野菜と塩とオリーブ油と、切れないナイフで作る、驚きの滋味「リボッリータ」
プラントベースの始め方43
2024.06.03
photographs by Hideo Sawai
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
教えてくれたシェフ
東京・北参道「コンヴィヴィオ」辻大輔シェフ
トスカーナのマンマの味
家庭ごとに様々な作り方があるトスカーナのパン入りスープ「リボッリータ」。
口に含むと優しい甘味の後から、野菜の香りが次々と現れて重なり、心地よい余韻が長く続く。柔らかくなったパンが野菜をふんわりとつなぎ、他のスープにはない一体感が生まれます。「白よりもサンジョベーゼの赤がしっくりときますよ」と辻シェフ。
トスカーナの家庭では、マンマがギザギザのテーブルナイフで潰すように野菜を切る。あえて切れない包丁を使うことで野菜の繊維を潰して雑味や旨味を引き出すという。調味はオリーブ油と塩のみ、水を加えないで、野菜の水分のみで作る、究極のレシピです。
<植物性食材だけでおいしくなるコツ>
1 赤タマネギで、まろやかな味に
2 野菜は、あえて切れない包丁で繊維を潰しながら切る
3 塩は炒める前に加える
「リボッリータ」の作り方
[材料(10皿分)]
セロリ・・・1.5本
赤タマネギ・・・2個
ニンジン・・・1本
キャベツ・・・1/3玉
黒キャベツ・・・3枚
ズッキーニ・・・1本
モロッコインゲン・・・100g
ジャガイモ・・・2個
トマト・・・1個
白インゲン豆・・・30g
重曹・・・1g
ニンニク・・・1個
セージ・・・1株
オリーブ油(トスカーナ産)・・・50g
塩・・・小さじ2
パン・・・40g(3ミリ厚さで約10枚)
【下準備】
(左)パンは厚さ3ミリの薄切りにして、オーブンで5分ほど乾燥させる。薄く切ったほうが崩れやすく、野菜の間を軽やかにつないでくれる。
(右)白インゲン豆は重曹を入れた水で一晩戻す。水ごと豆を鍋に移し、ニンニク(皮つき)とセージを加えて柔らかくなるまで茹でておく。
[1]セロリを切る
香味野菜を切る。セロリの茎は筋を引かずそのまま7、8mm幅にカット。
[2]赤タマネギを切る
赤タマネギは2等分してから、横に3箇所包丁を入れ、縦1cm幅にカット。
[3]ニンジンを切る
ニンジンは皮を剥き、幅5mmの半月切りにする。
[4]材料を炒める
厚手の大きな鍋にオリーブ油を温め、セロリ、赤タマネギ、ニンジンを入れ、塩をして炒める。全体に油が行き渡ったら弱火に落として蓋をする。時々野菜を返し、全体で1時間ほど炒める。
[5]キャベツをザク切りにする
その間に他の野菜を切る。キャベツは7、8mm幅のざく切りにする。
[6]黒キャベツの葉をはずす
黒キャベツは葉をしごくようにして茎から外し、食べやすい大きさに切る。
POINT:芯は繊維が硬いので使わない
[7]ズッキーニ、モロッコインゲンを切る
ズッキーニは7、8mm幅の半月切りにする。モロッコインゲンは食べやすい大きさに切る。
[8]ジャガイモとトマトを切る
ジャガイモは皮を剥き、1cm幅の半月切りにする。トマトは縦に4等分してから、7、8mm幅にカットする。
[9]炒めて1時間経過
香味野菜を炒めて1時間後の状態。野菜の水分が飛んだ後は、糖分が焦げ付きやすいので、返す頻度を増やす。タマネギとセロリは区別がつかないほど一体化する。
[10]残りの野菜を加えて蒸し煮にする
カットした残りの野菜をすべて入れ、全体を炒め合わせたら蓋をする。時々蓋をあけて、野菜を返し、弱火で1時間ほど蒸し煮のように火を入れる。
[11]さらに1時間経過
1時間後、野菜がくたくたになった状態。はじめは野菜から水分がたっぷり出てくるが、飛んだ後はジャガイモなどが焦げ付きやすくなるので、こまめに返す。
[12]ビネガー、塩で味を調える
薄切りにしてオーブンで乾燥させたパンと茹でた白インゲン豆を入れて5分ほど炒め合わせる。一晩おいて、再び温める。皿に盛って、赤タマネギの薄切りをのせ、オリーブ油(分量外)をかける。
◎CONVIVIO コンヴィヴィオ
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-17-12カミムラビル1F
☎03-6434-7907
12:00~13:00LO、18:00~19:00LO
無休(年末年始、その他不定休あり)
東京メトロ北参道駅2番出口より徒歩5分
http://www.convivio.jp/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2011年6月号掲載)
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