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RECIPE

コーヒーに寄り添うキレの良い甘味「あん最中」

コーヒーショップのレシピ

2023.10.12

コーヒーに寄り添うキレの良い甘味「あん最中」

photographs by Kiyu Kobayashi

連載:コーヒーショップのレシピ

一杯のコーヒーを中心に、人と情報が集まるコミュニティの拠点として、私たちの暮らしに欠かせないコーヒーショップ。時には産直野菜の受け渡し所になるなど、社会に開けた場として様々な機能をもつようになりました。そこで提供されるコーヒーやスイーツにも、店主の個性が色濃く反映されています。コーヒーショップで何ができるのか?それぞれの取り組みとレシピを紹介します。

教えてくれた人
東京・中目黒「オニバスコーヒー」坂尾篤史さん

坂尾篤史さん

オーストラリアでカフェの魅力に取りつかれ、約1年のバックパックを経て帰国後、バリスタ世界チャンピオンの店でコーヒーの修業。焙煎やバリスタトレーニングの経験を積み、2012年に独立。奥沢に「ONIBUS COFFEE」をオープン。現在は都内に6店舗、22年に那須、23年にタイ、台湾に出店。

〈 コーヒーショップの取り組み 〉
「コーヒーで、街と暮らしを豊かにする」をミッションに掲げ、環境への配慮をもって、感動する一杯と心に残るサービスを提供する。2019年からコーヒーかすをコンポスト化する取り組みをスタート。自由が丘店では、農家と消費者を繋ぐ取り組み「CSA LOOP」(文末にリンクあり)に参加し、毎月一回野菜の受け渡し&販売場所となり、店に設けたコンポストは農家に託して循環させている。


塩気で甘味の輪郭を引き締める

コーヒーに和菓子。最近注目されている組み合わせが楽しめる「オニバスコーヒー」では以前、時々ロースターの脇でオーナー・坂尾篤史さんがストウブの鍋でポコポコと餡を炊いている光景に出合った。薄皮にたっぷり餡を挟んで販売する最中は、中目黒店限定(現在は休止)。「和菓子は洋菓子のようにタンパク質成分が入らないシンプルな素材が魅力。味が捉えやすく、どんなタイプのコーヒーとも喧嘩せずにすんなりと合います」

最初は市販の小豆を使っていたが、次第に素材重視でオーガニックなものをと考え、自然栽培の野菜を中心に扱う「青果ミコト屋」から十勝小豆を仕入れて仕込むように。小豆は茹でこぼしながら約1時間半。とろりと柔らかくなったら、やさしい甘さのきび砂糖を加えて軽く煮る。仕上げの塩は少し多め。塩気で甘味の輪郭を引き締め、コーヒーと合わせてもぼやけない味わいに。

「あん最中」材料と作り方

[材料](約40個分)
小豆(十勝産)・・・500g
きび砂糖・・・500g
塩・・・6g
寒天パウダー・・・1g
最中の皮・・・40組

<材料のポイント>

シンプルなお菓子だからこそ、素材は厳選。餡子の小豆は「青果ミコト屋」から小粒で艶々した十勝産「エリモショウズ」を。

シンプルなお菓子だからこそ、素材は厳選。餡子の小豆は「青果ミコト屋」から小粒で艶々した十勝産「エリモショウズ」を。

[作り方]
[1]小豆を茹でる

小豆を茹でる

鍋に小豆と、小豆の3倍量の水を入れて強火にかけ、約30分茹でる。

[2]水を替える

水を替える

小豆が柔らかくなったら火から外し、流水で流しながら水を入れ替える。

[3]炊く①

炊く①

強火にかけ、1時間ほど炊く。焦げ付かないよう、時々スプーンで混ぜながら様子を見る。

[4]炊く②

炊く②

小豆がとろとろになってきた状態。

[5]砂糖を加える

砂糖を加える

きび砂糖を加えて10分ほど煮る。

[6]塩を加える

塩を加える

ぽこぽこ泡が立ってきたら、塩を加えて全体を混ぜる。

[7]寒天を加える

寒天を加える

寒天パウダーを加えて全体を混ぜ、粘度が出てきたら火を止めて粗熱を取る。

[8]皮で餡を挟む

皮で餡を挟む

最中の皮にを30gのせ、もう片方の皮で挟む。

[9]完成

仄かな塩気を利かせて切れの良い甘味に。食べる直前に餡を挟み、皮はパリッと小気味よい食感に。

仄かな塩気を利かせて切れの良い甘味に。食べる直前に餡を挟み、皮はパリッと小気味よい食感に。


<おすすめのコーヒー>
GUATEMALA / Cipresales, La Bolsa ¥1,247(税込)/100g

コーヒーGUATEMALA

農園は雄大な自然を感じさせる場所にあり、そこで作り出すコーヒーは透明感のある柑橘系のニュアンスが特徴。


ONIBUS COFFEE

◎ONIBUS COFFEE Nakameguro
東京都目黒区上目黒2-14-1
☎ 03-6412-8683
9:00~18:00 
不定休
東急線、東京メトロ中目黒駅より徒歩1分
https://onibuscoffee.com/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2017年2月号掲載)

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