スーパーで買える山菜使いこなし術【ウド1本を余すことなく味わい分ける】
2023.04.17
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text by Kyoko Kita / photographs by Masahiro Goda
エグミや苦味も味のうち。山菜の持ち味や歯触りを損なわず、おいしくする方法をマスターしたいもの。スーパーで買える入門編にぴったりな山菜から、持ち味を生かす食べ方を東京・六本木「日本料理 ときわ」西塚茂光さんに教わります。今回は「ウド」を余すことなく使い切るテクニック&レシピをお届けします。
教えてくれたシェフ
東京・六本木「日本料理 ときわ」西塚茂光さん
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「日本料理ときわ」店主。山形県出身。18歳で上京し、赤坂「楽味」などで修業の後、銀座「堂島」で料理長を務める。2000年に銀座「馳走 啐啄(そったく)」を開店。2020年6月、現店に移転オープン。茶人としても活躍し、茶事のこころを原点にしたもてなしを伝える。
皮や産毛も食べてOK
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根本から穂先、皮まで部位ごとに異なる食感、味わいが魅力。アクが弱く、10分ほど水にさらすだけで生でも食べられる。しっかりと味をつけて炒めたり、時間をかけて炊いても独特の香りは消えず、存在感を発揮する。
一般に流通しているのは、「山ウド」「軟化ウド」など栽培ものが中心。栽培ものは11月~5月、天然ものは4月~5月に旬を迎える。選び方のコツは先端の芽がみずみずしく、産毛が全体につき、まっすぐ伸びているものを。乾燥しないよう、新聞紙などでくるみ、冷暗所で保存すると鮮度が落ちにくい。
下ごしらえのコツ
●芽と茎を切り分ける
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芽と茎では火の通り方が違うので、切り分けて使う。茎も、根元と茎、脇から出た茎では性質が異なるので、分けて使う。
●産毛は取らなくてOK
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根元以外は皮ごと使えて、産毛もついたままでよい。はかまの部分など、変色している部分があれば包丁で取り除く。
●アクを抜きすぎない
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切った後、変色を防ぐために水にさらす。アクが抜けすぎないよう、5~10分程度にとどめる。
●根元の皮は厚めにむく
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根元の皮はむく。内側の線の部分に届くまで、厚めにむいて筋を取り除く。皮はきんぴらにできる。
ウドの芽、茎、皮、根元の食べ方
●芽を使って・・・「天ぷら」
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サックリした衣に、しっとりやわらかい芽が包まれ、噛む度香りが広がる。1本から作れる量はわずかだが、それでも食べたい逸品。
[作り方]芽の部分はそのまま(太ければ半割に)小麦粉、天ぷら衣をつけて170℃の油でからりと揚げる。
●茎を使って・・・「山うどと身欠ニシンの煮物」
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春が旬のニシンと合わせた山形の郷土料理。時間をかけて炊くことで、白アスパラにも似た、とろけるような食感に。
[作り方]身欠ニシンを適当に切って霜降りにする。鍋に移し、酒少量を加えた400mlの水を加え、アクを取りながらやわらかくなるまで1時間程度煮る。煮汁と同量の二番だし、淡口醤油30ml、濃口醤油30ml、みりん60mlを加えて煮含める。乱切りして水にさらしたウドを加えてやわらかくなるまで煮る。
●皮を使って・・・「山うどのきんぴら」
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産毛もそのままに、皮を極細切りに。ごわつきが残らないよう、しかしやわらかくもならないよう、炒め加減が大事。
[作り方]ウドの皮をせん切りにして水にさらし、ザルにあげて水気を切る。油を引いたフライパンで炒め、適量の醤油、みりんを加えて炒める。鶏肉の皮を加えて炒めてもよい。
●根元を使って・・・①山うどもろ味噌添え
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水にさらすだけでエグミが取れる。瑞々しい食感で香りに華がありもろ味噌と合わせれば気の利いた酒のアテに。
[作り方]根元の白い部分の皮をむき、厚めの短冊に切り、水にさらす(5~10分)。水気をふき取り、器に盛り、味噌を添える。
●根元を使って・・・②「山うど甘酢漬」
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絶妙な食感を生むゆで加減は、透明感で判断。時間が短いと黒ずむので要注意。穏やかな酸味で箸休めにうれしい。
[作り方]根元を3~4cmに切り、皮をむく。短冊に切り、水にさらし(5~10分)、透明感が出るまでゆでてザルに取り、風を当てて粗熱を取る。甘酢(米酢3:水1.5:砂糖1)を同量の水で割り、ウドと鷹の爪(種ぬき)を2時間浸ける。器に盛り、三杯酢(だし汁7:米酢3:淡口醤油1:みりん0.5)をかけ、輪切りの鷹の爪をのせる。
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◎日本料理 ときわ
京都港区西麻布1-9-7 シュウエツレジデンスII 1階
☎03-3405-1237
17:00~23:00(完全予約制)
日曜休
各線六本木駅より徒歩6分
https://www.tokiwa-nishiazabu.jp/
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2019年4月号掲載)
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