品種やブレンド、炭酸の強さもお好みで。ジュースで仕込む自家製「シードル」
【DIYレシピ】
2026.05.04
photographs by Hiroaki Ishii
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、リンゴジュースや果汁で作る「シードル」を紹介します。作り方を少し変えるだけで、炭酸の強さやアルコール度数、風味などをカスタマイズできます。
目次
- ■教えてくれた人:自家醸造専門店「アドバンストブルーイング」代表 櫻井なつきさん
- ■ジュースとイーストさえあれば作れる
- ■自家製シードルのポイント
- ■「リンゴジュースで作るシードル(微発泡/スパークリング/無炭酸)」材料と作り方
- ■応用編:リンゴの果実で作るシードル(スパークリングタイプ)
教えてくれた人:自家醸造専門店「アドバンストブルーイング」代表 櫻井なつきさん
自家製ビールのキットや材料を販売する「アドバンストブルーイング」の櫻井なつきさん。日本ソムリエ協会ワインエキスパート。『リンゴのお酒 シードルをつくる』(農文協)、『自家醸造を楽しむ本』(農文協)、『自分でつくる最高のビール』(マイナビ出版)では、シードルから本格的ベルギービールまで、様々な材料を使った発酵飲料の作り方を紹介。
advanced-brewing.com
ジュースとイーストさえあれば作れる
リンゴを搾って発酵させたお酒、「シードル(cidre)」。フランスだけでなく欧米では、昔から庭になった食べきれないリンゴで作られ、日常的に自家製されてきた飲み物です。おいしさはもちろん、リンゴジュースとイーストがあれば、誰でも簡単に始められる気軽さも魅力。仕込み方の違いで、微発泡、スパークリング、スティル(無炭酸)のシードルを作ることができます。
最近は、国産のリンゴジュースの種類が豊富なので、ジュースを変えて味の違いも楽しめますよ。もっと本格的に作るならば、リンゴの果実で。リンゴをすりおろし、搾った果汁で作るシードルは、味わい、香り共に一段と良くなります。日本で作る場合、酸味が強い紅玉を使うと味が締まりますが、品種によって味や香りが違うので、何種類か混ぜてブレンドしてもおいしくなります。
風味に大きく影響するイースト(酵母)選びも大切です。基本はワイン用かビール用を使います。特にビール用イーストはベルギーセゾン用、サワーエール用、イングリッシュエール用などバリエーションが広く、風味の違いを楽しむことができます。
※日本では、酒類(アルコール分1度以上の飲料)を製造する場合には酒類製造免許が必要です。酒類の製造免許を受けずに酒類を製造した場合は、罰せられます。製造する場合には、アルコール分1度未満になるよう、希釈して仕込んでください。
自家製シードルのポイント
<基本の材料>
(左から)
リンゴジュース・・・濃縮還元より100%ストレートがおすすめ。
リンゴ・・・酸味のある紅玉を中心に数種ミックスするのがよい。グラニュー糖やてんさい糖、ハチミツなどで甘味をプラス。酸味が足りない時はレモン果汁を足す。酸化を防ぐ役割もある。
イースト・・・ワイン用かビール用のイーストを使う。パン用は不向き。
<基本の器具>
(左から)
さらし・・・リンゴの果実で作る時、搾る。
じょうご・・・シードルをペットボトルに移し替えるため。
発酵用容器・・・蓋付きであれば、ガラス製、陶製、ペットボトルも可。
炭酸用ペットボトル・・・スパークリングシードルを仕込む時の保存容器。
殺菌スプレー・・・雑菌が入らぬよう、除菌は念入りに。
「リンゴジュースで作るシードル(微発泡/スパークリング/無炭酸)」材料と作り方
[材料](1L分)
リンゴジュース(100%)・・・1L
ワイン用またはビール用イースト・・・0.5g
◎微発泡タイプ
[作り方]
[1]ジュースにイーストを加える
殺菌した容器にリンゴジュースを注ぎ、イーストを加える。【POINT】雑菌が入らないよう、袋から直接入れる。
[2]混ぜて置いておく
すぐ蓋をして、激しく振って混ぜる(エアレーション)。雑菌が入らないようラップをかけ、常温(20℃程度)に置く。【POINT】発酵中に容器が破裂しないよう、ラップはゆるめに。
[3]常温で発酵(2~3日)
数時間で気泡が発生する。時々味見をし、2~3日発酵させる。発酵が進むにつれ、甘味が減り、アルコール度数が増える。
⇒スパークリングタイプと、無炭酸タイプはこの後から別工程。
[4]おり引き
丁度良い甘さになったら、冷蔵庫で1~3日冷やす。増殖したイーストがおりになって沈殿する。風味、色、味が悪くなるので、よけながらグラスに注ぐ。
[5]完成
最短3日で完成。リンゴジュースの種類、発酵の条件によって状態は変わるので、何度も作って自分好みの味わいを見つけよう。
◎スパークリングタイプ
[作り方]
[1]~[3]発酵
微発泡タイプと同じ。
[4]おり引き(3~14日後)
沈殿したおりが入らないように別容器に移す。
[5]プライミング(1~2日後)
発酵が終わったシードルに砂糖(シードル1Lあたり7g)を加え混ぜ、すぐに炭酸用ペットボトルに注いで密閉する。
[6]完成(4~7週間後)
密閉されたペットボトル内で発酵するため、発生した炭酸ガスが溶け込む。
◎無炭酸(スティル)タイプ
[作り方]
[1]材料を合わせる
殺菌した容器にリンゴジュースを注ぎ、イースト、砂糖(ジュース1Lあたり50g)を混ぜ合わせる。
[2]~[3]発酵
微発泡タイプと同様。
[4]再発酵(3~14日後)
発酵が終わりかけたシードルにさらに砂糖(シードル1Lあたり15g)を加え、再発酵させてアルコール度数を上げる。この工程を何度か繰り返し、好みのアルコール度数と甘味に調整する。
[5]おり引き(1カ月後)
沈殿したおりをよけてグラスに注ぐ。
[6]完成(2~3日後)
砂糖の添加量によって、甘さとアルコール度数を調整できる。
応用編:リンゴの果実で作るシードル(スパークリングタイプ)
リンゴを丸ごと使って作る。皮や種に含まれる渋味や香りが独特の味わいを醸す。単一品種で作ってもよし、品種をブレンドしてもよし。
[材料] (1L分)
リンゴ・・・1.8㎏(果汁1L分)
ワイン用またはビール用イースト・・・0.5g
砂糖・・・7g
[作り方]
[1]リンゴは軸を取り、皮、種を残したままフードプロセッサーで細かくする。さらしで包み、果汁を搾る。
[2]殺菌した容器に1を注ぎ、イーストを加える。
[3]すぐ蓋をしてよく混ぜ、雑菌が入らないようラップをかける。時々味見をしながら、常温(20℃程度)で2~3日発酵させる。
[4]泡が出なくなったら、冷蔵庫で1~2日冷やしておりを沈める。おりを入れないように別の容器に移し替える。
[5]炭酸用ペットボトルに移し替える。砂糖を加えて溶かし、蓋をしっかり閉める。常温に約1カ月置いて完成。
(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
掲載号はこちら