パリパリ&ザクザクのダブル食感「金目鯛のうろこ焼きカツレツ」
ブルーフード・レシピ
2024.05.09
photographs by Sai Santo
連載:ブルーフード・レシピ
海に囲まれ、豊かな漁場を有する日本には魚食文化が根付いています。魚を食べるなかで培われ、受け継がれてきた知恵や知識を継承し、上手に食べることは、多様性豊かな海の保全につながります。日本周辺でとれる水産物(ブルーフード*)の魅力を再発見するレシピを人気店のシェフに教わります。今回はパリパリザクザクのダブル食感が楽しめる新しい金目鯛のウロコ焼きです。
*ブルーフードとは、淡水・海洋環境に由来する植物、動物、藻類など水生生物性食品のこと。食料危機や気候変動などの課題に対応し、健康的で持続可能な食料システム構築への貢献が期待されている。
**日本の漁獲量ランキング(農林水産省:令和3年漁業・養殖業生産統計)
1位マイワシ(21.1%)、2位サバ類(13.7%)、3位ホタテガイ(殻付き)(11.0%)、4位カツオ(7.6%)、5位スケトウダラ(5.4%)、6位カタクチイワシ(3.7%)、7位ブリ類(2.9%)、8位マアジ(2.8%)、9位マダラ(1.8%)、10位サケ類(1.8%)。
目次
教えてくれた人:「サプライ」小林隆一シェフ
半身を丸ごとウロコ焼きに
ウロコ焼きといえば切り身で作るのが一般的だと思いますが、うちではキンメダイを尾頭付きで、半身丸ごと使います。キンメダイの平たい半身が、イタリアのカツレツ「コトレッタ」みたいに見えたので、身側に衣を付けて揚げ焼きにしてみたんです。身側はパン粉衣でザクザク、皮側はウロコでバリバリのダブル食感で、中のふっくらした身が引き立ちます。
ウロコ焼きのコツは、ウロコを指でしっかり立たせておくことと、油をしっかり熱しておくこと。先にウロコ側を焼いてから、身側はバターを加えた油で揚げ焼きにし、香り豊かに仕上げます。頭は飾りですが、火が通りづらいのでスプーンで油をかけながら焼くといいですよ。
ソースは残った骨で取る魚だしとワインを煮詰めて、今日はニラバターを入れました。魚の旨味の中にニラが香って、何とも言えないおいしさです。
「金目鯛のうろこ焼きカツレツ」材料と作り方
[材料](1皿分)
キンメダイ・・・1/2尾
塩、コショウ・・・各少量
薄力粉、卵、パン粉(極細挽き)、サラダ油・・・各適量
バター・・・10g
〈ソース〉
白ワイン・・・30g
白ワインビネガー・・・10g
魚だし*・・・60g
アーリーレッド(みじん切り)、ケイパー・・・各5g
ニラバター**・・・大さじ1/2
*魚の骨とアラ4~5尾分、くず野菜適量を鍋に入れ、被る程度の水を入れて中火にかける。ボコボコ沸いている状態で水分が半分になるまで10分程煮詰め、漉す。
**ニラをフードプロセッサーで撹拌し、細かくなったら常温のバター(各適量)をちぎって加え、さらに撹拌する。ラップで包んで棒状にまとめ、冷蔵庫で冷やす。
[バリバリ&ザクザク食感のコツ]
身側はパン粉衣、皮面はウロコ焼き
金目鯛の半身をイタリアの揚げ焼きカツレツ「コトレッタ」に見立て、パン粉衣をつける。ただし皮面はウロコ焼きにして「ザクザク」「バリバリ」のW食感に。
ウロコを立たせて揚げる
揚げ焼きにする前にウロコを指でつまむようにして立たせておくのがコツ 。表面が乾燥しているとウロコが立ちにくいので、少し濡らしてから立たせるとよい。
[作り方]
[1]2枚におろす
キンメダイは内臓を抜き、頭を取らずにおろす。頭も背中側から半分に割って2枚に分ける。
POINT: 硬い下あごはキッチンばさみで切るとよい。
[2]骨を除く
腹骨をそぎ落とし、ヒレをキッチンばさみで切り落として大きな骨を骨抜きで除く。身側に塩、コショウを振る。
[3]衣をつける
身側だけに薄力粉、卵、パン粉を順に付け、手で軽く押さえる。
[4]ソースをつくる
小鍋に白ワインとビネガーを煮たて、酸味が飛んだら魚だしを加えとろみがつくまで煮詰める。アーリーレッドとケイパー、ニラバターを加えて火を止める。
[5]揚げる
鉄のフライパンを熱し、サラダ油を深さ2~3㎜注ぐ。煙が上がったらキンメダイをウロコを下にして入れ、弱火にする。時々揺すり、頭に油をかけながら揚げる。
[6]バターで揚げ焼き
裏返し、油にバターを加えてきつね色になるまで揚げ焼きに。油を切り、ソースを引いた皿に盛る。
[完成]
東京・幡ヶ谷「サプライ」の店舗情報
◎サプライ
東京都渋谷区幡ヶ谷1-5-6
☎なし(予約はInstagramまたはFBのメッセージで)
15:00~23:00
水曜休
京王線幡ヶ谷駅より徒歩4分
Instagram:@supply_hatagaya
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2020年4月号掲載)
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