優しい甘味がじわり広がる「ダイコンの春巻き」
レスキューレシピ【冬野菜編】
2024.02.29
photographs by Shinya Morimoto
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間 570 万トン*と言われています。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピをシェフに教わります。今月のテーマは【冬野菜】。ダイコンや長ネギ、冬においしくなるサツマイモなど、ある程度日持ちはするものの、安心しているとつい食べ時を逃してしまう・・・。そんな日常の食材を上手に使うワザを紹介します。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」
目次
- ■教えてくれた人:「溢彩流香(イーサイリューシャン)」シェフ 叶 朝陽(イェ チャオヤン)さん
- ■シンプルな工程に作り手の個性が滲む
- ■「ダイコンの春巻き」材料と作り方
- ■岡山・備前「溢彩流香」の店舗情報
教えてくれた人:「溢彩流香(イーサイリューシャン)」シェフ 叶 朝陽(イェ チャオヤン)さん
シンプルな工程に作り手の個性が滲む
この春巻きは、もともと中国の私の実家で、宴会料理のおかずとして作っていたものを具にしています。ダイコンはスライサーで千切りに。その方が断面から味が浸み込みやすいのです。フライパンで加熱して水分が出てきたら、春雨を加えて汁を吸わせます。フライパンの中に汁がなくなったら完成。私はこの具を少し取り分けておいて、次に具を作る時に混ぜるということを繰り返しています。
一枚の皮に包む具の量は、春巻きが太くなるよう、多めを心がけてください。中国の田舎では油は高級品なので、揚げ油は控えめに使います。春巻きを一度裏返して、両面が揚がる量で充分。具には火が通っているので、皮が軽く色づけばOK。高温、短時間で揚げます。
味付けはシンプルですが、パリッと揚がった皮と、しっとりしたダイコン、ぷるんとした春雨という、食感のコントラストがいいアクセントになっているでしょう。私のレシピは母親の料理を引き継いだものがほとんどです。それでも作る人の個性が加わって、母と私の料理は同じ味にはなりません。このレシピをもとに、ぜひ自分の味を作ってみてください。
「ダイコンの春巻き」材料と作り方
[材料](4人分)
ダイコン・・・1本
サラダ油・・・大さじ4
鶏ガラスープの素・・・小さじ2
塩・・・小さじ 1/2
春雨・・・40g
春巻の皮(卵入り)・・・12~14 枚
[作り方]
[1]ダイコンをせん切りにする
ボウルとザルを重ねる。ダイコンをスライサーでせん切りにする。
[2]水分を出す
ダイコンを上から押して、水分を出す。(この汁は鶏肉のスープなどに使える)
[3]炒める
フライパンを熱しダイコンを炒める。様子を見ながら調味料を2度に分けて入れる。
[4]春雨を加える
ダイコンがしんなりしたら、フライパンの片方に寄せる。煮汁がたまった所に、春雨を戻さず加える。
[5]春雨を切る
春雨が少し柔らかくなったら、ハサミで半分に切る。
[6]水分がなくなったら火を止める
全体がくたっとし、水分がフライパンに残らなくなったら火を止める。このままでもおかずになる。
[7]皮で包む
春巻の皮を常温に戻しておく。ザラザラした面が表になるように皮を置き、6をこんもりのせて巻く。
[8]揚げる
フライパンに春巻が半分浸かる量の油を熱する。春巻を入れて大きな泡が立つくらいの高温で揚げる。裏返し、両面が色づいたら完成。
黄金色の皮の中には、真っ白なダイコンと春雨がたっぷり。鶏ガラスープの旨味を含んだダイコンの甘い味わいが広がる。
岡山・備前「溢彩流香」の店舗情報
◎溢彩流香
岡山県備前市鶴海(※)
☎080-4017-6682
Blog:溢彩流香
※1日1組のオーベルジュですが、食事営業のみ、宿泊営業のみ、食事+宿泊営業と変則的です。詳細はお店のブログをご確認ください。住所は予約時にご確認ください。
(雑誌『料理通信』2015 年3月号掲載)
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