろう」
生涯現役|高知市・横内「屋台竜馬」竹崎敏彦
2026.02.12
text by Kasumi Matsuoka / photographs by Taisuke Tsurui
連載:生涯現役シリーズ
世間では定年と言われる年齢をゆうに過ぎても元気に仕事を続けている食のプロたちを、全国に追うシリーズ「生涯現役」。超高齢社会を豊かに生きるためのヒントを探ります。
竹崎敏彦(たけざき・としひこ)
御歳85歳 1941年(昭和16年)2月3日生まれ
高知県高知市生まれ。33歳で弟から屋台「雪ん子」を引き継ぎ、4年ほど営業。子どもが生まれたのを機に、解体屋に転職も、40代半ばで再び屋台の道に復帰。1988年、「屋台竜馬」創業。好きなインスタントラーメンは、マルちゃん製麺の塩味。
(写真)冬場はアメリカの老舗ウールブランド「ペンドルトン」のチェックシャツが仕事着の定番。30年選手とのこと。ネットに疎い主人に代わり、学生客らがGoogle Mapのページを作ってくれたり、新聞に出れば常連客がラミネート加工して持ってきてくれたり。「お客に助けられちゅう」と竹崎さん。
麺を食べるには、
スープは濃ゆいほうがうまい。
屋台は湯が限られるのもあって、細い麺が何かと使いやすい。うちの麺は、打って一晩寝かせたものを専門の職人から買いゆう。麺は一定時間寝かせた方が、滑らかでコシがある麺になるがよ。さらに麺を食べるには、スープは濃ゆいほうがうまい。それでラーメンのスープは、濃いめの味付けにしちゅうけど、みんな「ちょうどえい」と喜んで食べてくれる。
うちで一番よく出るのは、しょうゆ味のラーメン。屋台のラーメンは、設備の関係で丼を温められん分、温度管理が難しい。その点、しょうゆラーメンは、かえしに熱々の湯をかけて、熱い状態で出せる。みそラーメンは、冷蔵庫から出したみそを、丼に入れて湯で溶く分、どうしてもスープが少し冷めて緩むがよ。それでもすりおろしたニンニクがどっさり入ったみそラーメンを気に入ってくれる人も多いよ。
しょうゆラーメンのかえしは、野菜、果物、鶏ガラでとったスープにしょうゆを入れて作る。仕込みは4時間以上はかかるき、休みの日にまとめて。一度に20リットルぐらい仕込むよ。
もうすぐ店を始めて40年になるけど、ラーメンは一度も値上げしてない。ビールは一昨年に初めて50円値上げさせてもろうた。正直苦しいけんど、わしのポリシーというか、お客さんのためにもなるべく値上げせずにおりたいがよ。
屋台を始めたのは、33歳の時。弟から引き継いだのが最初で、徐々に自分の味にアレンジしていった。途中、子どもが生まれたのを機に、昼間の仕事をしようと屋台を離れた時期も8年ぐらいあったけど、やっぱり屋台に戻ったね。ありがたいことに、年間6日ぐらいの休みしかないぐらい忙しい時期も長かった。夕方から朝の4〜5時まで、よう働いたね。今は週2日が休みで、うち1日は仕込みがあるき、実質週1日の休みやけ
ど、昔と比べたらなんてことはない。
屋台は夜の仕事やき、どうしても夜型の生活になる。店がある日は、夕方4時に昼寝から起床し、風呂に入って、5時に店に到着。準備をして6時に開店。日によるけど、大体0時頃まで店を開けちゅう。コロナ以降、高知の人も飲み方が変わって、夜中0時を過ぎて外で飲む人が少なくなったね。
閉店したら、片付けして夜中1〜2時に帰宅。帰って夜中に食べるのが朝ごはん。牛乳400mlぐらいをレンジで温めて、4枚切りの食パンを焼いてマーガリンを塗って食べるのが定番。その後、映画やテレビを観てゆっくりしてから寝る。それでも朝7時ぐらいには目が覚めるき、午後1〜2時ぐらいから4時頃までを昼寝の時間と決めちゅう。
店にはおにぎりを握って持って行って、合間につまんだり、昼寝前に女房が作ったご飯を食べたり。年齢を考えて「肉を食べないかん」と言われるけど、食べたいと思わんなった。昔はお酒も随分飲んだけど、今はもう飲まん。粗食が一番やね。
いつまで続けたいか? そりゃ元気なうちは続けたいね。去年、5年に一度の営業許可の切り替えに行ってきて、89歳までやれることになっちゅう。女房からは「できるかね」と言われるけど、お客とようだい(余計なこと)を言うておるのが楽しいし、元気の秘訣やないかな。
毎日続けているもの
「ラーメン」
◎屋台竜馬
高知県高知市横内153-27
☎090-3785-9291
18:00~0:00頃 水、木曜休
JR高知商業前駅より徒歩15分
■ご意見・情報はメールで(info@r-tsushin.com)
(料理通信)