アラの旨味をソースに凝縮「アイナメのブイヤベース」
ブルーフード・レシピ:「パーマ」藤田善平さん
2026.02.12
photographs by Ikuko Soda
連載:ブルーフード・レシピ
海に囲まれ、豊かな漁場を有する日本には魚食文化が根付いています。魚を食べるなかで培われ、受け継がれてきた知恵や知識を継承し、上手に食べることは、多様性豊かな海の保全につながります。日本周辺でとれる水産物(ブルーフード*)の魅力を再発見するレシピを人気店のシェフに教わります。今回は、ソースにアラの濃厚な旨味をぎゅっと凝縮させた「アイナメのブイヤベース」です。
*ブルーフードとは、淡水・海洋環境に由来する植物、動物、藻類など水生生物性食品のこと。食料危機や気候変動などの課題に対応し、健康的で持続可能な食料システム構築への貢献が期待されている。
**日本の海面漁業の漁獲量ランキング(漁獲量/前年比)【農林水産省:令和5年漁業・養殖業生産統計】
全体(282万3,400t/-4.3%):1位マイワシ(68万900t/+6.1%)、2位ホタテガイ(33万600t/-2.8%)、3位サバ類(26万1,100t/-18.3%)、4位カツオ(15万2,600t/-20.0%)、5位スケトウダラ(12万2,900t/-23.4%)、6位カタクチイワシ(11万4,000t/-7.3%)、7位マアジ(9万2,000t/-7.0%)、8位ブリ類(8万1,000t/-12.9%)、9位サケ類(6万t/-31.8%)、10位マダラ(5万4,000t/-6.9%)
目次
教えてくれた人:香川・直島「パーマ」藤田善平さん
ワインショップ「エノテカ」が経営するレストランで3年勤務後、フレンチ、ワインバーなどを経て、2015年、東京・代々木上原に「アトリエフジタ」を開店。23年に店を閉じ、翌年に香川・直島でレストラン「パーマ」を開店。瀬戸内の野菜や魚介を使った料理を提供。
焦がす程に焼いた魚からスープを漉す
アイナメ、メバル、目高カレイなど、瀬戸内では、小ぶりな魚がたくさんとれます。この大きさは、お1人様用のブイヤベースにするのに丁度いい。季節ごとに魚は変わりますが、白身魚と貝とトマトで、シンプルに組み立てます。
表向きは魚が主役ですが、ブイヤベースの決め手=陰の主役は、もちろん魚のアラで作るスープです。どのくらい魚の旨味を引き出して丁寧に漉すか、スープの味わいはそこにかかっていると思います。アラはタイをベースに1回の仕込みで3㎏ほど。身にしっかり焼き目を付け、木べらでざくざくほぐしながら炒めます。魚は焦げ付くくらいで構いません。鍋底からくっついた身をこそげとりながら、旨味を引き出していくイメージです。しっかり色付いたらトマト缶と水を加えて30分ほど火にかけます。
粗熱が取れたら、ここからが勝負。シノワと麺棒を使って、丁寧に漉していきます。ここで適度に漉せばシャバシャバあっさりしたスープに、搾りカスがカラカラになるまで搾りだせば、濃厚なスープに。体力も時間も必要ですが、僕は比較的しっかり漉す方だと思います。
対して、仕上げの味付けはシンプルに。メインの魚を焼いてスープと合わせ、トマトとアサリを加えて火を通します。最後にスープは少し煮詰めて、ソースのように魚に回しかけます。コクと深みを湛えながら、ぺろりと食べられるようなさらりとした口当たりを目指しています。
「アイナエのブイヤベース」の材料と作り方
[材料]
<スープ>約3L弱分
魚のアラ(タイ、ヒラメ、カワハギなどの白身魚)・・・3.1㎏
タマネギ(皮を剥き薄切り)・・・1/2 個
ニンジン(皮を剥き薄切り)・・・1/2 本
セロリ(茎、葉ともに薄切り)・・・80g
ニンニク(皮ごと潰す)・・・大2片
E.V. オリーブ油・・・適量
塩・・・ひとつまみ
白ワイン・・・300ml
ブランデー・・・30ml
トマト缶(ホール)・・・400g
水・・・適量
A
タイム・・・4本
フェンネルシード・・・5g
白コショウ(ホール)・・・5g
白ワイン・・・300ml
ブランデー・・・30ml
トマト缶(ホール)・・・400g
水・・・適量
<具材>
アイナメ・・・1尾
ニンニク(皮を剥き潰す)・・・1片
ミニトマト・・・4個
アサリ・・・30g
タイム・・・1本
塩、コショウ、E.V. オリーブ油・・・各適量
[作り方]
[1]下ごしらえをする
魚のアラはきれいに水洗いする。内臓を取り出してきれいに水洗いし、斜めに切り込みを入れておく。
[2]スープの香味野菜を炒める
鍋にE.V. オリーブ油とニンニクを入れて弱火にかけ、ニンニクが色付いたら、香味野菜と塩を加え炒める。
[2]スパイス、ハーブを加える
野菜がしんなりしてきたら、Aを加え炒める。
[3]魚のアラを加える
魚のアラを加え、時々全体に火が回るように混ぜ、ほぐしながら魚に焼き目を付ける。
[4]アラを炒める
身を崩しながら、約1時間炒める。鍋底からチリチリ音がしてきたら、酒類を注ぎアルコールを飛ばす。【POINT】少し焦げ目が付くくらいまで、しっかり炒める。
[5]トマト缶、水を加えて煮る
トマト缶を加える。さらに水をひたひたになるまで加え、時々アクを取りながら30分中火にかける。【POINT】スープのアクは、魚の旨味でもある。全て取りきるのではなく、表面の白い部分を中心にすくい、浮いた脂部分は残しておく。
[6]シノワで漉す
火を止めて粗熱が取れたら、大きな骨を取り出し、シノワでしっかり漉す。【POINT】魚の旨味を余すことなくスープに生かすため、麺棒で押し、身の水分が無くなるまで、しっかりと漉す。シノワから搾り出すイメージで。
[7]メインの魚を焼く
フライパンにE.V.オリーブ油とニンニクを入れて温め、香りが出たらニンニクを取り出す。魚の両面に小麦粉(分量外)を薄くはたき、両面を焼く。
[8]スープ180mlを注ぐ
スープとトマト、貝、タイムを加え、蓋をして5分弱蒸し焼きにする。貝は殻開いたら一度取り出す。
[9]調味し、スープを煮詰める
魚に火が通ったら貝を戻し、E.V. オリーブ油、塩、コショウで調味する。魚を取り出し、ソース状になるまでスープを煮詰める。
(雑誌『料理通信』2016年7月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
香川・直島「パーマ」の店舗情報
◎パーマ
香川県香川郡直島町宮ノ浦2310-42
☎ 087-813-4067
18:00~21:00
金曜、日曜、月曜休
宮ノ浦港 高速船/旅客船乗り場より徒歩5分
Instagram:@perma_naoshima
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
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