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RECIPE

旬の野菜とおいしい水が決め手。ヴィーガン、グルテン・シュガーフリー弁当

プラントベースの始め方14

2022.05.26

photographs by Kouichi Takizawa

連載:プラントベースの始め方

健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。

教えてくれた人
東京・八王子「高尾食堂 あめとつち」小久保慧(こくぼ・けい)さん

大学の食物学科を卒業後、東京・目黒のヴィーガンカフェ「アサンテ・サーナ」(現閉店)や仏菓子店にて勤務後、2017年家族で高尾へ。18年4月オープン。2022年5月現在、八王子裏高尾から移転し、長野県茅野市の工場をセルフリノベーション中。夏頃オープンが目標。オンラインにて、グルテンフリー、シュガーフリー、ヴィーガン(ハチミツは使用)のクッキー缶を販売中。


制約を逆手にとった工夫を凝らした、おかず

「高尾食堂 あめとつち」小久保慧さんの弁当は、動物性食材、小麦製品、砂糖を使わない。しかしその制約を武器に、ひねりの効いた代用素材で、他にはない魅力的な味に仕立てている。

基本は旬の野菜が主役の、シンプル料理だ。例えばコロッケは地元のジャガイモが主役。だが具には肉を加えず、もちきびを混ぜて食感に変化をもたせる。さらにグルテンフリーの衣は、水溶き米粉をつなぎに、おからを炒って乾燥させ、パン粉代わりにまぶす。衣はサクッと味わい深く、中はもっちり、新食感を生み出した。

ヴィーガン食材の調理法も巧みだ。磯辺揚げは大豆臭さがない大豆ミートを選び、味が染みるよう、熱いうちに味付け。揚げ上がりが崩れないよう一度冷やして締めて、あえて水分を絞らずに肉のようにジューシーに揚げる。

野菜主体のおかずでも、味がぼやけない工夫がある。食材は火にかけたらすぐ塩を振り、味を凝縮させる。動物性の旨味がない分は、多めのゴマ油と素材の力で補う。近隣の畑で自ら収穫した野菜と、煮炊きに使う高尾山の湧き水は、小久保さんの必須アイテムだ。

おかずの味も細かな仕事で展開する。煮物は、だしを使ったり、甘辛く煮付けたりと、1つずつ味を変え、甘味はメープルシロップとみりんを使い分ける。ショウガなどの薬味は仕上げに加え、味の変化を際立てる。

「うちのお弁当は普段の料理の延長なんです」と笑う小久保さん。おかずも特に小ぶりにせず、立体的にゆったり詰める。高尾に流れる穏やかな時間は、小久保さんの弁当にも表れている。


<植物性食材だけでおいしくなるコツ>


1 素材の味を邪魔せず、大振りにカットする。
2 よい水を使い、塩をきちんと効かせる。
3 大豆ミートは水分を絞り過ぎずジューシーに仕上げる。
4 油は多めに使い、旨味を補う。


[味づくりのポイント]
複数の煮物は素材ごとに味を変える。厚揚げにはショウガを効かせ、カボチャはみりんと醤油で甘辛く、ニンジンはメープルシロップで華やかな味に。

「もちきびのコロッケ」の作り方

[材 料(約10個分)]
<タネ>
ジャガイモ(皮ごと蒸す)・・・中4個
もちきび・・・60g
タマネギ(みじん切り)・・・小1個
水・・・100ml
塩、コショウ・・・各適量
菜種油・・・小さじ2

<衣>
米粉、水溶き米粉(米粉5:水4)・・・各適量
おから(弱火で5分炒ってそのまま乾燥させる)・・・適量

[1]もちきびを炊く

水で洗ったもちきびと水、塩小さじ1を鍋に入れ、強火にかけ、沸騰したら蓋をし、とろ火にして15分炊き、10分蒸らす。

[2]タマネギを炒める
フライパンに菜種油を熱し、タマネギ、塩小さじ1弱、コショウを振り、タマネギが透き通るまで弱めの中火で炒める。

[3]材料を混ぜ合わせる
蒸したジャガイモを熱いうちに皮を剥き、木ベラで潰す。1と2を加えてよく混ぜる。

[4]成形する

3を70gずつに分けて丸く握り、多めの米粉を振る。水溶き米粉にくぐらせ、おからをたっぷりまぶす。

[5]黄金色に揚げる

約170℃の油(分量外)で約7、8分、黄金色に揚げる。冷めてもしっとりもちもちの新食感コロッケ。


「大豆ミートの磯辺揚げ」の作り方

[材 料(約8個分)]
大豆ミート(ブロック)・・・8個

A 
醤油・・・大さじ1.5
ニンニク、ショウガ(すりおろす)・・・各1/2片
ゴマ油・・・小さじ1/2

粉(米粉1:片栗粉1)・・・適量
海苔・・・適量
揚げ油(大豆油)・・・適量

[1]大豆ミートを戻す

大豆ミートを熱湯に沈めて、20分浸す。

[2]味を含ませ、冷やす

をザルにあげたら絞らずにボウルに入れ、Aを含ませる。ラップをして冷蔵庫で冷やす。POINT:硬く締まった方が、揚げ上がりが崩れにくい。

[3]粉をまぶして揚げる


揚げる直前に粉をまぶし、海苔をぴったり巻く。180℃の油で3、4分、浮いてきたら引き上げる。水分をたっぷり含ませてあるから、ジューシーな味わい。

「人参の煮物」の作り方

[1]ニンジンを梅の花の形に飾り切りする。

[2]

鍋にとだし(昆布と干しシイタケ)100ml 、メープルシロップ大さじ1/2、塩小さじ1/2、醤油小さじ1/2を入れて中火にかけ、沸騰したら弱火で10分煮る。

シイタケと昆布のだし、塩、醤油、メープルシロップの煮物。見た目も華やか。


[そのほかのおかず]

マコモダケの胡麻和え。付近で収穫されるマコモダケを茹でて、塩とすりゴマで和える。コリっとした歯応えが楽しい。

厚揚げの煮物。厚揚げをシイタケと昆布のだし、醤油、みりん、塩で煮る。仕上げにすりおろしショウガを。

かぼちゃの煮物。カボチャを水から茹で、軟らかくなったらみりんと醤油で甘辛く煮付ける。

春雨と人参、春菊、茸の炒め物。菜種油でニンニクを熱し、せん切りニンジンと旬の青菜、シメジ、戻した春雨、塩を加えて炒める。

モロヘイヤと紫タマネギのピクルス。米酢とメープルシロップ、塩で漬けた紫タマネギのピクルスを、茹でたモロヘイヤと和える。



◎高尾食堂 あめとつち
☎090-9255-6220
https://uratakao.com/

※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため要請に合わせて営業時間が変わることがあります。

(雑誌『料理通信』2019年12月号掲載)

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