バニラ風味の衣とスパイス油で揚げる「旬野菜とハーブのスパイスフリット」
レスキューレシピ【スパイス編】
2023.11.09
photographs by Masahiro Goda
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生鮮食品を無駄にしないだけでなく、保存性の高い調味料や乾物なども、おいしく食べきる活用方法を知ることで捨てる量を減らせます。今回は、使い切れないことも多い〈スパイス〉に注目し、スパイス使いが上手なシェフたちから料理やスイーツでの活用術を教わります。
*農林水産省「日本の食品ロスの状況(令和元年度)」
目次
教えてくれた人:東京・渋谷「チョンプー」森枝幹(もりえだ・かん)さん
2019年11月、ガストロノミータイ料理「Chompoo」を開店。「食文化の価値体系を拡げる」べく、シェフ活動を旗艦に、店舗プロデュースや社員食堂の監修、未利用魚の商品開発など精力的に活動。2023年10月、東京・代官山にオープンした次世代に向けて新しい食文化づくりに挑戦する「日本食品総合研究所」の所長に就任。
シチリアのシェフからヒントを得た香るフリット
緊急事態宣言下の東京。気づけば僕はベランダや屋上で調理をしていた。家での調理の機会が増えたこの期間。レストランのテイクアウトなどだけでなく、季節の風や自然の匂いを感じながらの食事はタイムスリップした気持ちになり、新たな発見も少なくなかった。中でも意外に楽しいのが外での揚げ物。室内と違い、油はねやこもる油の香りも心配無用でストレスフリーだ。
今回紹介するのはシチリアのシェフからヒントをもらった天ぷら。甘い香りを衣と油に移して作る。バニラやカルダモンの香りと、じっくり揚げたサツマイモやユリ根などのホクホクした甘さがまたいい。タコなどの魚介もよく合う。米粉を入れると、軽い衣でサックと揚がるのでお試しを。
「旬野菜とハーブのスパイスフリット」材料と作り方
[材料](1皿分)
タイバジル、ミント、イチジク、ゴーヤ、カボチャ、サツマイモ、ズッキーニ、ツルインゲンなど好みの野菜・・・各適量
米粉、小麦粉・・・各50g
片栗粉・・・30g
バニラビーンズ・・・小さじ1(さやから出す)
水・・・適量
小麦粉(下粉)・・・少量
カルダモン、コリアンダーシード・・・各1つまみ
シナモンスティック・・・1~2本
揚げ油・・・適量
[作り方]
[1]野菜を切る
イチジクは丸ごと、ハーブ類は小房に分ける。残りの野菜は皮ごと厚さ1㎝に切る。
POINT:ゴーヤはワタごと輪切りに。ワタのほろ苦さが甘い香りの衣とマッチ。
[2]スパイスの香りを油に移す
鍋にスパイス類を入れて中強火で乾煎りする。香りが立ったら揚げ油を注ぎ、中火で煮出す。
[3]衣を作る
ボウルに粉類、バニラビーンズ、水を混ぜ合わせてヨーグルトくらいのとろみにし、衣を作る。
[4]衣をつける
野菜類に薄く下粉(小麦粉)を付け、3にくぐらせる。
[5]揚げる
スパイス類を引き上げた油で4を中温で揚げる。ハーブ類は衣を付けずさっと1~2分ほど素揚げする。
POINT:タイバジルは柄を持って、油の中で泳がすように高温で素揚げする(※やけどに注意)。
[6]完成
主役は市場で出合った旬の野菜。バニラ風味の衣をまとわせ、スパイス油で揚げて変わりフリットに。
「チョンプー」の店舗情報
◎Chompoo(チョンプー)
東京都渋谷区宇田川町15-1
渋谷パルコ4F
☎ 03-6455-0396
平日11:30~15:00、17:00~22:00LO
土日祝日11:30~22:00LO
不定休(パルコ休館日に準ずる)
各線渋谷駅より徒歩6分
Instagram:@chompoo_shibuya
(雑誌『料理通信』2020年11月・12月合併号掲載)
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