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RECIPE

酒呑みの〆に、翌日も旨い「そーめんチャンプル」

フェーズフリーな食材レシピ:素麺

2023.09.07

photographs by Hide Urabe

連載:フェーズフリーな食材レシピ

乾物や漬物など常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価の高い食材は、買い物に行けない日に便利なだけでなく、備蓄食品としても優れもの。普段から使い慣れておくことで、災害時にも役立ちます。9月は防災月間。「いつも」と「もしも」をつなぐ“フェーズフリー”*な食材をおいしく活用するレシピをシェフに教わります。


常備したい食材:素麺
教えてくれたシェフ
東京・渋谷「琉球チャイニーズTAMA」玉代勢文廣(たまよせ・ふみひろ)さん

都内懐石料理店や精進料理店、居酒屋で修業後、2007年に現店をオープン。父の祖国・中国と母の出身地・沖縄の料理が掛け合わされた自身の家庭の味をベースに、独創的なメニューを提供する。化学調味料に頼らないやさしい味が評判で、ワインの品揃えも豊富。2009年、世界各国のビオワインと共に料理を提供する「BIOワイン&フード TAMA」を東京・丸の内に、2020年には、台湾小皿料理や前菜系のメニューを中心にスタンドバー形式で提供する「Ryukyu Chinese Stand TAMA」を東京・虎ノ門にオープン。

ほどよく水分を残し、しっとり仕上げる

そもそも素麺チャンプルは“焼きそば”の仲間か、“パスタ”の仲間か。前者は強火で水分を飛ばし、香ばしく仕上げるが、後者はソースに絡め、和えるだけでしっとり仕上げる。答えられる人はきっと失敗知らず。正解は、後者。麺の投入後は弱火で煮絡め、ツナや干しエビ、貝柱など魚介の旨味のスープを纏わせ、汁気を残してしっとりつややかに喉ごしよく仕上げるのが本流だ。

湯気の立つ麺をすすっていると、「本当は熱々で食べないのよ」と玉代勢文廣シェフ。「沖縄の人は酒飲みが多く、食事時間がやたら長い。大人たちはダラダラと食べ呑み続け、翌朝、残ったおかずが子供の朝食や昼食になる。素麺チャンプルもそう。でもこれが旨い」。沖縄ではむしろ常温で食べるおかずなのだ。時には弁当にも入れる。汁気は多すぎてもよいが、少なすぎるといけない。汁のない状態で加熱を続けると麺の表面が傷つき、粘りが出るからだ。これがそーめんチャンプルの失敗の第1位、“麺が団子”状態。 

元来、素麺は秒単位で茹で上げる繊細な麺。指定の茹で時間の半分で引き上げて、さっとスープを吸わせて完成が基本。短い茹で時間に短い炒め時間。家庭の味方だ。


「そーめんチャンプル」材料と作り方

[材料](1皿分)
素麺・・・100g
昆布の佃煮※・・・60g
タマネギ(3cm幅のスライス)・・・1/4個
ニンニク(みじん切り)・・・1片
菜種油・・・大さじ2
だし汁(豚と昆布)・・・50ml

※昆布150gを水で戻し、幅3mm程の細切りにする。鍋に入れ、酒360ml、みりん、醤油を各180ml、砂糖75gを加えて中火にかけ、約1時間煮詰める。

使用麺:沖縄県・アワセそば「沖錦」
沖縄で唯一作られる老舗製麺所のチャンプル専用素麺。油不使用でやや太めでコシがあり、炒めてもヘタりにくいのが特徴。

[作り方]
[1]麺を硬めに茹でる

素麺を茹でる。たっぷりの湯に素麺を入れ、混ぜながら表示時間の約半分(1分20秒程)茹でる。

[2]しっかり水切り

ザルに上げ、流水でヌメりを落とす。

[3]ニンニクを炒める

中華鍋に油とニンニクを入れ、ニンニクがほんのり色付くまで弱火で熱する。

[4]タマネギをシャッキリ炒める

火加減を中火にしてタマネギを加え、あおりながら軽く火を通す。
POINT:タマネギは透き通るまで炒めず、シャッキリした食感を残す。

【5】昆布の佃煮で味をつける


昆布の佃煮を加え、30秒程全体を炒め合わせる。

【6】だし汁を加える

だし汁を加えて混ぜ合わせ、ひと煮立ちさせる。
POINT:この段階で水分はたっぷり浸る状態。

【7】麺にだし汁を吸わせる


弱火におとして麺を加え、トングでほぐしながら全体をあおり、麺にスープを吸わせていく。

【8】水分を少し残して仕上げ

水分がすべてなくなる一歩手前で引き上げ、器に盛る。
POINT:カラカラになるまで炒めない。好みで青ネギを散らし、ゴマ油(共に分量外)を回しかける。

水分多めの仕上がりで、吞み疲れた胃にもスルスル入ってしまう。味が馴染んだ翌日もまた美味。



◎琉球チャイニーズTAMA
東京都渋谷区渋谷2-3-2
☎03-3486-5577
18:00~24:00 
日曜休(月曜日不定休)
東京メトロ表参道駅より徒歩10分
https://www.tama2007.jp/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。

(雑誌『料理通信』2017年10月号掲載)

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