卵を焼くように揚げ焼き「ヒヨコ豆のガレット」
フェーズフリーな食材レシピ:ヒヨコ豆粉
2022.06.16
photographs by Hide Urabe
乾物や漬物など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段から食事に取り入れ、使い慣れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回は、ヒヨコ豆の粉を使ったイタリアンの一品を紹介します。
常備したい食材:ヒヨコ豆粉
教えてくれたシェフ:東京・西小山「NERISA(ネリザ)」田中隆照さん
1984年生まれ、埼玉県小川町出身。「エコール 辻? 東京」を卒業後、東京・自由が丘のイタリア料理店「バッボアンジェロ」に6年間勤務。その後、イタリア・ピエモンテ州に渡りトリノのリストランテで2年半経験を積む。帰国後、学芸大学「リ・カーリカ」でシェフを務め、21年12月現店開業。趣味は蒸溜酒の収集。
水で溶いて、焼くだけ。素直で素朴な香ばしさ
地中海に面した伊・リグーリア地方では、交易が盛んだった、アラブやアフリカ方面からの食材もよく用います。ヒヨコ豆もそのひとつ。粉にして使う料理で代表的なのは水溶きヒヨコ豆粉をオーブンで焼いたファリナータや、ヒヨコ豆を湯で練り上げて揚げたパネッレでしょうか。
このガレットも、モチーフはファリナータです。オーブンで焼くのではなく、少し厚めに生地を流してたっぷりの油で卵を焼くように揚げ焼きのようにしています。手軽に、かつオーブンにない香ばしい焼き色が付くのでおすすめです。素朴な味わいなので上にのせるものは酸味や塩味が強いものが合いますね。季節の食材をいろいろ試してみてください。
「ネリザ」のヒヨコ豆のガレット 材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
ヒヨコ豆粉・・・140g
塩・・・4g
水・・・500g
サラダ油・・・適量
キノコ各種(ジロール、ポルチーニなど)・・・適量
ニンニク・・・1片
塩、バルサミコ酢・・・各適量
スペック(燻製生ハム)・・・2~3枚
E.V.オリーブ油・・・適量
ヒヨコ豆粉
グルテンフリーなので、小麦に比べてさっくり香ばしく仕上がる。甘味があり油を吸いやすく、焦げやすいので、たっぷりの油で調理を。
[作り方]
[1]ボウルに入れる
ヒヨコ豆粉と塩、水をボウルに入れる。
POINT:豆の風味を引き立たせてくれると、店では硬水を使用。
[2]よく混ぜる
写真のように、細かな泡が立つまで、泡立て器でよく混ぜ合わせる。
[3]生地を寝かせる
ラップをかけて冷蔵庫で3時間以上置く。水分が粉に浸透し、色味が濃くなり、とろみが出る。
[4]フライパンに生地を注ぐ
フライパンにたっぷりの油を強火で熱し、油がさらりと軽くなり、うっすら煙が立ったら3を注ぐ。
[5]まんべんなく焼く
しばらく動かさず、生地が7割方固まったら小刻みにフライパンを揺すってまんべんなく焼き付ける。
[6]両面を香ばしく焼く
生地の端に香ばしい焼き色が付いたらヘラで裏返し、反対側も同じように焼く。皿に移す。
[7]キノコをソテーする
キノコ類はたっぷりの油でニンニクとソテーし、塩とバルサミコ酢で調味。6の上に盛る。
[8]盛り付ける
スペックをキノコの上にふわりとかぶせ、仕上げにオリーブ油をかける。
<シェフの道具>
フライパンとヘラ
スキレットなど、厚手の鋳鉄製で、直径の小さいフライパンがおすすめ。テフロンでもうまく仕上がる。裏返す時用のヘラも用意して。
◎ネリザ
東京都品川区小山6-7-6 タクシティハイツ西小山 1F
☎03-6770-6348
17:00~23:00
不定休
東急線西小山駅より徒歩3分
Instagram:@nerisa_nishikoyama
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2018年12月号掲載)
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